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議会報告 政治・経済

中間層を破壊するグローバリズム2017/12/19    

今年の1月のことだったと思いますが、スイスのグラウビュンデン州の山麓にあるリゾート・タウン(ダボス)において毎年開催されている「世界経済フォーラム」(ダボス会議)で、世界銀行の主席エコノミストであるブランコ・ミラノヴィッチ氏がいわゆる「エレファント・チャート」を発表し、話題になりました。

上のグラフをご覧のとおり、その曲線がまるで像の胴体と長い鼻のように見えることから「像チャート(エレファント・チャート)」と呼ばれています。

専門家によれば、こうした研究調査には相当な推計値と複雑な統計手法を用いなければならないらしく、一部の研究者からは「ミラノヴィッチ氏のデータの使い方が恣意的である」との批判もあるようで、このエレファント・チャートが本当に現実を反映しているのかどうかは現在のところ論争中だとのことです。

とはいえ、そのことを差し引いても実に興味深いチャートです。

グラフの見方としては、横軸に世界人口60億人を並べます。

横軸の一番右側がスーパー金持ち層で、一番左側が最貧層となります。

縦軸は、最貧層から超金持ち層までのそれぞれの層がこの20年間でどのぐらいの所得を稼いだのかを示しています。

像の鼻の先端部分(C)をみますと、世界の超金持ち層、いわゆる上位「1%」がこの20年間で約70%も所得を増やしたことがわかります。

また、像の頭の天辺部分(A)をみますと、これは主としてChinaやインドの都市労働者層のことで、同じくこの20年間で80%以上もの所得を増やしたことがわかります。

最悪なのが像の鼻の根本部分(B)です。

エレファント・チャートの中央値(平均所得)は24%ですので、このB層はグローバリズム世界の完全なる負け組です。

さて、このB層とはどのような人たちでしょうか。

それは、日本や欧米などの先進国の中間層です。

昨今、欧米で台頭している「反グローバリズム政党」の躍進は、このB層による反乱です。

否、「反乱」というよりも「社会的自己防衛運動」といっていい。

トマ・ピケティが言っているように、ネオリベラリズム(新自由主義)に基づくグローバリズムを推し進めていくと、必ず中間層が破壊され所得格差は拡大します。

中間層の破壊は、需要力の縮小につながりますので経済的にはデフレ圧力になります。

世界的な低インフレ基調の根源はそこにあります。

昨年、米国ではトランプ大統領が出現し、また民主党の大統領候補にはなれませんでしたがヒラリー・クリントンに対抗してバーニーズ・サンダースが躍進しました。

この二人は右派と左派の違いはあれど共に「反グローバリズム」です。

即ち、この二人の出現は、米国の中間層(ネイティブ・アメリカン)による反グローバリズム運動の現われです。

ヨーロッパにおいても、まさに躍進している政党は、グローバリズムに不満と怒りをもつ中間層のネイティブ国民から大きな支持を得ています。

唯一、先進国の中でグローバリズムに対する怒りをもっていない中間層は、悲しいかな我が国の中間層です。