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議会報告 川崎市政

何度でも言おう、「不交付団体」など何の自慢にもならない2017/07/27    

地方交付税制度は、地方自治体間の財源の不均衡を国(中央政府)が調整することで、すべての地方自治体が一定の行政水準を維持できるよう各自治体の財源を保障するための制度です。

国税として徴収したおカネを、一定の合理的な基準によって各地方自治体に再配分しています。

その一定の合理的な基準とは、概ね次のとおりです。

各自治体の「基準財政需要額」から「基準財政収入額」を差し引いた財源不足額がそのまま「地方交付税」の算定額になります。

※ 基準財政需要額 = 単位費用(法定)×測定単位(国調人口等)×補正係数

※ 基準財政収入額 = 標準的税収入見込額 × 基準税率(75%)

要するに、おたくの自治体は収入(財源)が「これくらい」ありますね、それに対して行政需要は「これくらい」ありますね、というように算定がなされ、たいていの場合、どこの自治体でも行政需要のほうが多いので、その差額分が財源不足として認定され地方交付税が交付されることになります。

例えば東京都のように、どんなに行政需要が大きくとも、それを上回るほどの税収がある自治体の場合は不交付団体になります。

さて、川崎市は昨年に引き続き、普通地方交付税の不交付団体になりました。

『不交付団体 川崎市、2年連続 政令市で唯一
https://mainichi.jp/articles/20170726/ddl/k14/010/211000c

川崎市は25日、2017年度普通交付税の不交付団体になったと発表した。同市が不交付団体になるのは2年連続で、政令市としては全国唯一となる。(後略)』

このニュースを聞いた川崎市民の多くの皆様が、「なんだ川崎市は財政状況がいいんじゃないか!」「川崎市もたいしたもんだなぁ!」と思われるに違いありません。

本当にそうでしょうか?

まずは、川崎市だけが全国の政令指定都市の中で唯一の不交付団体であることを不思議に思うべきです。

お隣の横浜市だって、川崎市以上に税収に恵まれています。

ですが、上のグラフのとおり、昨年度も約180億円の地方交付税が交付されています。

ということは、横浜市は川崎市より放漫な財政運営をしていることになるのでしょうか。

あるいは、川崎市以外の政令指定都市はすべて放漫財政なのでしょうか。

そんなはずはありません。

行政需要の中身は、医療や介護などの福祉需要、教育需要、環境対策、道路や港湾や上下水道あるいは防災対策などのインフラ需要です。

国民生活を守り豊かにするための各種インフラ(道路や橋だけがインフラではない)を整備していくのが国や地方自治体の使命です。

お隣の横浜市の市域面積は川崎市の約3倍で、人口は約2.5倍です。

とすると、もしも川崎市が横浜市並みに行政需要を満たしているならば、少なくとも70億円程度(180億÷2.5)の地方交付税が交付されてしかるべきです。

道路行政だけをみても、川崎市のそれが横浜市に勝っている、もしくは匹敵しているとはいえない。

しかも、下のグラフのとおり、本市の道路舗装率は政令市平均すら下回っています。

では、職員の人件費でも比較してみましょう。

横浜市の人件費比率は13.4%に対して川崎市のそれは15.3%です。(平成27年度普通会計ベース)

横浜市のほうが低い。

つまり横浜市は、川崎市よりも人件費比率を抑えつつ、川崎市以上に道路整備を行っているわけです。

であるからこそ、横浜市には地方交付税が交付されているのです。

因みに、川崎市の河川整備費の推移を見てみると典型的なのですが、下のグラフのとおり歳出の抑制を続けています。

ピーク時の5分の1の水準です。

いつ首都直下型地震がきてもおかしくない状況のなか、こんなことで川崎市民の安全を守ることができるのでしょうか。

要するに、本市は為すべき仕事(行政需要を充たすという意味)を怠っているがゆえに、他の政令指定都市に比べて行政需要額が低く算定されているといっていい。

すると「そんなこと言ったって、国にもおカネがないんだから、少しでも節約している川崎市って偉いんじゃないの?」と言う市民もおられるでしょう。

くどいようですが、長期金利がマイナスに陥るほどにデフレ(供給過多)で苦しみ、かつ100%自国通貨建てで国債を発行している日本国に深刻な財政問題など存在しません。

マスコミの言う「日本は借金で破綻するぅ~」というのは嘘です。

むしろ、川崎市のようなプライマリーバランス黒字化路線が政府の負債対GDP比率を拡大させ、国民生活を守り豊かにするインフラを脆弱化させています。

何度でも言います。

政府や地方行政の目的は、黒字を出すことではありません。

国民を守り豊かにすることです。

それから補足しておきますが、むろん行政需要の中には地方公務員や地方議員の給与等も含まれています。

とはいえ、地方公務員を含めた日本の公務員数(労働人口に占める公務員数比率)は、下のグラフのとおりOECD加盟国の中でも最低水準であることを申し添えておきます。