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議会報告 政治・経済

政府の国債発行と日銀当座預金2017/07/29    

昨日(7月28日)、総務省から6月の消費者物価指数が発表されました。

6月の消費者物価指数(前年同月比)はそれぞれ次のとおりです。
総合消費者物価指数 = 0.4%
生鮮食品を除く総合(コアCPI) = 0.4%
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI) = 0.0%

申し上げるまでもなく、依然としてデフレ状態です。

因みに、総務省の発表したコアコアCPIがゼロ%になっていますが、以前のコアコアCPIは「生鮮食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」だったのですが、いつの間にか総務省は「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」へとコアコアCPIの定義を変えています。

つまり、景気の良し悪しの影響を諸に受ける「酒類」を除いたコアコアCPIに変えたわけです。(そのほうが少し%が上がるからなのか!?)

そこで従来の定義である「生鮮食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」で6月のコアコアCPIをみますと、マイナス0.2%です。

下のグラフをみても明らかなように、深刻なほどに下がり続けています。

また、日銀が目標(ターゲット)としているコアCPIも全く勢いを見せていません。

なので日銀は、またまた物価目標の達成時期を先送りしたわけです。

『物価2%達成先送り「信認にかかわる」 モメンタムは維持=7月日銀会合
http://jp.reuters.com/article/domestic-bankofjapan-idJPKBN1AD0BI

日銀が7月19、20日に開いた金融政策決定会合では、目標に掲げる物価2%の達成時期を「2019年度ごろ」とし、黒田東彦総裁の就任以降6回目の先送りとなったことについて、一部の政策委員が「信認にかかわる」と懸念を表明していたことがわかった。それでも複数の委員が物価2%目標に向けた「モメンタムは維持されている」と主張し、金融政策の現状維持が賛成多数で決まった。(後略)』

ロイターの記事によれば、それでも日銀の複数の政策委員は「モメンタムは維持されている」と声高に主張しているとのことです。

モメンタムとは金融用語で「相場の勢い」というようなニュアンスで使われるそうです。

いったい上のグラフのどこをみて、物価上昇の勢いを感じておられるのでしょうか。

ご承知のとおり、日本銀行は2013年以来、量的緩和(国債購入)によってマネタリーベースの拡大を図ってきました。

※マネタリーベース 世の中に出回っている現金  日銀当座預金

6月時点のマネタリーベースは、453兆円(現金約98兆円 + 日銀当座預金約355兆円)です。

上のグラフのとおり、2013年以降、約350兆円も増えており、黒田バズーカ(黒田日銀による量的緩和)の凄まじさを物語っています。

とはいえ、増えたのは日銀当座預金というマネタリーベースの一つにすぎません。

日銀当座預金とは各民間金融機関が日銀に保有している預金口座のことで、日銀が民間金融機関から購入した国債の対価がこの日銀当座預金に蓄積されていきます。

因みに、民間の金融機関には、一定の金額を日銀当座預金に貯めておく義務が課せられています(=準備預金制度)。

しかし既に、一定義務以上の金額が日銀当座預金に蓄積されています。

グラフにすると次のとおりです。

問題は、この日銀当座預金が日銀当座預金のままで動いていないことです。

つまり、誰かがこのおカネを投資や消費という形で使ってくれないことには、絶対に物価は上昇しません。

物価が上昇しないとデフレを脱却することは不可能です。

残念ながら、私たち日本国民も日本の企業も日銀に当座預金を持っていないので、これを借りることは不可能です。

といいますか、民間銀行はべつに日銀当座預金を原資にして、個人や企業に貸出しを行っているわけではありません。

借り手に返済能力さえあれば、民間銀行は日銀当座預金量に関係なく貸出しできるようになっています。

意外と知られていない事実ですが、銀行が「(その借り手に)返済能力有り」とさえ判断すれば、日銀当座預金量はもちろん、銀行の総預金量に関係なく、いくらでもおカネを貸出せる仕組みになっているのです。(但し、銀行が預金準備制度や自己資本規制を守っていれば…の話し)

「だったら銀行の貸出しはもっと増えてもよさそうなのに…」と思われることでしょう。

民間にほとんど資金需要がない以上、銀行の貸出しは増えません。

どうして民間に資金需要がないのか、むろんデフレ(需要不足)だからです。

そこで、デフレ期にこそ需要不足を埋めることのできる唯一の経済主体が政府なのです。

また、日銀当座預金を借りることのできる経済主体こそが、日銀に当座預金を持っている政府なのです。

だからこそ日銀は量的緩和(国債購入)して日銀当座預金を増やしているのです。

政府の国債発行と日銀当座預金との関わりは以下のとおりです。

まず、政府が国債を発行すると、民間銀行が日銀に保有している日銀当座預金から政府が日銀に保有している日銀当座預金におカネが移動します。

それを政府が投資や消費という形で使うと、企業や家計(個人)などの経済主体におカネが回ってきます。

そのとき企業が政府から受け取るのは現金ではありません。

政府小切手です。

政府小切手を受け取った企業は、それを民間銀行へ、そして民間銀行は日銀に持っていき現金(預金)化します。

さて、日銀に持ち込まれた政府小切手はどのように処理されるのか。

ここがポイントです。

政府は、日銀が預かった政府小切手の額面分のおカネを政府の日銀当座預金から民間銀行の日銀当座預金に移すだけなのです。

以上のように、政府による国債発行と債務の返済は、たんに政府の日銀当座預金と民間の日銀当座預金の間でおカネが行ったり来たりしているだけの話しなのです。

ちょっと解りづらいかもしれませんが、要するに日銀当座預金を借りることができるのは政府だけであり、それをどんなに政府が使ったところで、企業や個人や民間銀行を通じて再び政府小切手として政府に戻ってきて、額面分の金額が政府の日銀当座預金から民間銀行の日銀当座預金に移動し、政府債務が返済されるだけなのです。

ここで歴然としているのは、政府の国債発行はべつに国民の銀行預金からおカネを借りているわけではないという事実です。

むしろ、政府が国債を発行すればするほど、国民の金融資産が増えていくということです。

国民の皆様、もっと個人資産を増やしたかったら、政府に借金させて使わせることです。

それに、国民が豊かになると税収が増えますので、自ずと政府債務対GDP比率も低下して、政府の財政健全化も進みますのでご安心を!

つまり「政府に借金をさせてはならない」とは、即ち「国民を豊かにしてはならない」、あるいは「政府に財政再建させてはならない」と同義です。

そしてそれらを正当化している縛りこそが、プライマリー・バランスの黒字化目標なのです。