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議会報告 政治・経済

内部留保課税も消費税増税も共に必要なし2017/10/12    

希望の党が、幼児教育無償化の財源に「大企業の内部留保への課税」を充てることを主張しています。

それに対して公明党の山口代表が「それでは法人税に加えて二重課税になる」「それでは消費税を後で活用するタイミングを失ってしまう」と、昨夜のテレビ番組で反論していました。

二重課税の前に、そもそもからして内部留保への課税は私有財産権の侵害だろうに。

それに、消費税を後で活用するタイミング…って何でしょうか?

内部留保課税を提唱する方もする方ですが、それに反論する側の理屈も極めて低レベルでがっかりです。

この種の人たちは資本主義というものを全く理解していないことがよく解ります。

少なくとも、教育への支出は「投資」である、という重要な視点が彼ら彼女らに欠如していることは確かです。

資本主義とは、生産活動に「生産資産」「人材」「技術」というリソースを投じることで、一人当たりの生産性(=所得)を引き上げていくシステムのことです。

例えば…
生産資産を構築しようとすれば、公共投資や設備投資を!
人材力を構築しようとすれば、人材投資を!
技術力を構築しようとすれば、技術開発投資を!
…それぞれ行わなければなりません。

つまり資本主義とは、投資!、投資!、投資!、なのです。

これらの投資の原資は主として借金(減価償却費)です。

人材投資だって、その会社が正規社員として相応の給料で雇い続けるという意味では投資です。

大抵の場合、入社1~3年目の社員など会社にとって戦力的には使い物になりません。

それでもその会社が、その職員を正規社員として雇い、相応の給料を払い続けることによって、数年後に一人前の戦力に育て上げることが可能です。

この時、正規社員の給料は財務会計上、固定費になります。

固定費である以上、いわば「投資(減価償却費)」と同様です。

であるからこそ人材投資なのです。

因みに、派遣社員の給料は、会社にとって固定費ではなく変動費になります。

変動費になると、会社の都合でいつでも雇用契約は強制終了となります。

そうなると、人材ではなく、いわばモノと同じ扱いになってしまいます。

なので、増やすべきは派遣社員ではなく正規社員なのです。

おそらくは、我が国の政治家の多くが、「投資」や「減価償却」の概念を正しく理解されていないような気がいたします。

長期に使用する資産については購入費用を単年では計上せず、長期に渡り償却していかねばなりません。

それが減価償却の考え方です。

どうして費用を長期に渡って計上するのか?

むろん「所得を稼ぐ」という便益が、長期に渡りもたらされるからです。

あるいは現時点の支出によって、その便益が未来(長期)にわたって生じるからです。

例えば、公共投資で道路や橋梁をつくる場合、その原資を一般財源(フロー)に拠るのではなく、国債(建設国債であって赤字国債ではない)や地方債という借金で充てているのはそのためです。

道路や橋梁は長期に渡って利用者に便益をもたらすわけですから。

それまで存在しなかった橋梁ができたことによって、その地域の生産者の生産性が向上して売上げ(所得)が増える。

国民の所得の合計を、GDP(名目)といいます。

名目GDPが増えると税収は必ず増えます。

当然ですよね…
税収 = 名目GDP × 税率
…なのですから!

ここで重要なことは、財政問題は借金の絶対額ではなく、借金とGDPとの比率で考えることです。

去るG20サンクトペテルブルグ首脳宣言においても、財政健全化の定義は「政府債務対GDP比率の低下」であると合意されています。

我が国が抱え込んでいる最大の問題は、デフレで名目GDPと税収が増えていないことです。

即ち、政府債務対GDP比率の分母たる名目GDPが増えていないことが問題なのです。

政府債務の絶対額など問題ではありません。

そもそも、100%自国通貨建て(円建て)で国債を発行している日本国に深刻な財政問題など存在していませんし。

さて、話しを戻しますが、要するに何を言いたいのかといえば、教育への支出は投資である以上、財源が不足しているのであれば国債(教育国債)を発行すればいいだけの話しです。

あえて家計簿に例えて言うなら(国家財政と家計簿は根本的に異なるので本来は例えてはダメ)、住宅ローンや教育ローンを組まず、すべての支出をその年の所得と過去に蓄えた貯金から支払おうとするようなものです。

そりゃぁ、おカネが足りなくなるのは当然でしょうに。

安倍総理は、消費税増税分(2%=約5兆円)の半分を借金返済に回すとしていますが、借金返済分(約2.5兆円)は確実にGDP(名目)を減少させます。

政府による需要創造(名目GDP拡大)が求められているこのデフレ期に、2.5兆円の名目GDPを減少させることを選挙公約で宣言しているのですから凄いですね。

デフレを解消すれば自ずと名目GDPが拡大し、名目GDPが拡大すれば自ずと税収が拡大します。

そうすれば、国際的定義としての財政健全化(政府債務対GDP比率の低下)も自ずと進みます。

要するに、消費税増税など不必要なのです。

ましてや、税収が足りないから消費税増税が必要だ、という議論は完全に間違っています。

不足しているのは、需要という名目GDPなのです。

断言しますが、消費税増税は名目GDPを拡大させるどころか着実に減らします。

そして国民の皆様、騙されないでください。

消費税を増税する真の目的は「法人税率の更なる引き下げ」にあります。

法人税率を引き下げて株主利益を最大化せよ、というグローバル投資家らの要請に応えようとしているだけなのです。

しかも国民生活を犠牲にして。

下のグラフをご覧ください。

法人税率の引き下げによって不足した税収を、これまで消費税の増税によって穴埋めされてきたことがよくわかります。

希望の党が「消費税増税(8%→10%)の凍結」を公約にしたのは、たんにポピュリズム(大衆迎合)からでしょう。

教育という人材投資の財源を、企業の内部留保への課税という私有財産権の侵害によって賄おうというのですから、これまた凄いですね。

確かこの党は「寛容なる保守政党」を自任していませんでしたっけ?