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議会報告 政治・経済

岩盤が岩盤である所以2017/11/28    

規制緩和… 規制撤廃… 規制改革…

お馴染み、ネオリベラーたちの教条的な“決まり文句”です。

むろん、規制緩和は絶対悪だ、などと言うつもりは毛頭ありません。

規制を緩和しなければならない時もあれば、逆に規制を強化しなければならない時もあるのが政治です。

よって規制緩和は絶対善でもなく、ゼロかイチかの単純な話しではありません。

そもそも規制とは、基本的に政府によってつくられた参入障壁である場合が多いわけですが、その参入障壁が必要とされる目的は概ね以下の6点かと思われます。
①安全保障(食料、医療、防衛、防災、治安、物流など)の強化
②環境の維持保全
③消費者の安全確保
④混乱防止
⑤業界の維持発展
⑥資格制度などによる品質の確保

では、参入障壁を撤廃するとどうなるか?

壁を無くすことで、その分野への新規参入が可能となり、競争激化によって価格が下落します。

その点では消費者の利益は守られます。

一方、供給サイドでは弱い企業から淘汰されていくことになります。

そこで、ネオリベラーたちが必ず主張するのは、「弱い企業から淘汰されことで業界の新陳代謝が進む。結果、各社が生き残りをかけて努力しするから品質の向上が見込まれる」という一見ご尤もそうな論理です。

前述のとおり、規制は緩和しなければならない時と、そうではない時があります。

その境界線はどこにあるのか。

それは、当該分野がインフレ状態(供給不足)にあるのかどうかです。

例えば、旧ソ連時代末期のように、お店の前に長い行列ができてしまうほどに需要と供給との間に過度なインフレギャップ(供給不足)が生じているのであれば、規制を緩和して新規参入を促し供給能力の拡大を図らねばなりません。

そうでないと、国民が飢えて死ぬことになります。

逆に、当該分野がインフレ状態ではなくデフレ状態(供給過多)の時に規制を緩和したらどうなるか。

余計に供給過剰になって、弱い企業から淘汰され、相場は値崩れを起こし、かえって市場が寡占化していきます。

参入障壁を無くしたところで、市場が寡占化するとむしろ新規参入が困難になるのです。

何よりも需要不足が継続することで、結局は供給能力(国力)そのものが毀損されていくことになります。

需要が無い中での事業継続(技術継承)は困難だからです。

加えて、絶対に規制を撤廃してはならない分野があります。

それは、防衛、農業、医療、教育、行政、建設、電力、ガスなどの安全保障分野です。

これらは何があってもマーケット(自由市場)に委ねてはならず、国民生活には欠かすことのできない重要分野です。

例えば、防衛は国防という安全保障を担い、農業は食という安全保障を担い、医療は国民の健康という安全保障を担い、教育は国民形成という安全保障を担い、建設は自然災害大国たる日本国土の強靭化を担っています。

かつて電力を自由化した米国で何が起こったか、今さら説明するまでもないでしょう。

これらは悉くネオリベラーたちから、いわゆる「岩盤規制」と呼ばれる分野です。

そもそも安全保障分野ですから「岩盤」なのは当たり前なのですが、この岩盤を破壊することで、外資やグローバル企業を含めたビジネスのチャンスを最大化しようというのが彼らの目論見です。

そこに国民生活の安全をどのように守るのかの視点はゼロです。

例えば、医療の規制緩和を考えてみましょう。

医療の参入障壁となっている医師免許制度を緩和して、医師免許がなくても誰でも病院を開設し診療できるという規制緩和を行ったとします。

果たしてネオリベラーたちが言うように「各自が生き残りをかけて努力しするから品質の向上が見込まれる」ようになるのでしょうか。

もしもなったとして、それまでに何人の犠牲者を出すことになるのか。

ネオリベラリズムを社是とする日本経済新聞が、次のような記事を書いています。

『規制改革なお途上 焦点は雇用・社会保障の岩盤切り込み
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23944580X21C17A1PP8000/

政府の規制改革推進会議は29日、待機児童、電波、林業に関する答申を示す。1日の第4次安倍内閣発足から日を置かずに打ち出し、政権の経済政策「アベノミクス」をさらに推進する姿勢をアピールする狙い。だが金融緩和と財政出動に頼る政策から脱却するには、今回の案は力不足。来夏にまとめる答申で雇用や、社会保障といった岩盤規制まで切り込めるかが焦点になる。(後略)』

その前に、この記事はところどころ間違ってます。

記事では「金融緩和と財政出動に頼る政策から脱却するには…」とありますが、安倍政権は財政出動なんかしていません。

財政政策を封印して緊縮路線をひた走っています。

岩盤規制の撤廃を叫ぶ前に、まずは現状認識から改めてほしい。