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議会報告 川崎市政

新たなGDPから新たな税収が生まれる2017/07/10    

本日(7月10日)、内閣府から発表された5月の機械受注統計によりますと、船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比3.6%減の8,055億円でした。

2カ月連続でのマイナスです。

というか、長期的に低迷が続いている中で、昨年以降、再び落ち込んでいます。

機械受注は、景気の先行指標とされています。

なぜなら設備用機械は受注から納入までに時間がかかるため、3カ月から6カ月先の景気の動向を示すとされているからです。

なお民間設備投資の約半分は機械受注が占めています。

「機械受注」というと、一見、製造業の統計かと思われがちですが、実際に発注しているのは主にサービス業です。

意外に思われるかもしれませんが、我が国の産業の約8割はサービス業なのです。

下のグラフのとおり、生産面のGDPを詳細にみますと歴然です。

これも意外に思われるかもしれませんが、国民経済計算では「建設業」をサービス業としてカテゴリーしています。

ほか「金融・保険業」「不動産業」「運輸業」「政府サービス」もそれぞれサービス業ですので、生産面のGDPでみると我が国の産業の約8割がサービス業になるわけです。

こうしたサービス業における需要拡大が見込めないと、機械受注は増えません。

内閣府は機械受注の判断を「足踏みが見られる」と下方修正したようですが、上のグラフのとおり、数値を時系列でみますと、「足踏み」と言うよりも「落ち込み」と言ったほうが的確な表現かと思われます。

政府の景気判断は、とかく大東亜戦争末期の「大本営発表」的になりがちですが、そのことで正しい政策(対策)が打てないことが何よりも大問題です。

現在、日本政府に求められている正しい政策とは、総需要不足を埋めるための財政出動(借金)です。

理想的な経済においては、借金すべき経済主体は何と言っても企業ですが、デフレ経済という異常事態の場合、借金すべき経済主体は政府(地方行政を含む)になります。

ポイントは、日本国内の誰かがつくったモノやサービスを、誰かがおカネを出して購入しないかぎり需要(GDP)にはならないことです。

需要=GDPには、金額で見た名目GDPと、数量で見た実質GDP(物価変動分を除いたGDP)があります。

日本政府であれ、川崎市であれ、あるいは東京都であれ、税収は必ず名目GDPに相関します。

上のグラフは、日本政府の税収推移と日本全体の名目GDP推移が相関していることを示しています。

下のグラフは、川崎市の市内名目GDPの推移と市税収入の推移です。

やはり相関しています。

であるからこそ私は「税収を増やしたかったら名目GDPを拡大せよ」と、市議会で主張しています。

そして名目GDPを拡大する原資こそが、実は「誰かによる借金」なのです。

先述のとおり、インフレ期には企業が、デフレ期には政府(行政)が、借金すべき経済主体になります。

このように言うと「これ以上、政府の借金が増えたら将来世代に禍根を残すじゃないかぁ~」と批判される方もおられるでしょう。

何度も言いますが、政府が使ったおカネは決して消えたりはしません。

いつも言うように、徴税権や通貨発行権を有している政府(行政)と、それらを有していない家計簿とを同列に論じてはならないのです。

政府が使ったおカネは立派な名目GDPとしてカウントされ、税収という政府収入を拡大することになります。

それに、GDPには「乗数効果」というものがあります。

藤井聡内閣官房参与によれば、現在の日本の乗数効果は「3」~「4」とのことです。

例えば、政府が100円のインフラ投資(支出)を行ったとします。

すると名目GDPは、たんに100円増えるのではなく、乗数効果によって300円~400円増えることになります。

政府による財政出動は、名目GDPを増やしデフレを解消するというメリットだけではなく、政府が何らかのインフラに投資することになりますので、同時に防災力の強化や生産性向上(所得の向上)などの国民利益をもたらすことになるわけです。

ここが重要で、インフラ投資の受益者は主として将来の日本国民です。

その意味では、今、借金しないことのほうが将来世代に対する罪なのです。

デフレが解消されたのちは、借金すべき経済主体は企業に移ります。

それまでは(インフレ率が上昇するまでは)、中央政府および地方政府は一丸となってデフレ脱却のための財政出動を行うべきです。

さてこのたび、私の自宅の洗濯機がいよいよ耐用年数を迎えました。

なので地元の電気屋さんで新しい洗濯機を購入しました。

徴税権もない、通貨発行権もない私の僅かながらの財政出動です。(ほんの僅かですが、川崎市の名目GDP拡大に貢献したことにはなります)

因みに、地元の電気屋さんは、上の「生産面のGDP」のグラフでいうと「卸売・小売業」というサービス業に入ります。

私には徴税権がないため、私の手元からはおカネが消えてしまうことになりますが、当然のことながら洗濯機という資産が残ります。

新たに購入した洗濯機が耐用年数を迎えるまで、私はその利便性を享受できます。

おカネが洗濯機に変わっただけですので、バランス・シート(貸借対照表)上、私はべつに損をしたわけではありません。

政府による公共投資も同様です。

何よりも、地元の電気屋さんは、私から受け取ったおカネを河原にもって行って燃やしてしまうわけではありません。

まず電気屋さんは、メーカーに売上原価を支払います。

このとき、私の支払った金額からメーカーに支払った売上原価を差し引いた金額(粗利益)が新たに生み出された名目GDPです。

次いで、この名目GDPから従業員さんに対し人件費を支払います。(給与をもらった従業員さんはそこから税金を支払う)

電気屋さんは、残りの利益から税金を支払います。(粗利益からも容赦なく消費税が取られます)

そのうえで残った利益が、電気屋さんの最終利益になります。

このとき、おカネを受け取ったメーカーもまたメーカーの従業員さんに給料を支払ったり税金を支払ったりします。(従業員さんは給料からまた税金を支払う)

電気屋さんの従業員さんにしても、メーカーの従業員さんにしても、給料から税金を支払うだけでなく、何らかのモノやサービスを購入したりします。

こうした新たなモノやサービスの購入から、新たな名目GDPが生まれます。

これが乗数効果です。

次々と生まれる新たなGDPから、新たな税収が生まれるのです。

私のしょぼい財政出動ではデフレを脱却するほどの力をもちませんが、徴税権と通貨発行権を有する政府にはデフレを脱却するほどの規模での財政出動が可能です。

それを、家計簿ポリティクスが阻んでいます。