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議会報告 政治・経済

財政赤字とデフレ脱却2017/09/01    

ロイターの報道によれば、国の来年度(2018年度)予算の概算要求は、国債費を除いた政策経費は約77.1兆円で、社会保障費増に加えて北朝鮮情勢への対応により防衛費を増やすなど、要求総額が100兆円を超えるとのことです。

記事は例のごとく、「77.1兆円は過去最大だぁ!」とか、「100兆円を突破するのは4年連続だぁ!」とか言って煽り立て、政府支出の拡大圧力を殊更に問題視しています。

ところが、実際には政府支出は拡大していません。

なぜなら、国債費が2年連続で減額されているからです。

よって、政策経費と合わせた総額は100.9兆円程度となり、今年度の101.5兆円を下回っています。

要するに、歳出の拡大どころか、相変わらず安倍政権は緊縮財政路線なのです。

それなのに、まるで歳出を拡大し続けているかのように報道するのですから、ほんとうに質が悪いですね。

概算要求では、高齢化に伴う社会保障費が伸びていることで、政策経費のうち約4割が厚生労働省の要求となり、ミサイル防衛などの対応を迫られる防衛省も4年連続で5兆円を超えての要求になるとのことです。

そして、その増えた分だけ、国債の発行を減額するわけです。

つまり、あの愚劣なるプライマリー・バランス(以下「PB」)黒字化目標があるかぎり、何かの予算を増やしたら、別の何かの予算を削るか新たな増税をするしかないのです。

まさにPBの呪縛です。

マクロ経済の常識として、デフレ期に政府部門が黒字化(もしくは赤字減少)すれば、民間部門の資金が吸い上がられて余計にデフレ化します。

デフレ化すると名目GDPが拡大しませんので、税収も増えません。

税収が増えないからまた「歳出のカット」という話しになり、歳出がカットされることでまたデフレ化する。

このバカげたスパイラルで、1995年の「財政危機宣言」以来、我が国はデフレを脱却できず貧困化(発展途上国化)し続けています。

古今東西の歴史をみても、政府支出の拡大以外にデフレを脱却できた事例はありません。

さらに誤解を恐れずに言いますが、今求められているのは政府支出の拡大というよりも、政府による「財政赤字」の拡大です。

デフレとは「名目GDPになる貨幣」の不足です。

よって、金融経済に滞留している貨幣を、実体経済(名目GDP)に吸い寄せなければなりません。

どうやって?

それが今の為政者たちには解らない。

貨幣とは、貴金属の裏付けのない単なる「借用証書」です。

借用証書は、誰かが誰かの債務者であることを証明するものです。

例えば、私たちが普段使っている現金貨幣「日本銀行券」は、日本銀行の債務であることの証明書であり、それを持っている人が債権者であることの証明書です。

1万円札を持っているということは、日本銀行に対して1万円の債権を持っていることの証です。

その1万円札という日本銀行の借用証書(債務)で買い物をするとき、それと商品とを交換することで、モノやサービスの売買が成立します。

また、誰かが誰かの作ったモノやサービスを購入したとき、「債務」と「債権」の関係が発生します。

即ち、誰かが借金をしたとき金融経済から実体経済に貨幣が供給され、その貨幣でモノやサービスが購入されたとき、「債務」=「借用証書」=「名目GDPになる貨幣」が増えるわけです。

名目GDPになる貨幣が供給過剰を解消するほどに増えればデフレ脱却となります。

民間部門に資金需要のないデフレ期、貨幣を借りて使うことのできる経済主体は唯一つ、政府しかありません。

そのことが、政府に財政赤字が求められている所以です。