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議会報告 政治・経済

経済成長と人口増減に因果関係はない2017/07/21    

本日(7月21日)、厚生労働省から5月の実質賃金(確報値)が発表されました。

速報値ではプラス0.1%とされていましたが、確報値は下方修正されマイナス0.1%とのことです。

昨年4月から時系列でみますと、下のグラフのとおりになります。

賃金を貨幣額そのままで、いわゆる額面で表したものを「名目賃金」と呼びます。

一方、この名目賃金を消費者物価指数で割ったものを「実質賃金」といいます。

要するに、物価を考慮に入れ実際の購買力としての賃金を表したものです。

どんなに「名目賃金」が上昇したところで、物価がそれ以上に上昇してしまった場合、実質上の購買力は低下しますので。

例えば、賃金が1万円から1万5千円に増えたとしても(名目賃金が増えたとしても)、それまで1万円で買えたものが1万6千円になっていたとしたら(物価が上昇したら)買うことができません。

上のグラフをみますと、昨年の4月から9月にかけて実質賃金が上昇しているように見えますが、名目賃金が増えずとも、ただ物価が下落するだけで実質賃金は上昇してしまいます。

一転して昨年10月以降は、物価の下落に加え、それ以上のスピードで賃金が下落しはじめたことで、再び実質賃金がマイナスにまで落ち込んでしまいました。

なんと5ヵ月連続のマイナスです。

要するにデフレの深刻化であり、更なる国民の貧困化です。

藤井内閣官房参与がご指摘されているように「3年殺しの消費税」によるネガティブインパクトがボディブローのように日本経済を痛めつけています。

ところで、NHKが調査した7月の内閣支持率をみますと、「支持する」はいよいよ35%にまで落ち込み、「支持しない」の割合が「支持する」を大きく上回って48%にまでなっています。

報道によれば、直近の内閣支持率は既に30%をも切っているようです。

都議選の敗北、閣僚たちの不適切発言、加計学園問題、総理の増上慢的態度等々、安倍内閣の支持率低下の要因は様々に分析されるのでしょうが、何と言ってもその根底には「デフレによる総体的貧困化」に対する国民の鬱屈とした不満があることを見逃してはならないと思います。

実質賃金指数を年平均(時系列)でみてみますと、下のグラフのとおりデフレ突入以後、一貫して下がり続け、2015年の時点でなんと8.4ポイントも下げています。

実質賃金が下がれば、自然、実質消費支出も下がります。

下のグラフのとおり、実質消費支出は21カ月連続のマイナスという状況です。

多くの日本国民が、働けど働けど給料が上がらず、モノやサービスを購入できる量も減り続けている、という状況(デフレ)です。

このようにデフレは、国民を貧困化させ、名目GDPを低迷させ、容赦なく税収を減らしていきます。

名目GDPの低迷と税収減が政府債務対GDP比率の引き下げ、即ち財政再建を困難にしています。

これを解決するには、政府が財政出動することによって、まずはデフレギャップを埋めなければなりません。

デフレギャップを埋めることができれば、必ずや名目的にも実質的にもGDPが押し上げられていきますので。

財政出動しても、それによって名目GDPが押し上げられることで、税収増、即ち政府債務の縮減(政府債務対GDP比率の引き下げ)は可能です。

そして何よりも、そのときはじめて実質賃金の上昇(国民の所得向上)が具現化するわけです。

ところが、デフレによる貧困化で国民世論に鬱屈とした不満が蔓延していることから、皮肉にも世論そのものが政府の財政出動を封殺しています。

そうした世論に媚びる政治家たちがあまりにも多いために、財政出動という正しいデフレ対策がうたれないでいます。

例えば、「日本は人口が減少するんだから、これ以上、経済を成長させることは難しい」だから「財政出動は慎むべきだ」みたいな論調が至極ご尤もそうにまかり通っています。

下のグラフをご覧ください。

2000年から2015年までの各国の人口減少率を改めてIMFのデータから調べてみました。

ご覧のとおり、人口減少に陥っている国は日本のほか21カ国あります。

うち、我が日本国よりも経済成長率の低い国は、ミクロネシアの一国だけです。

世界を見渡せば、人口が減少していても着実に経済を成長させている国々がほとんどなのです。

日本の経済が成長していないのは、人口が減っているためではなく、明らかに投資(財政出動)が減っているからです。

経済成長と人口増減には、何ら因果関係はないのです。