〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 政治・経済

内部留保課税は私有財産権の侵害2017/10/07    

希望の党が「消費税凍結と内部留保の社会還元」を公約に掲げています。

公約をよく読んでみますと、「消費増税(8%→10%)を凍結するとともに、300兆円の大企業の内部留保に課税することによって、配当機会を通じた株式市場を活性化性化し、雇用を創出し、設備投資の増加をもたらす」と明記されています。

ですが…
内部留保への課税 ⇒ 株式市場が活性化 ⇒ 雇用創出 ⇒ 設備投資の増加
…に至るまでの政策的な波及経路がよくわかりません。

内部留保に課税すると、株価って上がるんですか?

株価が上がると、雇用って拡大するんですか?

雇用や設備投資は実体経済(フロー)の話しであり、株価は金融経済(ストック)の話しです。

どうやら実体経済(フロー)の話しと金融経済(ストック)の話しとがゴッチャになっていますね。

各政党の主張を聞いていると、与野党ともに「内部留保の増大そのものが経済の足かせになっている」とお考えのようですが、私なりの結論はまったく違って、内部留保はデフレの結果であり決して要因ではない、ということです。

政府による財政政策の拡大(財政支出の拡大)によってデフレが解消されれば、需要の継続的な拡大が見込まれます。

需要の継続的な拡大が見込まれれば、企業は自ずと内部留保を吐き出して設備投資や雇用を拡大することでしょう。

ところが、与党は「既にデフレではない」と言っているし、希望の党を含めて野党はデフレそのものをまったく問題視していない。

…う~ん、困ったものです。

いずれにしても、企業の内部留保の増大をどのようにとらえるのかが、今回の衆院選で1つの争点になりそうです。

とはいえ、そこで言われている「内部留保」の定義が問題です。

少なくとも希望の党は、企業の「利益剰余金」を「内部留保」として定義しているようです。

私もときたま、当ブログにおいて企業の「利益剰余金」を、便宜的に「内部留保」として紹介することがあるのですが、正確に言うと間違いです。

利益剰余金は企業がそれまで積み立ててきた利益の総額を指しますが、全額を現預金で保有しているわけではありません。

それを使って実物資産を取得したり、負債を返済したりしているからです。

残った部分、すなわち利益剰余金のうち現預金で保有されている部分が、いわゆる内部留保です。

本年3月末時点で非金融法人(一般企業)が保有している現預金残高は255兆円で、問題となるのはこの部分です。

とはいえ、企業、家計、個人が保有する現預金という資産に対して、国家が税を課すのは明らかに私有財産権の侵害です。

税は、基本的に所得(フロー)に対して課すべきであって、資産(ストック)に対して課すべきではありません。(※所得に課すとはいえ、むろんその額に応じて税率は変えるべき)

その上での話しですが、企業の内部留保が増えつつも、実質賃金が上昇していないことが更に大問題です。

これには労働分配率や労働生産性の問題が関わってくるのですが、結論から言うと、デフレを完全に脱却し経済成長を成し遂げることでしか実質賃金を上げることはできません。

ここでいう経済成長とは、実質GDPの拡大、名目GDPの拡大、GDPデフレーターの上昇を指します。(実質GDPの拡大だけではダメ!)

これまでくどいように述べておりますが、その手段は継続的な政府による財政支出の他なく、長期計画に基づいた政府による需要創造が求められています。

しかしながら、与党はもちろん、希望の党を含めた野党にも「デフレ脱却を目的とした財政支出の拡大」を提唱している政党は一つもありません。

残念です…