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議会報告 政治・経済

トリクルダウンなる幻想2017/10/31    

有効求人倍率が1.5倍を超えて1.52倍になったことを、日本経済新聞が嬉しそうに報道しています。

『有効求人倍率 9月も高水準 1.52倍、正社員は最高
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL30HQX_Q7A031C1000000/?dg=1&nf=1

厚生労働省が31日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比横ばいの1.52倍だった。QUCIKがまとめた市場予想の中央値は1.53倍だった。企業の求人が増加した半面、求職者数も増えた。正社員の有効求人倍率は1.02倍と前月比0.01ポイント上昇し、2004年11月の集計開始以来で最高を記録した。1倍超えは4カ月連続。(後略)』

景気の動向とは関係なく、我が国では生産年齢人口(15~64歳人口)比率が減少しつづけているのですから、有効求人倍率、失業率、就業者数がそれぞれ改善するのは当然でしょうに。

これらの雇用統計が改善しているにもかかわらず、実質賃金と実質消費支出が共に低迷していることこそ大問題だと思うのですが、そんなことはこの新聞社にはお構いなしです。

さて、その実質賃金(きまって支給する給与)をみますと、8月の速報値では▲0.2%だったのですが、確定値では▲0.4%にまで更に落ち込みました。

一方、実質消費支出をみますと、9月の速報値は1世帯当たり268,802円で、実質で▲0.3%(前年同月比)及び住居等を除いた消費支出は実質で▲0.7%(前年同月比 )でした。

下のグラフのとおり、この2年間でプラスに転じたのはたったの3回だけです。

くどいようですが、実質賃金と実質消費支出のマイナス化は国民の貧困化を意味しています。

現在の我が国は、働けど働けど実質的な給料と消費支出が下がっていくデフレ地獄の状況にあるのです。

特に実質賃金が上がらないのは、生産性と労働分配率(企業の粗利益に占める人件費比率)の低下にあります。

生産性の低下は就業者の増加ほどに仕事量が増えていないことを意味し、労働分配率の低下は企業が人件費を抑制しつつ株主配当と内部留保を増やしていることを示しています。

前者は財政支出の拡大を憚ってデフレを脱却しようとしない政府の責任ですが、後者は株主資本主義(グローバリズム)の蔓延に起因しています。

もしも人件費比率を高めて(労働分配率を高めて)株主への配当金を抑制しようものなら、経営者はたちまちにして株主総会でつるし上げをくうでしょうし、もしも内部留保を積み増しておかなければ、いつ企業買収を仕掛けられるのかもわからない。

そうしたグローバリズム(株主資本主義)による弊害が、デフレで苦しむ多くの日本国民に重くのしかかっています。

よって、デフレ脱却にむけた機動的な財政出動のみならず、行き過ぎたグローバリズムを制約する手立てもまた求められています。

グローバリズムを進めると、「一旦は所得格差が生じるけれど、シャンパン・タワーのように富裕層から貧困層へとおカネが滴り落ちてくるから大丈夫だ」というように、いわゆるトリクルダウン理論がグローバリズム(新自由主義)派たちの常套句でした。

しかしその結果、米国ではどうなったか?

それをピケティさんが、下のグラフのとおり解りやすく示してくれました。

所得獲得の上位0.01%が、この40年間で480%も所得を増やしたのに対し、90%の人たちは増えるどころかマイナスになっています。

トリクルダウンどころか、富裕層になればなるほど増加率が大きい。

あれほどにマスコミから叩かれ続けているトランプ米大統領が、それでもまだ支持率30%台を維持しているのには、それなりの理由があるようです。