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議会報告 政治・経済

財出と借金のパラドックス2017/07/05    

島根県に大雨特別警報が出ています。

大雨特別警報とは、台風や集中豪雨によって数十年に一度の降雨量となる大雨が予想される場合、もしくは、数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧によって大雨になると予想される場合に発表される警報です。(気象庁定義)

大雨特別警報が発表されたということは、重大な土砂災害や浸水害が発生するおそれが著しく大きい状況が予想されている、ということです。

前線が中国地方まで南下し「線状降水帯」と呼ばれる発達した帯状の積乱雲が発生していることで、かなりの大雨になっているようです。

今回、特別警報がだされている地域は、国内の中でも極めてインフラ整備の遅れている地域なので心配です。

何ごとも起きないよう、切にお祈り申しげます。

このような超自然災害大国である我が国では、防災・交通インフラに対する弛まない投資が求められているにもかかわらず、「人口が減少する日本には、もう公共事業はいらない~」とか、「国の借金がたいへんだから、無駄な公共事業はダメぇ~」とか言って無知蒙昧をさらして憚らない御仁が数多おられて、まことに厄介です。

お陰で、我が国は1996年以来、公的固定資本形成(公共投資費から用地買収費を除いた金額)は半減しています。

今まさに特別警報が発せられている島根県の人たちは、その半減の被害者といっていい。

「1996年以来」といえば、その前年である1995年に、当時の武村正義蔵相による「財政危機宣言」がありました。

そこから緊縮財政 → デフレ化 → GDP縮小 → 税収不足 → 政府債務の拡大、という負のスパイラルがはじまったわけです。

あのとき、財政危機をもたらす最大の要因として、人口減少・高齢化による福祉費の増大が挙げられていました。

しかしながら、厚生労働省の試算では、高齢化にともなう福祉費の増大ペースは、年間1.2兆円とされています。

税収弾性値(GDPの増減に伴い税収が増減する割合)からすれば、GDPが名目で3%(実質1%、インフレ率2%)成長するだけで、税収は1.5兆円増えることになりますので、毎年1.2兆円の福祉費の増大など余裕で賄うことができます。

なので「財政危機宣言」などを行う必要もありませんでしたし、消費税率を上げる必要も、緊縮財政を行う必要なども全くなかったのです。

むしろこの二つの失政(消費税増税と緊縮財政)こそが、名目GDPの成長を妨げている元凶です。

また、人口減少と言っても、総人口の減少は年間わずか0.1%程度のスピードです。

総人口よりも生産年齢人口(15~64歳)の減少ペースのほうが早いので、将来的には着実に人手不足になります。

というか、既にそのようになっています。

正社員の有効求人倍率をみますと、5月時点でなんと0.99倍にまでなりました。

理論上、職を選ばなければ誰もが正社員になれる水準です。

ここで重要なのは次の三つです。

1) 政府債務を拡大しているデフレを克服すること

2)人手不足を外国人労働者の受け入れに頼らず技術革新で賄うこと

3) 東京一極集中を是正するほどの各種のインフラを整備して、都市部と地方との時間的距離を縮めること

以上の三つを具現化するのに絶対不可欠なもの、それが財政出動(=借金)です。

現在の我が国政治における最大のパラドックスは、借金(財政出動)をしないがために借金(政府債務)が増え続けていることです。

要するに、政府の負債を減らしたかったらデフレを克服するまで借金をせよ、ということで、ここが「政治行政」と「家計簿」の大いなる違いです。