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議会報告 政治・経済

解決策が「議論」ならシンクタンクなんて要らない2017/07/24    

残念ながら今の日本には、真実を捻じ曲げてでも、どうしても日本を貶めたいと考えている人たちが数多います。

その彼らの手法の一つが、嘘情報を垂れ流して国民の恐怖を煽ることです。

昨日(7月23日)の夜にたまたま観た『週刊報道LIFE』(BS-TBS)という番組も酷いものでした。

このブログではいつも「某番組の…」とか「某エコノミストが…」とか、武士の情けで名を伏せて書くのが常なのですが、あまりにも酷かったので今日は実名で。

私が観たときに番組が取り上げていたテーマは「日銀の異次元緩和のリスク」についてでした。

解説は、日本総研調査部上席主任研究員の河村小百合氏と共同通信論説委員兼編集委員の柿崎明二氏のおふたり。

まず、河村氏による「危機」は次のようなものです。

欧米との金利差の拡大 → 円安進行 → 金利引き上げによる逆ざや(債務超過転落) → インフレ止まらず → 預金引き出し規制 → 事実上の財政破綻 → 社会保障費の削減

凄いですね、欧米との金利差拡大から社会保障費の削減までを強引に結びつけるそのレトリックが…唖然とするほかありません。

では、一つ一つ論破していきますので、どうか皆様お付き合いくださいませ。

まず、欧米との金利差があるのは事実です。

なぜ金利差があるのかといえば、たんに日本のデフレが最も深刻化しているからです。

例えば米国の中央銀行(FRB)が出口戦略をとっているのも、長期金利や物価がそれなりに上昇するインフレ局面に入っているからです。

日本だって、デフレさえ解消されれば自ずと長期金利は上昇していきます。

河村氏たちが愚かなのは、この人たちは長期金利が低いと「金利差が社会保障費を削減させるぅ~」と危機を煽り、逆に長期金利が上がると「政府の利払い費が増えて破綻するぅ~」とか「日銀が債務超過になるぅ~」と言ってまた危機を煽る。

どっちならいいんだよっ!、と思わず突っ込みを入れたくなります。

また、金利差があることで円安になるのが問題としつつ、円安が株高をもたらしてきた事実には言及しない。

我が国の株式市場では、日本の株の約3割を海外投資家が保有し、その海外投資家が市場の約7割を動かしているものですから、円安になると株高、円高になると株安という構造になっています。

つまり、円安だと日本株が割安なので買い、円高だと日本株が割高なので売り、というトレンドなのです。

それから、河村氏の言う「円安進行から金利引き上げ(逆ザヤ)になる」というメカニズムがよく解りませんが、何度も言いますが、金利が引き上げられるときは、デフレが克服されモノやサービスの購入が着実に増えていくときです。

即ち、金利が上昇するときは、デフレが解消されたときです。

デフレが解消され、需要拡大が見込まれるようになると、企業がおカネを借りて設備投資や技術開発投資を拡大することになりますので、その資金需要の高まりから金利が上昇するわけです。

要するに「金利が高くなった」ということは、「景気がよくなった」ということです。

なので金利上昇を危険視するということは、景気回復を危険視するのと同じことなのです。

例えば高度成長期、あるいはバブル経済期の日本の長期金利はなんと約7%もありましたが、あの時代に「財政破綻」だの「ハイパーインフレ」だのと、バカなことを言う人たちは皆無でした。

なにせ今は、デフレで長期金利はゼロパーセントなのです。

金利が上がらなくて困っているのに、「金利が上がると社会保障費が減る」と言って国民に危機を煽るのですから本当に質の悪い連中です。

評論家の中野剛志先生が言うように「デフレ期に金利上昇を恐れるのは、餓死して死にそうな人が肥満を恐れてダイエットしているようなもの」です。

また河村氏は、次のように主張して更に無知を曝け出しています。

「異次元緩和で大量の国債を購入した日銀は、金利が上昇(国債価格が下落)することで保有国債が焦げ付き資産が目減りする」、だから「金利が上がると日銀は債務超過になる」と。

デフレを脱却し金利が上がった場合、本当に日本銀行は債務超過に陥るのでしょうか?

けっして、なりません。

デフレ解消という政策目標が達成されれば、日本銀行が保有する国債のうち償還期限のきた国債を、その都度、政府の新たな長期の無利子国債(ゼロクーポン債)と交換していけばよいだけの話しです。(※交換とは、政府の長期無利子国債を日銀が引き受けること)

そのことにより、日本銀行のバランスシートの資産側において、償還期限のきた国債が無利子国債に置き換わっていきます。(資産は目減りしない)

一方、政府のバランスシートの負債側では普通国債が減り、無利子国債が増えていきますので、政府は利息を払う必要がありません。(政府の利払い費は増えない)

このような知識は、少なくとも河村氏には無いらしい。

それから、河村氏の言うような「欧米との金利差の拡大」から「インフレが止まらない」に至るプロセスもよくわからないのですが、どうしてインフレが止まらなくなってしまうのかについての氏による具体的な説明もありませんでした。

そこで、仮にデフレを脱却し、インフレ率が5~6%まで上昇したとしましょう。

高度経済成長期の日本のインフレ率は約5%でしたので、それで何か問題があるとも思えませんが、どうしてもそれが気にくわないのであれば、金融を質的にも量的にも引き締めて沈静化させれば良いだけの話しです。

因みに、インフレ率が上がると、国民の所得が増え、税収も増えていき、政府債務対GDP比率が低下(財政再建)が図られます。

それで何か問題があるのでしょうか。

古今東西の歴史をみても、インフレが止まらなくなって、いわゆるハイパーインフレ(物価上昇率13,000%/年間)に陥った国は戦争や革命や内乱が原因か、もしくは供給能力に乏しい発展途上国における通貨の過剰発行によるものです。

これほどにデフレで苦しんでいるにも関わらず、消費税の増税までをも断行し緊縮財政を求めているストイックな国民性をもつ日本が、ハイパーインフレを惹き起こす可能性などゼロに等しいでしょう。

もうこのあたりで宜しいでしょうか。

河村氏の主張があまりにも滑稽すぎて、書いていて馬鹿らしくなってきました。

もう一人の解説者、共同通信論説委員兼編集委員の柿崎明二氏に至っては、もはや何を言いたいのかさえも解りませんでした。(申し訳ございません)

それを私なりに一生懸命に噛み砕いて解釈してみますと、要するに「日銀に出口戦略がないと、それは日銀のリスクではなく国民のリスクだ」とのことでした。

いいですかぁ柿崎さん、何度も言うようにぃ、日銀に出口戦略は有るんですよ~。

有るんだけど、デフレ脱却という出口がまったく見えてこないんです。

なぜなら、政府が財政出動をせず、緊縮路線をひたすらに継続しデフレを放置しているからです。

つまり、問題は日本銀行にあるのではなく、政府にあるんです。

「プライマリー・バランス(PB)がぁ~」と、どっかの市長さんみたいなことを言って、政府が頑なに国債発行を抑制しているがために、日本銀行が量的緩和のために購入しようとする国債が既に市場から枯渇しはじめています。

日本銀行が国債を購入したくてもできない、ということになると、それは強制的な量的緩和の終了ということになります。

デフレを脱却できないままに、量的緩和が強制的に終了された場合、まちがいなく我が国は円高と再々デフレ化(国民の更なる貧困化)です。(因みに、円高になると確実に株価は下がります)

さて、番組(週刊報道LIFE)の最後の締めくくりが笑えます。

司会者が河村氏に「では河村さん、どうしたら解決できるのでしょうか?」と解決策を訊いたところ…

なんと河村上席主任研究員の答えは…「日銀が議論するしかない」でした。

はぁ?

インチキな理屈で「社会保障費が減るぅ~」などと、ありもしない危機を煽るだけ煽っておいて、その解決策が「議論しかない」かっ!

しかも議論するのは自分じゃなくて、日銀かっ!

河村さんが上席に座っている日本総研の調査部って、いったい何を調査しているんだろう…?

解決策よりも、そのことが知りたい…