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議会報告 政治・経済

「量的+質的」食料安全保障2017/11/19    

2010年から2011年にかけて、北アフリカ及び中東のアラブ諸国で食料価格の高騰を一因とする民主化運動が発生しました。

いわゆる「アラブの春」です。

まず2010年10月にチュニジアで、2011年1月にはエジプト及びアルジェリアで、同年2月にはヨルダン及びイラクにおいて暴動や抗議運動が頻発し、次々と政権が倒れていきました。

発端は、ロシアによる穀物輸出禁止措置だと言われています。

意外と知られていない事実ですが、世界最大の小麦輸入国はエジプトで、その大口輸入先はロシアです。

ロシアは政治的な思惑から頻繁に穀物輸出の規制強化や輸出禁止措置をとります。

2010年8月にも、干ばつによる穀物の不作を理由に、ロシアは小麦、大麦、トウモロコシ等について輸出禁止措置をとりました。

加えて、カザフスタンやウクライナでも輸出禁止措置がとられて、エジプトをはじめとする中東地域で食料価格が高騰するに至りました。

その結果、食えなくなった国民が暴動を起こし「アラブの春」につながった、というわけです。

一方、日本の小麦輸入量はどうかというと、世界第6位です。

我が国の小麦市場は90%以上が輸入依存で、下のグラフのとおり、そのうち50.5%が米国に依存しています。

なお、我が国のトウモロコシ輸入量は世界第1位です。

「日本人って、そんなにトウモロコシを食べてるの?」と思われるでしょうが、食べているのは人間(日本人)ではありません。

食べているのは、人間(日本人)が食する牛や豚です。

牛や豚が食する配合飼料の原料として、大量のトウモロコシが輸入されているわけです。

下のグラフのとおり、日本はトウモロコシ輸入の80.3%を米国に依存しています。

もしも米国で今、天候不順による穀物の不作状況がつづき、輸出禁止措置がとられたらどうなるでしょうか。

考えるだけで、ゾッとします。

穀物を他国に依存するということはそういうことです。

自給力を引き上げ他国に依存しない食料体制をいかに構築するのか…それを量的な食料安全保障というのであれば、もう一つ、自分たちが口にするものがいかに安全であるのかの「質的」な食料安全保障の観点も重要です。

例えば我が国は、牛や豚の成長を早めるホルモン剤や薬品を配合飼料に混ぜることを規制しているのですが、米国、カナダ、オーストラリアは規制していません。

牛や豚に肥育ホルモン剤や塩酸ラクトパミンをエサ(配合飼料)に入れたり注射したりすると、①牛や豚の成長が早まる、②赤身が増える、③少ないエサですむ等々の利点があるのですが、当然のことながら、人間がその肉を食した場合、何らかの人体的影響がでるであろうことも指摘されています。

米国は日本に対し、そうした畜産物の輸入の拡大を求めています。

むろん「消費者にとっては安いからありがたい」という話しにはならず、前述のとおり量的な食料安全保障を確保するとともに、「いったいどんなものを食べさせられるのか」という、質的な食料安全保障についても私たち日本国民は目を光らせていかなければならないのです。