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議会報告 政治・経済

最も割を食うのは若者世代2017/10/24    

テレビや新聞、とりわけワイドショーは相も変わらず、どこの党とどこの党がくっつくだの、スキャンダル議員が再選しただの、小池人気がどうのこうのと、どうでもいい話しに終始していますが、そうした下世話な話しは極力…無視。

このブログでは、あくまでも低俗な政局ではなく現実的な政治(政策)について、濃い内容を取り上げていきたいと思っています。

本日は、雇用について…特に若者の雇用について。

安倍総理や与党が言うように、ここのところ確かに就業者数が増えています。

なので失業率も2.8%にまで下がりました。

やがては、おそらく2.3%ぐらいにまで下がっていくでしょう。

加えて、有効求人倍率も1.5です。

この有効求人倍率1.5というのは、事業者側が10人の労働者を求めているのに対し、7~8人の人たちが職を求めているということです。

要するに、職を求めている人よりも、人を求めている人の方が多くなった、という意味です。

だからといって、日本の経済(景気)が良くなっているわけでも、アベノミクスが功を奏しているわけでもありません。

雇用関係の統計が改善している理由は簡単で、単に我が国の生産年齢人口(15~64歳人口)が減少しているからです。

5月1日現在の日本人人口の生産年齢人口比率は、ついに60%を切って59.7%になっています。

これだけ働く世代(15~64歳)が減っているのですから、景気に関らず人手が不足するのも当然です。

我が国だけが、デフレ(総需要不足)と人手不足が同時に進行するという世界には類例のない奇妙な現象に陥っています。

さて、問題はここからです。

人手不足が進み、失業率も有効求人倍率も改善され就業者が増えているのに、なぜか実質賃金が上がっていません。

実質賃金とは、物価変動分を差し引いた労働者一人当たりの賃金のことです。

例えば額面(名目)の給料が2%上がったとしても、その一方で物価が4%上がってしまうと、実質的な賃金は減少してしまうわけです。

要するに、給料の上昇率が物価の上昇率を下回ることを実質賃金の低下といいます。

上のグラフでいう「現金給与総額」は所得税、社会保険料、組合費、購買代金等を差し引く前の給与総額のことで、「きまって支給する給与」とは、要するに定期給与(基本給)のことです。

ご覧のとおり、前年同月比でみますと昨年の10月以降、明らかにマイナス基調で、つまりは給与の上昇率が物価の上昇率に追いついていかないわけです。

実質賃金が上昇しない理由は、デフレ経済によって生産性が向上していないことや企業の労働分配率が低下していることなど様々ですが、本日は次のような事実をご紹介します。

下のグラフは、「総実労働時間」といって、労働者一人当たりが実際に労働した時間数の推移を示したものです。

所定内(定時勤務)労働時間と所定外(残業など時間外勤務)労働時間を合計しているので「総実労働時間」といいます。(休憩時間は給与が支給されるか否かにかかわらず除かれる)

1997年には、総実労働時間、即ち労働者一人当たりの月平均の労働時間は157時間ありましたが、年々減ってしまい、昨年は145時間を切ってしまいました。

安倍総理が言うように、もしも景気が良くなって就業者数が増えているのであれば、総実労働時間も同時に増えていかねばなりません。

ところが、延総実労働時間(※延総実労働時間 = 就業者数 × 総実労働時間  )をみますと下のグラフのとおりになります。 

リーマン・ショック以降、そしてアベノミクス以降、生産年齢人口の減少に伴う人手不足から就業者数は増えたものの、延総実労働時間は横ばいです。

つまり、生産年齢人口が減少し、なおかつ団塊の世代(昭和22~24年生まれの世代)が大量に退職して以降、その人手不足を多くの企業がパートタイム労働などの短期労働者で穴埋めしていったのです。

即ち、フルタイムの正規職員でなく、パートタイムやアルバイトや派遣社員などの非正規雇用で穴埋めしていったことがよく解ります。

パート・アルバイト及び派遣社員数の推移は、下のグラフのとおりです。

結局、歴代政権が続けてきた構造改革(特に雇用規制等の緩和)によって我が国の経済が着実に「株主資本主義」と化し、数多の企業が「人件費抑制」と「株主配当拡大」に突き進み、パートタイム労働や派遣社員を増やしてきたのです。

だからこそ、就業者は増えても「延総実労働時間」は増えず、あまつさえ実質賃金も上がらない、という状況になっているのです。

この最大の被害者は、特に若者の労働者かと思われます。

因みに、年代別の派遣労働者数、及び企業の株主への配当金と労働分配率(企業の粗利に対する人件費比率)の推移は下のグラフのとおりです。

安倍政権が進めている、緊縮財政、規制緩和、構造改革などのグローバリズム路線は、明らかに日本を株主資本主義化及びデフレ化する政策です。

それによって利益を受けるのは、日本国民全般ではなくグローバル投資家やグローバル企業の経営者たちです。

このようなグローバリズム政治を続けていくかぎり、驚くような富(金融資産)を稼ぐことができるのは、所得ではなく配当金などの資本収益で暮らすグローバル投資家、そして英語を話せていつでも国境を越えられる富裕なグローバル人だけです。

多くの日本人は、国境を越えて自由に仕事を変えたり資本を動かしたりすことができず、国内で働き日本語を話すことで所得を稼ぐ普通の国民です。

このままでは、ますます日本国民の住み辛い日本国になっていきます。

特に、若い世代の日本国民が割を食うことになります。

今の日本は、グローバル投資家やグローバル企業を利することを目的とした株主資本主義や新自由主義(ネオリベラリズム)に基づく政治ではなく、日本国民が豊かになるための政治(経世済民)を取り戻すことが必要です。(「豊になる」の定義は「所得が増える」こと)

もしも「グローバリズム」路線から「経世済民」路線へと大きな政策転換を図ることができれば、日本国民も日本国の若者世代も豊かになることは十分に可能です。

なぜなら、下のグラフのとおり、我が国では生産年齢人口の減少スピードよりも、総人口の減少スピードの方がはるかに緩やかだからです。

つまり幸いにして我が国は、生産年齢人口(供給)< 総人口(需要)という状況になっていくのです。

やがてくるであろう人口減に伴うインフレギャップを、もしも技術開発投資と日本の若者の雇用によって埋めていくことができたとするなら、いずれ我が国は第二の「高度成長期」を迎えることが可能です。

むろん、日本の政治が「経世済民」路線に転換できれば、の話しです。

因みに、現在の日本には、「経世済民」を掲げている政党は一つもありません。

そこに我が国最大の危機があります。

もしも「経世済民」路線に転換できないとすれば、我が国の国民はどうなるか?

いずれ、①日本人(特に若者)の雇用や所得が移民・難民を含めた外国人労働者に奪われていく、②日本人がテロリズムの被害者になる、③日本人の多くが「1% vs 99%」の「99%」側の低下層になっていくことでしょう。