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議会報告 川崎市政

PB病患者2017/07/22    

麻生財務大臣ほど、その立場が変わるごとに平然と言説を変えて恥じない政治家も珍しい。

この人は以前、「デフレでこれほどに金利が安いうえに建設会社には仕事がない。しかも日本のインフラは老朽化が進んでいる。だったら、政府がカネを借りて公共事業をやったらいい」という趣旨のことを発言されていました。

加えて「でも俺からはそれを言い出しづらいんだよね、何でかわかる? それはね、俺がセメントやだから…」という落ちまでつけて。

ところが麻生氏は財務大臣になった途端、どういうわけか主張を180度変え、「憲法9条教」も顔負けに、いわば「PB黒字化教」の熱心な信者になり下がっています。

『PB赤字「かなり埋められる」と財務相、歳出改革の成果強調
http://jp.reuters.com/article/aso-pb-idJPKBN1A6056

麻生太郎財務相は21日の閣議後会見で、基礎的財政収支(PB)の赤字は「かなり埋められる」との認識を示した。社会保障費の伸びを年5000億円程度に抑えてきたことを踏まえ、「着実に成果が上がっている」と語った。その上で、2020年度にPB赤字を解消する目標を堅持すると強調した。麻生財務相はまた、歳出改革をさらに進めるとともに、「歳入面においても消費税等の話も今から出てくるので、そういった方向でやっていきたい」と述べた。(後略)』

PB(プライマリー・バランス)は、借金の元利金返済を除いた歳出と税収との差(バランス)のことで、それを黒字化(借金の元利金返済を除いた歳出<税収)しようとする考え方をPB黒字化といいます。

いつも言うように、そもそもPBは家計簿の発想です。

収入に限りがあり、徴税権も通貨発行権もない家計においてPBが重視されるのは当然です。

しかしながら、政府には徴税権もあれば通貨発行権もあり、日本経済が供給過剰状態にあるかぎり、日銀が政府の負債を買い取ることで政府債務を実質的にこの世から消滅することができるシステムになっています。

であるからこそ、行財政と家計簿は違うのです。

なのに、家計簿的発想を政治行政にまで持ち込んでいるのが今の日本なので洒落にならないのです。

例えば、政府が急激にPBを黒字化しようとすると、民間部門から資金(おカネ)を吸い上げることになります。

経済の鉄則で、誰かの黒字(政府部門の黒字)は誰かの赤字(民間部門の赤字)だからです。

資金(おカネ)が吸い上げられると、市場におけるおカネの価値が上昇(物価は下落)します。

おカネの価値が上昇するデフレ局面では、企業も家計もおカネを使わず貯めておこうというマインドが働きます。

あるいはおカネの価値が上昇するデフレ期には、おカネを銀行から借りると損をすることになります。

借りたとき以上の価値で返済しなければなりませんので。

銀行の貸出しが増えない理由はそこにあります。

逆に、政府がおカネを吸い上げず、民間部門に放出したらどうなるでしょう。(※放出とは、政府がおカネを借りて使うこと)

むろん、おカネの量が増えますので、一転して今度は物価が上昇しおカネの価値が下がっていきます。

おカネの価値が下がる、つまり今度はおカネは使わないと損をする状況になります。

おカネを使う、というのは即ち、モノやサービスの購入量が増えていく、ということです。

これをデフレ脱却と言います。

インフレ率(物価上昇率)2~5%程度の推移でおカネの価値が下がっていくのが理想的です。

デフレを脱却すると、国民の実質賃金が上昇していきます。

実質賃金が上昇していくと、実質消費支出も上昇していきます。

要するに名目GPD、実質GDPがともに上昇し国民が豊かさを実感していきます。

豊かさの定義は「所得が増えること」ですので。

国民の所得が増えると、必ず税収が増え財政再建が進みます。

下のグラフのとおり、名目GDPと税収は相関しますので。

名目GDPが増え、税収が増えるとどうなりますでしょうか。

結果としてPBが黒字化し、政府債務対GDP比率が引き下げられていくのです。

分母のGDPが増え、分子の政府債務が小さくなっていきますので。

要するに、PBは結果として黒字化するわけです。

前述のように麻生財務大臣が主張する「PBの黒字化」を無理やりに先行させようとすると、たんにデフレ化するだけです。

デフレ化での財政再建は絶対に不可能です。

川崎市も同様で、財政が厳しい理由はデフレにあるのにそれを理解しようともせず、ひたすらにPBの黒字化に専念しています。

まるで市長の左脳は「P」で、右脳は「B」で一杯のようです。

今年度の予算をみても、川崎市は156億円もの黒字をだします。

このことは、川崎市民が156億円もの資金(おカネ)を行政に吸い取られることを意味しています。

それでいて川崎市は「サマーレビュー(いわゆる歳出抑制会議)」だの「財政規律」だのと、街づくりや福祉に関わる予算をカットしては喜んでいます。

過日の一般質問において、川崎市の財政局長は次のように答弁しています。

「現状では、いわゆる財政健全化法に基づく早期健全化団体になることや、市債の償還に支障が生じることはないと考えております」

なのに…

日本は今、PBによって亡国に至ろうとしています。