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議会報告 川崎市政

正しい喘息対策を妨げているもの2017/11/11    

川崎市には、「川崎市の北部は大気が汚染されており、それが原因で北部では成人喘息患者が増えている」と喧伝している人たちがいます。

以前、私が議会質問で事実関係を確認したところ、本市の環境局長から「川崎市北部の大気が汚染されていると言えるような事実はない」という答弁を貰っています。

それどころか、PM2.5(微小粒子状物質)等の大気汚染指標を比較すると、どちらかというと北部よりも南部のほうが高めにあります。

因みに、高めといっても完全なる基準値内です。

PM2.5は、1日平均値が70μg/m3を超過した場合に健康影響が現れる可能性があると考えられていますが、川崎市南部でも概ね5~15μg/m程度のものです。

決算審査特別委員会の環境分科会において、改めて所管する環境局に確認をとったところ、環境局は「川崎市の大気環境は改善されている」と答弁しています。

いずれにしても、川崎市の大気環境は改善されているのです。

加えて、北部で喘息患者が増えているのかどうかについても、去る9月議会で所管局長に質問しました。

答弁に立った成田哲夫・健康福祉局長は、次のように答弁されました。

「20歳以上の気管支喘息患者を対象としてい実施している成人喘息患者医療費助成制度においては、全市的に受給者数が増加している。各区を比較した場合の増加率はほぼ同一であるが、宮前区以北に在住する受給者の割合が高く、平成29年7月末時点では受給者全体の約60%を占めている」(成田哲夫・健康福祉局長)

大気は汚染されていないのに、宮前区以北で成人喘息患者医療費助成制度の需給割合が全体の60%を占めているのは、大気ではない何らかの別の要因があるのでしょう。

次いで、川崎市議会の一部の会派から、「北部における成人喘息患者が増えている原因について調査せよ」との指摘がなされていることについて質問したところ…

「気管支喘息の発症に至る要因は様々であると言われており、発症への影響の度合いも人それぞれであることや、生活環境等についても同等の条件で比較調査を行う必要があることから、発症要因の究明は難しいものと考えている」(成田哲夫・健康福祉局長)と答弁されました。

なるほど、それを調査するためには、患者の属する母集団の社会経済的背景や年齢構成、性別構成などが同等の条件で、なおかつ医療費助成制度を採用しているような地域を見つけて、その地域との喘息発生に関するオッズ比を比較した調査がなされなければなりません。

考えてみると、そのような地域は存在しません。

また、「原因は大気汚染である」と言いきるためには、その両地区において明らかに大気汚染指標に差があることの証明が必要になります。

前述のとおり大気汚染については、成人喘息患者が増えているとされる北部と比較して、PM2.5等の大気汚染指標が全般的に北部よりも高めにある南部では逆に増えていないという事実もあります。

川崎市の成人喘息患者医療費助成制度は、喘息患者の認定に際して検査値などの客観的指標を求めていないので、症状のみによる意思の主観的判断のみで認定が可能であるとのことです。

だとすると、例えば医師の主観的判断のバラツキを回避するために、その患者が増えている地区において認定患者数が他の医療機関と比べて異様に多い特異な医療機関が存在するのかどうかの、つまりは医療機関における認定患者数のバラツキも含めた調査が必要になります。

そのようなバラツキを排除するためには、症状以外に何らかの客観的な指標を設けて比較する必要性も生じます。

こうした諸々のことを考慮すると、一部の会派が主張するような研究調査はほぼ不可能ではないでしょうか。

それでも「調査せよ!」というのであれば、きちんとした独自の研究デザインとそれに要する費用根拠を示すべきだと思います。

以前の議会でも指摘させて頂きましたが、今や名だたる専門家が、喘息の主たる原因はダニなどのハウスダストであるとの考えが学会の主流である、と言っています。

そして何よりも、真の喘息対策は、ガイドラインに沿ったアレルギーの標準治療の均霑化、正しい知識の普及啓発などが極めて重要であると考えます。

残念ながら、事実を捻じ曲げた喧伝が、正しい喘息対策を妨げています。