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議会報告 川崎市政

ハイテクラインだけど混雑ライン2017/08/04    

JR南武線は、川崎市と東京都立川市を路線延長35.5キロで結んでいるJR東日本屈指のドル箱路線です。

南武線は支線を含めて30の駅を有しています。

都心へのアクセスの良さ、また沿線にはNEC、富士通、東芝、キャノンなどの大手電機メーカーをはじめ、世界的企業やIT系企業の研究施設が多く集積しているため、川崎市はJR南武線を「ハイテクライン」と呼んでいます。

今、そのJR南武線沿線のいくつかの駅に掲示されているトヨタ自動車の求人広告が話題になっています。

ご覧のとおりトヨタの中途採用広告で、けっこう刺激的なフレーズです。

むろん、その刺激的なフレーズが話題を呼んでいるのだと思われます。

我が国では、生産年齢人口(15~64歳人口)の減少にともない人手不足が深刻化しています。

トヨタの中途採用広告は、その人手不足を補うための転職求人広告ですね。

因みに、政府やメディアはまるで景気が良くなって人手不足になっているかのように喧伝していますが、それは全くの嘘で、たんに生産年齢人口比率の低下が原因です。

経済は依然として、過酷なほどのデフレです。

そのデフレという需要不足が各企業や各業界の事業継承を困難にし、貴重な人材や技術を喪失させ、虎の子たる供給リソースを毀損し続けてきました。

そのこともまた、人手不足に拍車をかけています。

話しを戻します。

トヨタ自動車の求人広告はいくつかの種類があって、例えば「ネットやスマホの会社のエンジニアと、もっといいクルマをつくりたい」とか、「交通事故死をゼロに近づけるためのコードを書こう」とか、具体的な職種をイメージさせたり、駅ごとに特定の企業を想起させるようにもなっています。

トヨタ自動車の人材確保に賭ける並々ならぬ意気込みが伝わってきます。

先日、とある社長から聞いた話しですが、このごろでは「引き抜き」ビジネスも横行していて、社員に対して白昼堂々と電話をかけてきて「もっといい勤め先がありますよ」などと転職を募ってくるのだそうです。

恐ろしいのは、やがては「人手不足を外国人労働者で!」という風潮が蔓延することです。

今でも、そのように主張する輩がいます。

しかしながら、もしも人手不足を外国人労働者で賄ってしまった場合、各事業における生産性の向上がもたらされず、まちがいないく日本経済は成長力を失い日本人就業者の給与水準(実質賃金)も上昇していきません。

であるからこそ、人手不足は外国人労働者の受け入れによってではなく、生産性の向上によって穴埋めすべきです。

そのための人材投資、設備投資、技術開発投資、公共投資などの弛まない投資が求められてきたわけですが、残念ながら「既に日本は低成長時代に入ったぁ~」とか、「人口減少の日本ではもう需要は拡大しない~」とか、「投資よりも四半期利益のほうが大事だぁ~」とか、「雇用の流動性がぁ~」とか言ってきた結果が今日の状況です。

今や遅しの感も否めませんが、今からでもやるべきです。

さて、前述のハイテクライン(南武線)ですが、横文字の響きで一見かっこよく聞こえますが、実は未だ6両編成です。

首都圏を走るJR線のなかで未だ6両編成で走っているのは、おそらくこのJR南武線だけでしょう。

むろん、朝のピーク時における混雑率は相当なもので、車内混雑は劣悪を極めています。(武蔵中原~武蔵小杉のピーク時混雑率=194%)

もっと早い時期に、本市が南武線の連続立体交差事業を手掛けていれば、市内の各駅を8両から10両編成対応のホームに改良することが可能でした。

それに踏切もなくなり、各駅の橋上駅舎化も進み、線路によって分断されていた街も一体化され、市政の発展に大きく寄与したことでしょう。

現在、川崎市はその重い腰をようやく上げ、武蔵小杉駅から矢向駅までの連続立体交差事業の計画にとりかかりました。

総事業は1,185億円です。

1,185億円というと、「えっ、そんなにぃ!」と思うかもしれませんが、すべての費用を川崎市が負担するわけではありません。

国やJR東日本なども負担し、なおかつ市債を発行してやりくりしますので、結果として川崎市が負担する一般財源は年間3億円程度(事業期間15年)です。

たった3億です。

3億円というと15年間で約50億円になりますが、連続立体交差化で線路や踏切がなくなり、交通流の円滑化が図られることによる経済効果を仮に毎年10億円とした場合、わずか5年で元が取れるという話しです。

大型事業と言ったって、所詮その程度のものなのです。

因みに、JR東日本の負担は、たった1割程度です。

事業効果による増益で難なく元を取り返せます。

総事業費の半分以上が国の負担になりますが、我が国は100%自国通貨建てで国債(この場合は建設国債であり赤字国債ではありません)を発行している国です。

なので絶対にデフォルトすることはありません。

ましてや今は、政府の財政出動(財政赤字)が求められているデフレ経済です。

デフレ下においては、政府財政の赤字がないと貨幣量の不足(総需要の不足)を埋めることができないのです。

要するに、南武線の連続立体交差事業ができない財政上の理由など何もない、ということです。

我が国では為政者の歪んだ財政論が大型事業への着手を遅らせ、結果として未だ6両編成という恥ずかしき「ハイテクライン」を走らせているのです。

鉄道路線の連続立体交差事業もまた生産性向上の効果をもたらし、深刻化する人手不足問題の解消に役立ちます。

トヨタ自動車の皆様、連続立体交差事業による交通流の円滑化は、きっと自動車業界の売上にも良い影響をもたらすことでしょう。