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議会報告 政治・経済

派遣社員を犠牲にした派遣会社のビジネス拡大2017/09/24    

米国の中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は、10月から保有資産を段階的に圧縮して、量的引き締めに入ることを決めています。

とはいえ、肝心の物価(インフレ率)は停滞したままです。

堅調な雇用をはじめとして米国の景気は底堅いと言われているのに、上のグラフのとおり低インフレが続いています。

その原因をめぐる論争が、米国のみならず世界的にも広がっているようです。

主流派経済学の観点からすると不思議なことなのかもしれませんが、国民経済の観点からすればその答えは簡単に導き出せると思うのですが…

その答えとは、グローバリズムです。

グローバリズムとは、ヒト、カネ、モノ、サービスの国境を越えた移動の自由を最大化することです。

誰のために?

むろんグローバル投資家やグローバル企業の利益のためにです。

グローバリズムを進めるための具体的な政策は次の三つ…
①規制緩和
②自由貿易
③緊縮財政
…です。

評論家の三橋貴明先生はこれを「グローバリズムのトリニティ(三位一体)」と言っておられます。

例えば、①の規制緩和は、雇用規制の緩和、資本規制の緩和、参入規制の緩和、安全基準の緩和などです。

雇用規制の緩和の代表格は、何と言っても労働契約法や派遣法の緩和でしょう。

要するに、派遣会社には利益を上げやすく、グローバル企業には人件費を抑え易くするための規制緩和です。

むろん、派遣された社員の給与は安く抑制されるので実質賃金はなかなか上がっていきません。

これがデフレ(低インフレ)圧力になります。

②の自由貿易の代表格は、TPPなどの国際協定に基づく関税撤廃です。

関税撤廃によってダンピング商品などが一気に国内に流入すれば、当然ながら国内産業は大打撃を受けます。

自然、失業者が増えるか、もしくは労働分配率を引き下げたり、派遣社員などの非正規雇用を増やしたりするので、これもまたデフレ(低インフレ)圧力になります。

一つの産業が低賃金化すると、どうしても余剰雇用が発生しますので、それが他の産業にも波及していって尚のことデフレ(低インフレ)化してしまいます。

③の緊縮財政についてはもはや言うまでもありませんが、デフレの長期化によって投資先のない民間企業に代わって、政府や地方行政が支出を拡大することで需要を創出しなければならないにもかかわらず、愚かにも家計簿的発想で行政が率先して財布の紐を絞めているわけですから、余計にデフレ(低インフレ)化するのも当然です。

難民や移民の流入で大混乱に陥っているユーロ・グローバリズムが典型ですが、グローバリズムが求める移動の自由の中でも、最も甚大な影響を及ぼしているのが“ヒトの移動の自由”です。

昨年(2016年)6月23日、堪りかねたイギリスがユーロ・グローバリズム(EU)から離脱を決断したのも無理からぬことかと思われます。

2004年に東欧諸国がユーロ・グローバリズム(EU)に加入して以降、東欧の移民や難民がイギリスに大量に押し寄せ(EU加盟国のイギリスには移民難民の流入を断つ権限がなかった)、わずか5年間でネイティブ・イギリス人の実質賃金が8%も下落したほどです。

そりゃぁ、ブレグジット(英国のEU離脱)を決断するのも当然でしょう。

つまり、グローバリズムが世界中の実質賃金を押し下げ、デフレ(低インフレ)圧力の温床になっています。

きっと、グローバリズムを至上のものとする主流派経済学は、そうした負の現実を素直に受け入れることができないのでしょう。

さて、これほどにグローバリズムが行き詰まっているにも関わらず、周回遅れでグローバリズムに突き進んでいる国があります。

そうです、我が日本国です。

下のグラフをご覧ください。

2014年の段階では、外国人移住者(移民)の流入数は世界第5位だったのですが、2015年はついに第4位になってしまいました。

今後、イギリスはブレグジットを決断したことで移民難民の流入に制限を加えることができますので、そのうち日本がイギリスを抜いて世界第3位になってしまう可能性が十分にあります。

一方、2015年の外国人人口では、既に日本は世界トップ7にランクインしています。

加えて、日本では雇用規制が更に緩和され、外国人派遣社員の拡大が進んでいくことでしょう。

現に、農業の場においては、外国人派遣社員を使えるようにすることが特区で具現化されようとしています。

加計学園問題で有名になった『国家戦略特区諮問会議』で、外国人労働者の就労を可能にする農業特区が認められたのです。

これまで農業で働いていた外国人は技能実習生でした。

なので3年もしくは5年で帰国していたのですが、今後は期限なしで外国人労働者を安く雇用し続けることが可能になります。

日本は初めて、高度人材ではない外国人労働者を受け入れることになったのです。

ここで入ってくる外国人労働者は、農家が直接雇用するのではなく、派遣会社から派遣される派遣社員になります。

某派遣会社の某取締役会長が、『国家戦略特区諮問会議』の民間議員として大きな影響力を揮い、こうした規制緩和を進めています。

日本人派遣社員は、ただでさえ賃金を抑制されているのに、これで外国人派遣社員が拡大していけば、さらに賃金が抑制されることになります。

今や、派遣社員を犠牲にした派遣会社のビジネスの拡大が進んでいる、と言っていい。

先進国とは、自国(自前)の「人材」と「技術」と「生産資産」によって、モノやサービスや安全保障といった国民の求めるニーズ(需要)を充たせる国家のことです。

なのでグローバリズムを推し進めていけば、その国は徐々に発展途上国化していくことになります。

私たち日本国民は肝に銘じるべきです。

国境という防衛線が破られると、その国の自前の供給能力(人材・技術・生産資産)が毀損され、ついには国民が求める様々な安全保障が破壊されてしまうことを。