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議会報告 政治・経済

大切なのはおカネじゃない2017/11/09    

よくTV番組を観ていますと、政治家や知識人気取りのコメンテーターたちが「日本の富(国富)が…」と言い方をします。

ここでいう「国富」にはちゃんとした国際的な定義があるのですが、たいていの場合、間違った定義で使われています。

例えば、貿易赤字が続いている状態を「このままでは日本の富が流出してしまう~」など。

貿易収支の黒字赤字は、あくまでも「外国との所得のやりとり」の話しであって、国富の話しではありません。

また、国語辞典などをみると、「国富とは、国家の富力、国全体の富」とか、「国富とは、一国の国民がある時点で有する正味資産(資産-負債)をいう」とかありますが、これも国民経済計算(SNA)的には間違い。

国際基準である国民経済計算(SNA)では、国富を次のように定義しています。

国富とは…
① 生産資産(道路、港湾、空港などのインフラ資産、及び民間部門の設備機器や工場など人の手によって構築された固定資産)
② 有形非生産資産(漁場、地下資源、土地などの天然の資産)
③ 対外純資産(日本が海外に保有している金融資産から外国が日本で保有している金融資産を差し引いたもの)

では、グラフにしてみます。

上のグラフをみますと、②の有形非生産資産が明らかに減っていますが、これはバブルの崩壊によって土地の額面価格が大幅に下落したからです。

また有形非生産資産は基本的に天然の資産なので国民の努力によって増やすことはできません。

よって、国富の根幹は何と言っても①の生産資産です。

生産資産は、その国のGDP(公共投資や民間設備投資)に比例します。

ところが、我が国は1998年のデフレ突入以降、未だデフレから脱却できずにいるため、生産資産という国富はほぼ横ばいで推移しています。

① 生産資産、② 有形非生産資産、③ 対外純資産の中で、おカネに相当するのは③の対外純資産だけです。

我が国では、下のグラフのとおり対外純資産だけは右肩上がりで増えています。

昨年度末時点で、349兆円です。

これをIMFのデータ(ドル換算)でみると、なんと日本は世界一のお金持ちです。

ただ、その一方で、ご覧のとおり米国は世界最大の対外純負債国です。

要するに、何が言いたいのかと申しますと、対外資産というおカネの量が多いか少ないかは国富の一部の話しにすぎず、国力そのものには直結しないということです。

それに、我が国の対外純資産が増えているのは、国内経済が長きにわたりデフレ化していることで対外投資が増え、対外投資が増えたことで所得収支が大幅な黒字となった結果ですので、あまり喜ばしいことではありません。

詰まるところ、一刻もはやく財政出動(政府支出の拡大)によってデフレを脱却し、民間投資と国民所得を拡大し、生産資産という国の富を増やしていくことが求められます。

生産資産という富が充実すると、その充実した生産資産をもとにして国民の所得を稼ぐ機会が更に拡大していきます。

国民の所得が増えることを「国民が豊かになる」と言います。

大切なのは所得であって、おカネじゃない。