〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 川崎市政

脱グローバリズムのモデル国家2017/08/09    

グローバリズムとは、ヒト・カネ・モノの国境を越えた移動の自由を「善」とする思想でありシステムのことです。

それを大規模かつ本格的に実践したのがEUです。

EUには、国境検査なしで国境を越えることをお互いに認め合おうという協定があります。

いわゆるシェンゲン協定です。

あるいはダブリン協定という協定もあって、EU域内に難民が入ってきた場合、最初に入った国(EU加盟国)で申請手続きを行い、もしもその難民が申請手続きをした後に別の国に移動したときには、その難民は手続きした国に送り返されます。

要するに、最初に受け入れた国がその難民の面倒をみよ、という協定です。

なので、とりわけイタリアやギリシャなど地中海側に位置しているEU加盟国は悲惨です。

とはいえ、さすがに怒涛の如く流入してくる難民を捌ききれるはずもないので、今やダブリン協定は有名無実となっています。

国境を越えた「ヒト」の移動の自由は、難民問題を深刻化させ、ネイティブ国民の雇用を奪い実質賃金を押し下げデフレを深刻化させ、更には犯罪率を悪化させています。

国境を越えた「カネ」や「モノ」の移動の自由は、外資による対内直接投資を招きデフレを助長し国内産業を疲弊させ、対外直接投資の拡大はこれまたネイティブ国民の雇用を奪っています。

このようにヒト、カネ、モノが弛まなく移動しているEU域内では常に供給過剰状態が続きますのでデフレ化します。

デフレ解消のためには各国の財政出動が必要ですが、これまたEUの縛りがあって各国は緊縮財政を行わなければなりません。

またEUは、輸出競争力のある国は勝ち組に、ない国は負け組となって域内を経済的に分断していきます。

負け組国家は、本来であれば為替レートの切り下げや政府規制の介入等で国内の産業と雇用を守り、財政を出動させることで国内のデフレを解消できます。

しかしEUに加盟しているかぎり各種の協定や縛りがありますので、そうした国家の主権に基づく政策をとることが不可能なのです。

このように各種の協定に国家の主権が奪われるのが、グローバリズムです。

昨年のブレグジットやトランプ現象をはじめ、ヨーロッパにおける反グローバリズム政党の大躍進の背景には、そうしたグローバリズムによる弊害の露呈があり、主権が侵害されている各国のネイティブ国民らによる鬱屈とした不満があります。

さて、そこで問題です。

問題① 先進国と言われる国で、相対的にもっともグローバリズムの弊害がでていない国はどこの国でしょう?

問題② 世界でもっともグローバリズムに向かって突き進んでいる国はどこの国でしょう?

答えはともに、日本国です。

確かに1990年代以降、我が国は構造改革というネオリベ(新自由主義)的なグローバリズム政策が進められ、デフレ期であるにも関わらず、規制緩和、自由化、民営化、緊縮財政が容赦なく断行されてきました。

既にその弊害が様々にでていますが、EUに比べればまだまだ序の口なのかもしれません。

例えば、確かに日本の対外直接投資は増え続け、日本国民の雇用は奪われてきました。

一方、対内直接投資の対GDP比率を国際的に比較してみますと、下のグラフのとおりです。

あくまでも国際的に比較してですが、カネの移動の自由は未だこの程度に収まっています。

あるいは、ヒトの移動の自由はどうでしょう。

移民人口比率を国際的に比較してみると、下のグラフのとおりです。

ご覧のとおり、日本の移民人口比率は未だ1.6%で国際的にみても低水準です。

川崎市の外国人人口比率は2.5%です。

それでも、わたくし的には「最近、多くなったなぁ」という印象を持っています。

もしもこれが5%、10%になった場合、世の風景が激変するであろうことは容易に想像できます。

因みに、私が外国人労働者の受け入れに反対するのは、我が国の生産性向上による経済成長が阻害されるからであり、けっして排外主義ではありませんのでご注意を。

さて、川崎市民にしても、日本国民にしても、グローバリズムに対する危機感、あるいは主権侵害に対する不満等がまだまだ希薄なのは、日本のグローバル化が未だ辛うじて阻まれているからなのかもしれません。

ところが、その一方で、我が国は(安倍政権は)ものすごい勢いで外国人労働者という事実上の移民を受け入れ続けています。

更には、米国すら批准しないTPPを批准してみたり、出資法を廃止したり、雇用規制を緩和したり、あまつさえ日本国民の食料安全保障を担う農協まで解体しようとしています。

その意味で、我が国ほど自らグローバル化に突き進んでいる国はありません。

因みに、川崎市長によれば「グローバル化の進展は私たちの生活に様々な影響を及ぼしており、市民や企業等の活動と世界との関わりはより深く広くなっています。また2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定し、世界の注目が我が国に集まる中、本市においてもこれをひとつの目標にし、海外により開かれた魅力あるまちづくりを進めていかなければなりません」(『川崎市国際施策推進プラン』より)とのことです。

つまり「グローバリズムを前提に、より開かれた川崎にする」のだそうです。

もう一度申し上げます。

国境を否定するグローバリズム及びグローバル化の進展は、まちがいなく日本国民たる川崎市民の主権を侵害していきます。

日本国民が主権を行使することによって日本の政策が決定されなければ、我が国は民主主義国家とは言えません。

といって、私はなにも「鎖国をしろ」などと言っているのではありません。

我が国及び本市が目指すのは、あくまでも国境を前提とした国際交流であり、国民を豊かにするための経済活動であるべきです。

既にグローバリズム体制が行き詰まっている今、我が国は「脱グローバリズム」のモデル国家になるべきだと考えます。