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議会報告 政治・経済

解っているようで解っていない新聞2017/10/02    

「天下の日本経済新聞が、専門である金融や経済について、まさか間違ったことを記事にするはずがない…」と、もし思われているかたがおられましたら、それは大きな誤解です。

この新聞も朝日新聞に負けず劣らず平然と無知を晒します。

『日銀、緩和出口に高まるリスク 遠のくほど利払い膨張
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21754230Q7A930C1EA3000/

米連邦準備理事会(FRB)が今月から保有資産を縮小することを決め、出口が見えない日銀の出遅れが鮮明だ。大規模緩和が長期化するほど金利上昇局面では当座預金への利払いが膨張し、日銀の財務が毀損しかねない。政府と日銀の蜜月は危うさと背中合わせだ。(後略)』

上の記事は、米国の中央銀行であるFRBが今月から保有資産を縮小しはじめるので、日本銀行も同じように保有資産を縮小しないと、いずれ金利が上昇(保有資産の価値が減少)して、日本銀行の財務(バランスシート)が毀損しかねない…といって、例のごとく要らぬ危機を煽っています。

少し説明が必要ですが、日本であれ米国であれ、中央銀行が民間銀行に保有資産を売却(保有資産の縮小)すると、世に出回っている現金(日本なら日銀券)の量が減ります。

逆に、中央銀行が民間銀行から保有資産を購入(保有資産の拡大)すると、世に出回る現金の量が増えることになります。

むろん、国民一人ひとりに現金(おカネ)が配られるわけではなく、民間銀行が日本銀行にもっている当座預金におカネが貯まっていくことになります。

つまり、企業や個人への貸出しを増やしたいがために民間銀行の資金量を増やしているわけです。

これを量的緩和といいます。

何のために?

デフレを脱却するために…です。

具体的には、物価上昇率(インフレ率)を2%にまで引き上げる、というのが黒田日銀の目標です。

ところが…下のグラフのとおり、まったくその目標を達成することができないままでいます。

因みに、日本銀行が民間銀行から購入する資産とは、主として国債です。

これまで日本銀行は量的緩和ということで大量の国債を購入し続けてきたのですが、いっこうにインフレ率が上がらない。

その理由はまた改めて。

さて、前述の日本経済新聞の記事の話しに戻ります。

量的緩和を縮小していくことを、金融界では「出口戦略」といっています。

記事は、「出口戦略が見えないままに、金利が上昇して日本銀行の保有する資産価値が縮小したら大変だぁ~」と嘆いているわけです。

考えてみてください。

金利が上昇しはじめる局面というのは、どういう局面でしょうか。

それは、民間銀行の貸出しが増えてインフレ率が上昇しはじめたときです。

これをデフレ脱却といいます。

デフレを脱却したら量的緩和の必要性はなくなります。

なので、金利の上昇は決して悪いことではなく、むしろ歓迎するべき事態なのです。

それを日本経済新聞は「金利が上昇したら大変だぁ~」と煽っています。

しかもこの新聞は、日本銀行が国債を購入(保有)すると、グループ決済で政府負債が消滅することを知らない。

現に、日本銀行が国債を購入していることで、政府の負債残高は減少しています。

百歩譲って、日本銀行のバランスシートが毀損して債務超過に陥ったとしましょう。

それでも、政府が通貨を発行して資本注入すれば解決されます。

解決の時間は、おそらく10分も要しないでしょう。

それよりも、下のグラフのとおり、既に民間銀行が保有する国債が枯渇しており、これ以上の日本銀行による量的緩和にレッドライン(量的緩和の強制終了)が近づいています。

政府が緊縮財政によって借金(国債発行)を拡大しないからです。

民間の資金需要が乏しい今、政府が借金(国債発行)を拡大しないかぎり絶対にデフレを脱却することはできません。

もしもデフレを脱却できないままに、レッドライン(量的緩和の強制終了)を迎えてしまうと、実体経済は更にデフレが深まり、金融経済は過度な円高・株安に陥ることでしょう。

デフレ期における政府の緊縮財政こそが、我が国の今と未来を危うくしています。

要らぬ危機を煽ることで、デフレ期による緊縮財政の必要性を喧伝しているのが、まさに日本経済新聞なのです。