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議会報告 川崎市政

忍びよる量的緩和の強制終了2017/08/07    

誰かによって生産されたモノやサービスを、ほかの誰かがおカネを払って購入する。

究極的には、これが実体経済です。

そのとき、購入量が増えることを需要の拡大と言います。

例えば需要の一つである消費の量をみるには、物価の上昇率をみればいい。

なぜなら、物価はモノやサービスの購入量が増えたときに上昇しますので。

そこで、川崎市における6月の消費者物価指数をみますと、前年同月比0.3%でした。

ここで言う消費者物価指数は、日本銀行が指標としている「生鮮食品を除く総合」(コアCPI)です。

時系列でみますと、下のグラフのとおりです。

2014年4月から翌年3月まで上昇していますが、これはご承知のとおり消費税増税(5%→8%)にともなう強制的な物価の値上がりであり、消費(モノやサービスの購入)が増えるなどして景気が良くなって上昇したわけではありません。

なので、2015年4月から再び消費者物価は下落しています。

なお、昨年の2016年は本当に酷かったことがよく解ります。

抉るようにして折れ線グラフがマイナス化しています。

とはいえ、べつに今年に入ってから良くなったわけでもなく、ご覧のとおりゼロ%前後で推移していて、日銀が目標(ターゲット)としている2%には遠く及んでいません。

まさに2014年4月の消費税増税(5%→8%)が、藤井内閣官房参与の言われるネガティブ・インパクトとなって民間消費を抑制し続けています。

市内で小売り・サービス業を営まれている多くの商店主さんたちが悲鳴を上げているのも無理のないことです。

過日に開かれた川崎市議会6月定例会において、市内経済を所管する本市経済労働局長に対して景況感について質問したところ…
「金融機関が実施した中小企業動向調査(業況DI)によりますと、製造業及び小売業など一部業種においては依然としてマイナスの水準であることから、市内の経済情勢は依然として厳しいものと認識している」
…との答弁でした。

この種の質問をすると、なぜか必ず景気の判断材料として「業況DI」しか出てこないのが本市の経済労働局の残念なところです。

景気を判断する材料は、他にもたくさんあるのに…

結局、実体経済とは何か、景気が良くなるとは何か、需要とは何か、おカネとは何か、という経済をみる上での基礎的な認識ができていないがために、「業況DIが悪いからきっと景気も悪いんじゃない~」みたいな苦笑するほどに抽象的な答弁しか出てこないのでしょう。

そして現状把握ができていないから、まともな処方箋も示せない。

と言っても、おそらくは川崎市のみならず、全国の地方自治体が同じような状況かと思われます。

それもそのはずで、行政の親分たる中央政府だって結局はよく解っていないのですから仕方のない話しなのかもしれません。

『デフレ状況改善しているが、やるべきことある=茂木経済再生相
http://jp.reuters.com/article/motegi-ministry-idJPKBN1AK070

茂木敏充経済再生相は4日の閣議後会見で、安倍晋三政権の経済政策アベノミクスの成果として「デフレではない状況を作り出せている」ものの、原油価格下落など「外部的要因が(人々の物価観である)予想物価上昇率を下押ししている」と指摘した。「デフレ状況は改善しているが、やるべきことはある」とし、「政府・日銀がしっかり連携し、あらゆる政策で脱デフレを目指す」と強調した。(後略)』

茂木新大臣によれば、既に「デフレでない状況を作り出せている」、なおかつ「原油価格下落などの外部的要因が予想物価上昇率を下押ししている」とのことですが、デフレでない状況を「デフレ脱却」と言うのではないのですか。

下のグラフのとおり、消費者物価が一向に目標の2%に近づかない状況で、よく「デフレでない状況(デフレ脱却)だ」と言えますね。

また茂木新大臣は「日銀に物価安定目標の実現を期待している」ようですが、そもそも本当に「デフレでない状況」であるならば、日銀に期待することなど何もないはずでしょうに。

デフレだから日銀に期待しているのではないのですか?

それから、どさくさに紛れて「原油価格の下落」を言い訳に使っていますが、上のグラフのとおり、原油価格を除いたコアコアCPIはもっと下がっています。

いったい自分が何を言っているのか解っているのでしょうか。

それに「引き続き日銀に期待する」と言っても、日銀の量的緩和(国債の購入)は、いよいよ限界に近づいています。

何が限界かと言うと、今年の3月時点で日銀が保有する国債は427兆円にのぼり、下のグラフのとおり全体の39.5%になりました。

一方、日銀に国債を売ってくれる民間銀行の国債保有割合は、わずか18.7%です。

金額にすると、202兆円しかありません。

現在、日銀の量的緩和(国債購入)ペースは年間60兆円です。

民間銀行は長期資金の運用のために一定量の国債を保有していなければならず、すべての保有国債を日銀に売るわけにはいきません。

なので、あと一年もすると「これ以上、日銀が購入する国債がない」という状況になって強制的な「量的緩和の終了」です。

デフレを脱却できないまま、強制的に量的緩和が終了されると、為替市場は急激な円高(株式市場では株安)になって、さらにデフレ化(財政悪化)します。

また、どんなに日銀が量的緩和したところで、政府の財政出動がないかぎり、物価が上昇しないことは既に証明されています。

よって政府は、国債(財政)を発行(出動)して市場の国債を増やし、需要不足というデフレギャップを埋めるしかありません。

今まさに、中央政府・地方政府ともに、財政支出の拡大が求めらています。

それを、小さな政府論(緊縮財政論)やプライマリー・バランス黒字化絶対論が阻んでいます。