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議会報告 政治・経済

報道されるべきはデフレの深刻さ2017/10/29    

昨日(10月28日)の朝のことだったか、何気なくテレビを観ていましたら、「世界では自動車のEV(電気自動車)化が進んでいる。このままでは、ハイブリッド車などのエンジン技術に強みをもつ日本の自動車産業が衰退してしまう。日本の貿易黒字の50%は自動車産業が担っているので深刻な問題だ」という問題提起がなされていました。

おそらくこの問題提起の背景には「日本は貿易立国で、その黒字の50%が自動車産業なのだから大変でしょ」という認識があるのだと思います。

確かに、EV市場が拡大していけば、相対的にハイブリッド市場は縮小していくことになるでしょうし、何よりもハイブリッド車に比べ部品点数が少なく、エンジン等の技術スキルを必要としないEV市場に、自動車メーカーだけでなく家電メーカーをはじめ国内外の様々な異業種メーカーが新規参入してくることになるでしょう。

そうなると、既存の自動車メーカーの需要としてのパイは確実に減っていくことになります。

とはいえ、私のような素人は、仮にEV市場の世界的拡大が進むとしても、エンジンに関る部品メーカーや技術者の多くを自動車よりも更に部品点数の多い航空産業にシフトできる良い機会になるのではないか、などと考えてしまいますが、きっと自動車産業を担う玄人の皆様はもっと良い戦略をお持ちになっているに違いないと思います。

今回、私が指摘したいのはその部分ではなく、前述の「日本は貿易立国で(貿易黒字の50%を担っている)…」という誤った前提です。

まず、日本は貿易立国…ではありません。

輸出依存度は、下のグラフのとおりです。

ご覧のとおり、統計的にみても我が国は紛れもない内需大国です。

更に下のグラフは、日本の名目GDP(2016年)の内訳です。

一番右端をみると、純輸出(輸出ー輸入)は僅か5.2兆円です。

要するに、GDPの大部分が内需です。

因みに、一番左端の民間最終消費支出(300兆円)が、いわゆる個人消費ですが、ご承知のとおり、消費税増税(5%→8%)以降、激減しています。

更には、診療報酬や介護報酬のカットをはじめとする政府の緊縮財政によって、政府最終支出や公的固定資本形成(公共事業)が容赦なく削られていますので、実体経済(GDP)は縮小しています。

何が言いたいのかと言いますと、貿易黒字はあくまでも結果であって目標ではありません。

より重要なのは、内需(国内の投資や消費)主導で成長できる強い経済です。

内需主導で成長すると、自然、中間層の部厚い安定した社会が構築されていきます。

実際、高度成長期の日本はそうでした。

にもかかわらず、「貿易黒字の拡大」こそが経済力の象徴であるかのような誤解が一般化していますが、それは極めて重商主義的な考え方です。

重商主義とは、一国の国富は貨幣(金や銀)の量で決定するという思想ですが、貨幣は決して金でも銀でもなく、たんなる負債(借用証書)でしかありません。

つまり国家にとって重要なのは、金や銀といった鉱物の量ではなく、所得を生み出すために必要な生産能力(人材・生産資産・技術)です。(※貿易黒字もこの生産能力の結果にすぎない)

デフレ経済が続いていることで、我が国の虎の子たる生産能力が毀損されていることのほうがより深刻なのです。

テレビ番組は、自動車市場のEV化を心配する前に、まずは目の前にあるデフレの深刻さを報道すべきです。