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議会報告 政治・経済

ベンチャー投資の実態2017/10/18    

一昨日(10月16日)、日本経済新聞に次のような記事が掲載されていました。

『リスクマネーの研究会 経産省が立ち上げ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22317530W7A011C1EE8000/

経済産業省はベンチャー投資などリスクマネーの供給の在り方を考える研究会をつくる。官民ファンドの産業革新機構も含め、ベンチャー投資の必要性のほか企業が事業再編に乗り出す際の資金供給などについて議論する。リスクマネーの現状を分析し、今後必要となる政策を検討する。(後略)』

いわゆる「リスクマネー」論です。

実はこの話しも、ここ数日間にわたり当ブログで取り上げている、いわゆる「ネオリベラリズム」(新自由主義)につながるものです。

1990年代ころから「日本にはベンチャー企業が少ない…」ということが、急に各方面で言われはじめました。

この“1990年代”というのがミソです。

米国にとって日本が共産主義の防波堤だった1990年代以前には、「日本にはベンチャー企業が少ない…」なんてほとんど言われていませんでした。

ところが、冷戦構造が終焉した1990年代ころになると急に次のようなことが言われはじめます。

例えば、「日本ではベンチャー企業が起き難い…それに比べてシンガポールでは…」とか、「自由な国・アメリカではベンチャー企業がぁ…」とか、「シリコンバレーでは…」とか、「アメリカ人はリスクを負うが日本人はリスクを負わない…」とか、「日本にはスティーブ・ジョブスがいない…」とか。

とかく“ネオリベ”らは、ベンチャー企業やベンチャー・キャピタルがお好きです。

さてそこで、多くの日本人が「ベンチャー大国」と信じて疑わない米国の開業率を調べてみますと、なんと2013年の米国の開業率は1977年の半分の水準でした。

そうです、話しが全然ちがうのです。

それどころか、開業率が閉業率を下回って切る時期すらあります。

どうしてでしょう?

それは、1980年代以降の米国がネオリベラリズムに基づく構造改革を行ったからです。

なぜ日本ではベンチャー企業が増えないのかと言うと当然な話しで、開業率が増えていない米国のネオリベ改革(規制緩和、小さな政府、民営化などの構造改革)を日本も取り入れたからです。

構造改革はデフレ(需要不足)を深刻化さます。

そんな需要不足状況の中で、そもそも新規事業が次々と起こるわけがない。

要するに、1980年代以降の米国を真似したからこそ、日本でもベンチャー企業が育たなかったのです。

さすがに、あの米国ですらベンチャー企業が育たない現状を憂いているのだそうです。

にも関わらず、〇〇進次郎くんみたいなネオリベラーたちは未だ「1980年代の米国の構造改革を見習おう」と声高に叫んでいます。

更に衝撃的な数字をご紹介します。

米国における未公開株を所有している企業家の比率をみますと、1999年には10%以上もあったのが、2013年には3.6%にまで低下しています。

ネオリベラリズムに基づく構造改革が真に正しいのであれば、今頃は少なくとも20%は超えているはずです。

しかも、2000年から2004年にかけての或る統計をみると、生産年齢人口に占める起業家の比率は、例えばペルー、ウガンダ、エクアドル、ヴェ ネズエラといった、どう考えても米国より開発途上にある国の起業率が、なんと米国の2倍に達しているのです。

皮肉なことですねぇ…

つまり、ペルーやウガンダやエクアドルなど、決して先進国だとは言えない国の企業家のほうが、米国の企業家よりも遥かに高いリスクをとっているいるということです。(笑)

ベンチャー企業の専門家であるスコット・シェーンによると、米国では典型的なベンチャー企業は創業者の貯蓄から資本を捻出していて、ベンチャー企業に対する資金供給は専ら商業銀行からの融資と出資が半々なのだそうです。

要するに、ベンチャー・キャピタルからの資金は全スタートアップ企業の約0.03%以下で、全中小企業金融の2%以下なのだとか。

ただし、シリコンバレーに名だたるベンチャー・ハイテク企業が集積しているのは事実です。

といって「だから米国は素晴らしい」とは思わないでください。

ここで重要なのは、なぜシリコンバレーだけにベンチャー・ハイテク企業が集積しているのかを考えることです。

その答えは簡単で、たんにシリコンバレーに集積しているベンチャー・ハイテク企業のほとんどは軍事技術関連企業であり、軍事技術関連企業であるからこそ、そこに民間資金でなく公的資金(国家予算)が投入されているからに他なりません。

なお、ソ連が脅威とされていた1982年に米国は、安全保障上の技術面の危機感から、ベンチャー企業によるハイリスクな初期段階の技術開発に対して資金を供給するプログラムとして、SBIR(Small Business Innovation Research)を設立しています。

これは即ち、ハイテク企業に対して年間約25億ドルの資金を投下する、いわば技術シーズに対する世界最大の公的ファンドです。

2009年、米国におけるハイリスクな技術に対する投資総額42億ドルの内、60%以上はSBIRによるものだったそうな。

要するに、日本にシリコンバレーをつくりたいのであれば、軍事産業と軍事技術振興を奨励し、そこに公的資金をつけることです。

それをせず、「アメリカではベンチャーがぁ~」とか、「日本は閉鎖的だぁ~」とか言って、ネオリベ的構造改革を推進して国民経済を破壊するのはいい加減に止めてほしい。