ネオリベラリズム=新自由主義
即ち、自由な競争市場こそが、効率的な資源配分をもたらし経済厚生を最大化する、という理論です。
この理論の学問的支柱が「新古典派経済学」であり、自由化、規制緩和、民営化、小さな政府、均衡財政、自由貿易…これらは常に善である、というドグマです。
1980年代から英米を中心に台頭し、1990年代以降、日本をはじめ全世界で展開されて普及加速していきました。
以降、我が国では中央政府のみならず地方行政においてもネオリベ的構造改革が断行されています。
むろん、モノやサービスをつくるための供給能力(生産能力)の不足から、インフレ率が上昇していく局面では、自由化、規制緩和、民営化、小さな政府、均衡財政、自由貿易は正しい経済政策です。
ですが、現在の日本のようにインフレ率が低迷しつづける供給過剰(=需要不足)局面では、ことごとく誤った政策になります。
ところが、ネオリベラリズムというイデオロギーにおいては、インフレであろうがデフレであろうが…「正しい政策は常に、自由化、規制緩和、民営化、小さな政府、均衡財政、自由貿易だ」となります。
新古典派経済学をはじめ、いわゆる主流派経済学なるものは、常に需給はバランスしている、という前提にたった学問だからでしょうけど…
川崎市などの地方行政でも、「民間にできるものも民間に…」のスローガンのもとに役所の業務を民間に切り売りしてきました。
切り売りしてもらった民家事業者は、派遣社員やパートタイム労働者などの低賃金労働者を雇って業務を請け負います。
このようにして、日本の実質賃金が下がり続けてきました。
ある種、そのために派遣法などの雇用規制が緩和されてきました。
また、行政は業務の一部を切り売りするのですから、本来、行政に蓄積されるべき業務ノウハウが消滅していくことになります。
それに、請け負った民間業者は利益を獲得したら撤退です。
行政は再び新たなる民間事業者を一般競争入札で選び、また更なる低賃金労働者が発生します。
この20年間、我が国はこれを繰り返しています。
本日の日本経済新聞に次のような記事が載っていますが、このネオリベラリズムの流れは留まるところを知りません。
『公共施設運営権、上場ファンドが取得しやすく 金融庁
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24699700V11C17A2MM8000/
金融庁は公共施設などの運営権を民間が取得しやすくする。東京証券取引所に上場するファンドが投資できる公共施設の対象分野を空港や道路などに限定するルールを撤廃し、あらゆる分野で投資できるようにする。2020年の東京五輪を見据え、今は対象外のアリーナや体育館、観光施設などの整備に民間資金を呼び込む。(後略)』
要するに「政府のカネは使いたくないから(ネオリベ的には緊縮財政こそが善)、できるだけ民間事業者にカネをださせよう」という発想なのですが、例えば韓国は、ソウルの地下鉄事業の運営権を外資ファンドに取得させましたが、その結果どうなったでしょうか。
地下鉄事業が赤字運営になった場合には、その赤字をソウル市が補填するようになっていますので、運営する外資ファンドは絶対に赤字にはなりません。
赤字になるどころか、10年契約できっちりと利益を回収して撤退していきました。
結果、もっとも損をしたのはソウル市民です。
これが外資ファンドであり、ネオリベラリズム経済です。