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議会報告 川崎市政

家計簿におきかえるのは止めろ!2017/07/19    

政府(行政)の財政運営をまるで家計簿のごとく考えてしまう、いわゆる「家計簿ポリティクス」に汚染されている今の日本。

地方行政には徴税権があり、その親会社たる中央政府には徴税権どころか通貨発行権という伝家の宝刀さえもあります。

むろん家計には徴税権もなければ通貨発行権もない。

それを同列に論じてしまう悪しき風潮がまかり通っています。

あるいは、一般個人が金融機関からおカネを借りることのできるマックス(最大限)は、いわゆる「予算制約式」というのがあって、その人が生涯に稼ぐことのできる金額とされています。

この予算制約式に縛られてしまうのが家計簿です。

一方、企業や行政は人間ではなく組織ですので「命」という限りがありません。

なので企業や行政の場合、その経営なり運営に余程の支障がないかぎり、予算制約式が適用されることはありません。

ところが、この予算制約式を無理やり強引に行政に当て嵌めようとするのが、いわゆる「家計簿ポリティクス」です。

よく「日本の財政を家計簿に例えると…」とか、「川崎市の財政を家計簿におきかえてみると…」とか賢人ぶって話す人たちがいますね。

こうした家計簿的発想によって政治が行われ続けることで、最も迷惑するのは他でもない家計です。

川崎市なんぞは、毎年ご丁寧に冊子(『財政読本』)までつくって嬉しそうに配り歩いています。

「(家計簿に例えると)こんなに厳しいんだけど、ぼくたちこんなに頑張ってますぅ~」と、いかにも言いたげです。

政府も川崎市もともに、プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化に必死ですが、プライマリー・バランス(以下、「PB」)もまた、典型的な家計簿ポリティクス思想です。

PBとは、「借金の元利金返済を除いた歳出」と「税収」との差(バランス)のことです。

予算制約式に縛られている家計がPBを重視するのはしごく真っ当な話しです。

ところが行政は、自分たちで家計簿に例えておきながら、家計簿では絶対やらないような愚かなことをしています。

例えば、ある家庭が5千万円で住宅を新築し、200万円で新車を購入したとします。

むろん、住宅も車もローンで購入。

さて、家計簿的には、毎月の支出面に住宅と車のそれぞれのローン返済費が計上されることになります。

そこで計上されるのは、あくまでもその月に支払う住宅と車のローン返済費(元利金)です。

ところが国や行政は、購入した月の支出として、金利に加え住宅の5千万円と車の200万円を計上します。

よく考えてみてください。

住宅も車も新たに生まれた資産です。

5,200万円という借入金が新たな資産に代わっただけの話しですので、家計簿的に支出として計上されるのはあくまでもローンの返済費だけのはずです。

それを国や行政は、「毎月の収入が40万円しかないのに今月は5,200万円もの支出をしたぁ、PBが大幅な赤字だぁ、我が家は破綻するぅ、だから教育費も医療費も大幅に削減しろぅ、塾も行くなぁ、病院にも行くなぁ、買い物に行っても高い肉は買ってくるなぁ」となります。

バカかぁ~!?

家計は住宅や車を毎年購入することはないでしょうが、行政の場合はメンテナンスを含めたインフラの整備(固定資産の購入)に毎年支出しなければなりません。

とはいえ、新たな固定資産の購入は、あくまでも新たな固定資産の獲得なのです。

むろん、資産の反対側に借金(負債)があります。

その負債がどうしても気にくわないというのであれば、政府の場合、デフレ期においては日銀による通貨発行で政府負債を買い取ることが可能です。(別に、無理に買い取る必要もないのですが…)

政府の子会社である日銀が親会社である政府の負債を買い取ると、会社のグループ決算同様に債務と債権は相殺されることになります。

要するに、インフラという資産が残り、借金だけが消えることになります。

信じられないでしょうが、通貨発行権を有する政府にはそれができるのです。

であるからこそ、通貨発行権のない家計簿と政府の運営を一緒に論じてはならないわけです。

何よりも、政府が購入した新たなインフラという固定資産を利用するのは国民です。

しかも現役世代のみならず将来世代にわたって利用(享受)することができますので、その負担を現役世代と将来世代とで平準化するために、あえて起債(借金)して整備するわけです。

現在の私たち日本国民が恵まれた都市環境で生かされているのも、かつての日本国民が将来世代(現在の私たち)のために投資(借金)をしてくれたお陰であることを忘れてはならないと思います。

これからの日本は生産年齢人口(15~64歳の人口)が益々減少していきます。

であるからこそ、各種のインフラを充実させることで一人当たりの生産性(所得)を高めていかなければなりません。

それを「家計簿ポリティクス」という悪魔の思想が阻んでいます。

因みに、私は過日の川崎市議会定例会(一般質問)で、本市の財政当局に対し次のような質問をしました。

「本市が早期健全化団体(総務省が定義する破綻自治体)に陥る可能性、あるいは発行市債の元利払い及び償還をデフォルト(債務不履行)する可能性は何%あるのか?」

財政局長によれば、「現状では、いわゆる財政健全化法に基づく早期健全化団体となることや、市債の償還に支障が生じることはないと考えております」とのことです。

であるのなら、家計簿に例え冊子を刷ってまで危機を煽って歳出カットに命を燃やす必要などはなかろうに…

そのようなことに労力を割くのはやめて、必要なインフラを早急に整備することで市民の経済的生産性を高めることに専念すべきです。

一人当たりの生産性が高まると、必ず一人当たりの所得が増えます。

いつも言うように「国民の所得を増やす」と「国民を豊かにする」は同義です。