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議会報告 政治・経済

株価上昇と国民の景気実感2017/12/03    

12月1日に総務省から発表された家計調査(10月速報値)によりますと、実質消費支出(二人以上の世帯)は、前月比でマイナス2.0%、前年同月比でプラスマイナスゼロでした。

前年同月比を時系列でみると、下のグラフのとおりです。

消費税増税(5%→8%)の後、プラスに転じたのはたったの2回(2016年2月は閏月効果)だけです。

実質消費支出がマイナス化するということは、国民が買い物をするにあたり、パンならパンを、ミカンならミカンを買える個数が減ってしまうことを意味しています。

例えば、先月は10個のパンを購入することができていたのに、今月は9個しか購入することができない、というように。

上のグラフをみますと、明らかに国民が貧困化しているのが解ります。

そして、下のグラフは実質賃金の前年同月比の推移です。

実質賃金とは物価の影響分を除いた賃金のこと。

物価の上昇に賃金の上昇が追いついていかないと、実質賃金は下がり続けます。

例えば、先月まで20万円だった給料が、今月は約5%増えて21万円に上昇したとしても、世の中の物価が6%上昇してしまうと、実質賃金は1%のマイナスです。

グラフをご覧のとおり、昨年の10月以降、実質賃金は一度もプラスに転じていません。

物価と賃金とが相乗的に縮小していく状態を「デフレ経済」と言います。

「でも、株価は上がっているじゃん」とか、「でも、実質GDPは成長しているじゃん」とか、「でも、企業収益は増えているじゃん」とか、「でも、雇用は改善しているじゃん」とか言って、日本経済の景気が上向いていることを殊更に強調したい政府とメディアですが、そのカラクリは次のとおりです。

まず、雇用関係の統計が改善しているのは、生産年齢人口(15~64歳人口)比率が低下していることが主因であって景気の良し悪しとは関係がありません。

企業収益が増えているのは主として外需に依存する大企業ですが、生産年齢人口比率の低下による人手不足を非正規雇用やパートタイム雇用によって賄い、あるいは労働分配率を低く抑えるなどしてコストカットを図ってきた結果です。

実質GDPの成長は、たんに物価(GDPデフレーター)が下落すると、成長率がプラスに転じてしまうという統計上の問題です。

実質GDPは…
実質GDP = 名目GDP ÷ GDPデフレーター
…という計算方式で算出されますので、名目GDPが増えず、GDPデフレーター(物価上昇率)がマイナスになると、計算上どうしても実質GDPはプラス化していまうのです。(※統計には欠点と限界があります)

昨今の株価上昇も、実体経済の良し悪しとは関係がありません。

「えっ、そんなバカなっ!」と思われるかもしれませんが…

むろん、全く関係がないとは言いませんが、一義的には関係がありません。

経済とは貨幣を中心にした社会現象です。

この世には、貨幣が流通する世界が二つあります。

①実体経済(産業的貨幣流通)と、②金融経済(金融的貨幣流通)の二つです。

貨幣の発行権は基本的に政府が持っています。(※預金通貨は政府でなくても発行できます)

その貨幣が、どんなに②の金融経済(金融的貨幣流通)で流通したところで、一時的には実体経済(産業的貨幣流通)には影響しません。

ここのところ上昇している株価は、まさに金融経済(金融的貨幣流通)の世界です。

上のグラフのとおり、実体経済(産業的貨幣流通)はデフレでも株価が上昇しているわけですが、これは貨幣の流通する世界が別々に存在していることの現われでもあります。

では、実体経済(産業的貨幣流通)の指標である「実質消費支出」や「実質賃金」が下落するなか、どうして金融経済(金融的貨幣流通)では株価が上昇していくのでしょうか?

その理由はこうです。

いま、日本銀行が金融機関の保有している国債を購入する、いわゆる量的緩和政策が続けられています。

日本銀行による国債購入は、金融経済(金融的貨幣流通)への更なる貨幣供給を意味しています。

デフレを脱却するには、実体経済(産業的貨幣流通)への貨幣供給が必要なのですが、残念ながら日本銀行が量的緩和するだけでは金融経済(金融的貨幣流通)の貨幣量を増やすことしかできません。

結果、金融経済(金融的貨幣流通)の貨幣量が増えたことで円安になりました。(※逆に金融経済(金融的貨幣流通)の貨幣量が不足すると円高になります)

日本の株式市場は、その取引の7割以上が海外投資家であることから、円安になると株高、円高になると株安、というように連動してしまうのです。

日本の株式と為替の相場の連動性をみると、下のグラフのとおりです。

株価が上がっているからといって「景気がいい」とは言えない理由がここにあります。

実体経済(産業的貨幣流通)に貨幣が供給されないかぎり、絶対にデフレを脱却することはできません。

このデフレ期に実体経済(産業的貨幣流通)に貨幣を供給する最大の手段は、政府による財政支出の拡大です。

株価が上がることに異存はありませんが、実体経済(産業的貨幣流通)の貨幣量が増えないかぎり、デフレ経済は脱却されず国民の貧困化は止まりません。