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議会報告 川崎市政

なぜ、世田道「登戸陸橋」拡幅事業は進まないのか2017/08/31    

私の選挙区である川崎市多摩区には、都市計画道路世田谷町田線(以下「世田道」)が区域を縦断するように貫かれています。

東京方面から多摩川を渡るとすぐに登戸陸橋という世田道の拡幅整備区間があるのですが、世田道(下り線)をご利用された方なら、多摩川を超えようとした途端に、急にひどい混雑に巻き込まれたご経験が何度もあろうかと思います。

むろん、上り線もまた然りです。

この拡幅整備事業が遅れに遅れていることから、交通量が逼迫する時間帯には深刻な渋滞が慢性化しています。

2008年3月に策定された「川崎市道路整備プログラム」(市の整備計画)によれば、本来は2014年度までに登戸陸橋の拡幅事業は完成する予定になっておりました。

ところが、その完成予定から既に3年の時が過ぎていますが、事業は未だ思うように進捗していません。

昨年(2016年)3月に改訂された「川崎市第二次道路整備プログラム」によりますと、完了予定期間はさらに延長されて2021年になっています。

オリンピックよりも後のことになります。

事業進捗を阻んでいるのは、何も用地の買収等に手こずっているわけではありません。

結局、おカネの問題です。

もっといえば、プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化問題といってもいい。

少し、説明が必要になります。

こうした都市計画道路の整備にあたっては、たいていの場合、市と国とで費用を折半して事業を推進します。(※正しくは“街路事業”と言います)

例えば事業区間(道路延長)が100メートル、事業期間が5年、総事業費が20億円という道路整備(街路事業)があったとします。

そこでまず、初年度は20メートルを整備するとします。

なので、その年の事業費は4億円(20億円÷5年)になります。

うち、半分の2億円を国(国土交通省)が、もう半分の2億円を市が負担するかたちで予算を組みます。

因みに、国が負担する2億円の原資は建設国債(赤字国債ではない)です。

市が負担する2億円も約9割が市債、残りの1割(約2千万円)が一般財源です。

事業が完了すると「道路」という固定資産が残りますので、こうしたインフラ整備では、国も自治体も基本的には起債によって財源を賄うわけです。(※借金は悪ではない)

さて、初年度(延長20メートル)の整備事業を行うにあたって、川崎市は2億円を、国がもう半分の2億円を用意するはずなのですが…

国の緊縮財政(歳出削減)によって、残念ながら国がつけるべき2億円のうち、「国としては半分の1億円しか出せません」となります。

繰り返しますが、道路事業(街路事業)は市と国の折半ですので、国が支出額を減らした以上、初年度2億円を用意していた川崎市も予算を減額して1憶円を支出することになります。

よって、結局は国と市の合計で2億円分の事業(延長10メートル)しか執行できなくなります。

こうしたことの繰り返しによって、本来は事業期間5年(事業延長100メートル)の道路整備(街路整備)が、10年以上もの事業期間を要してしまうことになります。

本来、国が用意すべき財源が急に減らされてしまうことを、行政用語で「国庫認証減」と言います。

下のグラフのとおり、ここ数年、国庫認証率が低下しています。

去る6月議会(川崎市議会定例会・一般質問)で川崎市の建設緑政局長は、私の質問に対し、次のように答弁されています。

質問:「登戸陸橋の件を一例として、本市における道路整備に係る国からの財政支援、補助金、交付金の見通しはどうなっているのか?」(三宅隆介)

答弁:「平成29年度における道路関係の社会資本総合交付金は約49億円の内示を受け、そのうち基幹道路の整備に係る予算としては約15億円で、要望額より大幅に下回る状況です。今後、国からは道路整備に係る予算は年々減少する一方、各地方公共団体の要望額が増加し続けている状況と伺っていますので、本市としても厳しい状況が続くことを想定しています」(藤倉茂起・建設緑政局長)

どうしてこのようなことになるのかと言えば、現在、憲政史上、最も厳しい緊縮財政が安倍政権によって断行されているからです。

安倍政権は、財務省の言いなりなって、デフレ期であるにもかかわらず「プライマリー・バランス(基礎的財政収支)」(以下「PB」)の黒字化という愚策を続けています。

※プライマリー・バランス(基礎的財政収支)とは、「公債の元利払いを除いた歳出」と「税収」とのバランスを指し、これを黒字化することをプライマリー・バランスの黒字化と言います。

総需要が不足するデフレ期に政府部門がPBを黒字化しようとすると、政府部門が民間部門の資金を吸い上げることになるので、かえってデフレが深刻化する(国民を貧困化する)、というのは今やマクロ経済の常識です。

政府は現在、2020年のPB黒字化を目標にして、凄まじい緊縮財政を行っています。

このことが、国庫認証率を押し下げ、各地方自治体のインフラ整備を妨げています。

OECDのレポートにおいても「日本は先進国で最も財政支出をしていない国」として指摘がなされています。

この「2020年PB黒字化目標」を設定したのは、あの菅直人内閣です。

なぜか第二次安倍政権は、このデフレ下でのPB黒字化というクズ目標を踏襲しています。