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議会報告 川崎市政

役所すらも人手不足の時代2017/12/24    

先日の川崎市議会でも取り上げましたが、これからの日本では、公務員(役所)の人材確保が量的にも質的にも大きな課題となっていきます。

否、もう既にそうです。

『自治体悩ます内定辞退、北海道庁は6割 追加募集も
売り手市場 国や地元市町村、企業と競合
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25012600T21C17A2EA4000/

自治体が学生の内定辞退に悲鳴をあげている。北海道庁では2017年度の辞退率が現時点で6割に達する見通しと、事実上「滑り止め」となっている。必要数を確保できず、年度途中で異例の特別採用を実施したところもある。(後略)』

川崎市でも、大学卒程度の職員採用試験での入庁辞退率の推移は次のとおりです。

採用試験に合格しても、最終的には辞退して、もっと条件の良い企業に就職していきます。

もちろん、この背景には生産年齢人口(15~64歳人口)比率の低下があります。

にもかかわらず、未だ「公務員の数が多すぎる」などと言って(実際には多くないのに)、あくまでも量的削減によるネオリベ的構造改革を求める人たちが後を絶ちません。

下のグラフのとおり、OECD加盟国の公務員の対労働人口比率をみても、我が国の公務員数はダントツで低い。

むろん、この数字には地方公務員や再就職も含まれます。

グラフをみますと、日本はOECD平均をはるかに下回っていて、米国の約半分、英国の約1/3です。

なんと、ネオリベラリズム構造改革の先駆けとして、あのサッチャー改革によって公務員数を大幅に減らした英国と比べても日本のそれは1/3という少なさなのです。

「日本は公務員が多い」は、もはやイデオロギーと化しています。

さて、現在、川崎市が進めようとしている一連の行政改革についても、いわゆるネオリベラリズム的な構造改革の一環として検討されている節があります。

もしそうであれば、時代錯誤も甚だしい改革であると言わざるをえません。

例えば、総務事務センターの導入。

総務事務センターの導入とは、市役所の人事、給与、旅費等の定型的・反復的な事務を民間事業者に委託する、というものです。

当局は、これらの総務事務を民間事業者に委託することで、職員が携わる業務をより専門性の高いものにすることで長時間勤務の是正、ワーク・ライフ・バランスの確保を図りたい、とのことです。

しかしながら、前述のとおり、今後の行政課題は「人余り…」ではなく「人手不足…」なのですから、むしろ将来的な超人手不足に対応できるように、これらの業務を民間委託などせず行政組織として自己完結可能にし人材確保を図り、業務ノウハウを組織内に継承させていくべきではないでしょうか。

それでも人手が足りなくなった場合には、技術開発投資による生産性向上を図ればいい。

例えば、住民票や印鑑証明書の発行は、説明員としての職員をひとり配置して駅の発券機のように無人化する。

そもそも、ネオリベラリズム的構造改革を叫ぶ人たちは、役所の業務をできるだけ民間に委託すれば、行政がスリム化して新たな雇用が生まれるかのように喧伝していますが、話しはそんなに簡単ではありません。

例えば、請け負ったその民間事業者は、たいていの場合、派遣職員やパートタイム労働などの低賃金雇用によって業務を請け負うことになります。

また、そのことは利益の追求を目的としている民間事業者である以上は当然のことでもあります。

要するに、本来は行政がやるべき業務を民間に委託することで、行政は人事コストをカットすることができますが、その一方で、新たな低賃金労働者をつくることになるわけです。

このことは、我が国において実質賃金が下がり続け、デフレを助長している原因の一つとなっています。

しかも、行政職員から民間の低賃金職員に仕事を移すことで、民間事業者はピンハネ的に利益を獲得することができますが、利益を確保したら平然と撤退していくのもまた民間企業です。

そのとき、川崎市役所という組織のなかに長年にわたり蓄積されてきた業務ノウハウは失われ、次なる新たな民間事業者を一般競争入札で見つけることになります。

そこでまた低賃金を半ば強制される労働者が、正規雇用の職員と同じ仕事をしているのにもかかわらず、行政の正規職員よりも安い賃金での労働を課せられるという繰り返しになるわけです。

そもそも安全保障NPOたる市役所が、民間事業者の力を借りなければ総務事務すらも自己完結できない組織体となることが本当に市民のメリットなのでしょうか。

むろん、行政組織に全く問題がない、などと言うつもりは毛頭ありません。

役所であれ、企業であれ、常に組織には改革・改善されるべき課題が存在します。

だからといって、ネオリベ的構造改革が常に正しいわけでもありません。

少なくとも、人手不足にどのように対応するのかが求められている時代に、人余り時代の発想で対応できるはずがありません。