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議会報告 川崎市政

企業の景況感と実体経済とのギャップ2017/11/25    

ここのところ経済ニュースでは、経済成長率、失業率、有効求人倍率、就業者数など、景気の回復ぶりを伝える特定の指標だけが踊っています。

ただし、経済成長率がプラス化しているのは、デフレによってインフレ率(GDPデフレーター)がマイナス化していることによる統計上の理由であり、失業率、有効求人倍率、就業者数が改善しているのは、たんに生産年齢人口(15~64歳人口)比率の低下による人手不足のためで景気の良し悪しとは何ら関係がありません。

実体経済は、依然としてデフレ(国民の貧困化)です。

なのに、10月2日に日本銀行から発表された9月の『全国企業短期経済観測調査』(以下、「短観」)」によれば、企業の景況感は10年ぶりの高水準でした。

短観は、日銀が統計法に基づいて行う統計調査で、全国約1万社の企業を対象に四半期ごとに実施されています。

例えば、企業が自分の会社の業況や、経済環境の現状及び先行きについてどのようにみているのか、といった項目に加えて、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値など、企業活動全般にわたる項目についても調査しています。

それによれば、とにかく企業の景況感はいい。

それなのに、実体経済はデフレ化し、国民全般としても着実な景気の足取りなど実感できないでいます。

実体経済と企業の景況感とのギャップは、いったいどこから来るのでしょうか?

理由はおそらく、企業が景況感を錯覚しているからだと思います。

確かに企業の収益性は高まりました。

とはいえ、企業収益が増えているのは、企業の売り上げが伸びているからではありません。

ただ単に、企業が設備投資や人件費を抑制しているだけの話しで、肝心の売り上げは伸びておらず低迷したままです。

残念ながら、企業は売り上げが伸びずとも、コストカットによって収益を拡大することができるのです。

現在の実質賃金の低迷がそれを物語っています。

そこで、11月22日に発表された9月の実質賃金をみてみます。

きまって支給する給与(事業規模5人以上)の対前年同月比は、マイナス0.3%でした。

時系列でみますと、下のグラフのとおりです。

昨年の10月以降、この1年間プラス化していません。

因みに、神奈川県内の実質賃金は下のグラフのとおりです。

神奈川県下の実質賃金は今年前半には少し上向きましたが、ここにきて息切れ。

首都圏(東京圏)の神奈川県ですらこのような状況ですから、地方の雇用状態はもっと悲惨でしょう。

同じく11月22日に発表された労働者の総実労働時間(所定内労働時間+所定外労働時間)をみてみますと、パートタイム労働者のそれは継続的に前年を下回っています。

下のグラフのとおり、パートタイム労働者比率は増え続けています。

パートタイム労働者の比率が増えているのに、労働時間が減っている。

これでは、所得(実質賃金)が減って当然です。

要するに多くの企業は、生産年齢人口比率の減少による人手不足を、パートタイム労働者で補いつつ、一般労働者と労働時間をシェアリング(分担)させたわけです。

このような形で人件費を抑制し収益を上げ、内部留保と株式配当を増やした。

極めて不健全な経済です。

人材投資と設備投資と技術開発投資、これらに資本を投じることで生産性と売り上げを拡大させ成長していく、それが本来あるべき企業の姿ではないでしょうか。

その前提としてデフレ脱却があります。

デフレ脱却にむけ大きな役割を果たすのが、政府の財政政策です。