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議会報告 政治・経済

少子高齢化こそが経済を下支えしてきた2017/07/20    

下のグラフは、少し前のブログでもご紹介したとおり、2015年の政府支出(政府最終消費支出)の内訳です。

政府支出というと、政府という公務員組織がなにやら国民のおカネを勝手に使っているものと誤解されがちですが、実際にそれを消費しているのは国民です。

例えばグラフをみますと、39.1%を占めているのは「保健」というサービスに対する政府支出なのですが、更にその内訳をみてみましょう。

「保健」の内訳…
①医療用品、医療用器具・設備、②外来サービス、③病院サービス、④公衆衛生サービス、⑤保健関連のR&D、⑥その他の保健…です。

保健に対する政府支出のうち、その大部分が②の外来サービスと、③の病院サービスです。

くどいようですが、サービスの受け手はあくまでも国民であって、政府職員(公務員)ではありません。

何よりも私ども日本国民は、そのお陰で諸外国に比べ廉価で良質な医療サービスを国民全体として享受することができています。

例えば、下のグラフのとおり、2016年の一人当たりの医療費を国際比較でみますと、我が国のそれは約45万円です。(OECD調査)

これを一人当たりの個人・民間支出分の医療費で比較すると、約7万程度です。

福祉大国とも言われているスウェーデンやノルウェーなどの北欧福祉国家よりも我が国の国民一人当たりの医療費自己負担額は安いのです。

因みに、医療サービスを自由競争に委ねている米国のそれは約29万円で、日本の4倍です。(おカネのない米国市民は医療サービスを受けることすらできない)

下のグラフのとおり、日本国民の健康寿命が世界一である理由は、優れた日本の医療制度にあるのだと思います。

しかしながら、この世界トップレベルといっていい我が国の医療システムを崩壊させかねない虚論がまかり通っています。

その虚論とは、「日本は人口減少と高齢化によって社会保障費が膨らみ、やがて財政破綻をひき起こし、現在の医療システムを維持できなくなる」という、いわゆる「財政破綻論」及び「医療破綻論」です。

要するに「人口」と「借金」の問題によって我が国の財政と医療が崩壊する、というのです。

でもこれは、明らかな虚論です。

この虚論の前提になっているのが二つの迷信です。

まず一つ目は、人口が減ると経済が衰退する、という迷信。

二つ目は、日本は借金大国だから財政がもたない、という迷信。

人口が減少すると経済が衰退すると本気で考えている人は、「資本主義」というものを根本的に理解していない人です。

人口が増えずとも、資本を投じることによって経済を成長させるのが資本主義の正しい姿です。

今の日本経済が成長していないのは、官民ともに資本が投じられていないことにより長期化しているデフレのせいです。

官民あげて資本を投じさえすれば、経済成長と税収増は十分に可能です。

世界には、日本の人口減少ペースをはるかに上回るスピードで人口減少している国が18カ国もあります。

その内、日本よりも経済成長率が低い国はたった一カ国だけです。

ほか17カ国は立派に経済成長しています。

また、ルネッサンス期のイタリアもそうで、人口が減少する中で着実な経済成長を成し遂げました。

二つ目の迷信である、いわゆる財政破綻論については、いつも申し上げておりますとおり、自国通貨建てで国債を発行している国が財政破綻(デフォルト)することは絶対にあり得ません。

これまで日本政府の負債残高が増え続けてきたのは、社会保障費が増えてきたからではなく、たんにデフレによって税収が伸びなかっただけです。

厚生労働省の試算によれば、社会保障費の伸びは、毎年わずか1.2兆円です。

日本のGDPが名目で3%の成長をするだけで、十分にお釣りがくる程度の金額なのです。(名目GDPが3%成長すると税収は1.5兆円増えますので)

その名目GDPを停滞させているのが、デフレです。

なのでデフレを克服すればいいだけの話しで、それができれば政府債務対GDP比率の引き下げという国際的な定義としての財政再建が可能です。

冒頭でお示したグラフのとおり、我が国の政府支出の4割を「保健」(主として医療・外来サービス)が占めているのですが、下のグラフのとおり、その政府支出の約4割を占める保健(医療サービスへの支出)は伸び続けています。(下のグラフの赤い部分)

むろん、増え続けてきた原因は生産年齢人口(15~64歳人口)の減少及び65歳以上人口の増大です。

これまで「日本は人口が減少するので消費は増えない」とか、「日本は人口が減少するので経済成長できない」とか言われ続けてきましたが、現実はまったくの逆で、むしろ少子高齢化による医療費の増大がデフレによって低迷する我が国の名目GDPを下支えしてきたともいえるのです。

実はこの政府支出もまた立派な名目GDPの一つだからです。

「えっ!」と思われるかもしれませんが、統計をみるかぎり明らかです。

現に少子高齢化が進み、かつ人口が減少しているにもかかわらず、日本の消費総額は増え続けています。

要するに、デフレによる需要不足で苦しんできた日本経済は、高齢化で増え続けてきた医療需要によって皮肉にも下支えされてきたのです。

その点、少子高齢化がデフレで苦しむ日本を救ってきたともいえます。

なお、我が国が恵まれているのは、生産年齢人口(15~64歳人口)=供給であり、総人口=需要ですので、総人口の減少ペースよりも生産年齢人口のそれのほうが早い日本では、常に「供給<需要」(供給不足)という経済情勢になります。

その供給不足を、資本を投じることで補ったとき、日本は着実に経済成長(一人当たりの所得拡大)できるわけです。

要するに人口問題こそが、日本経済を成長させ、医療システムを発展させ、おカネの問題(財政問題)をも克服させるチャンスなのです。

その投資を阻んでいるのが、我が国に蔓延っている「財政破綻論」や「医療破綻論」という虚論です。

「人口が減るので日本は成長できない」と言ってきた政治家、役人、学者、ジャーナリストらに告ぐ!

あなた方が流布する「虚論」こそが、むしろデフレを深刻化させ、財政を悪化させ、我が国の医療システムさえをも崩壊させようとしているのです。