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議会報告 川崎市政

食の安全を破壊する「モンサント法」2017/06/28    

昨日(6月27日)の市議会定例会(一般質問)で、主要農作物種子法廃止による食の安全への影響について、本市当局(経済労働局長)に質問しました。

主要農作物種子法(以下、種子法)はこれまで、安価で優良で地域にあった多種多様な公共財としての種子を農家に提供することで、国民の食料安全保障の一角を担って参りました。

ところが、過日閉会した通常国会において、おどろくようなスピード審議によって、4月には主要農作物種子法が廃止され、5月には農業競争力強化支援法(以下、強化支援法)が成立いたしました。

今回の種子法廃止と強化支援法の成立は、川崎市民及び国民の食に関する安全保障を根底から脅かすものであると私は考えています。

その理由を以下述べます。

まず、これまで優良かつ低廉な種子供給を可能にしてきた制度が廃止されたことにより、種子価格の高騰が懸念されています。

国会の採決では、種子法廃止後も種子の安定供給を行っていく趣旨の付帯決議がついておりますが、ご承知のとおり、付帯決議には法的な予算根拠などありません。

種子法の廃止を提言した規制改革推進会議の農業ワーキング・グループによれば、基本的な方向として生産資材価格、即ち種子の価格の引き下げの必要性が謳われていますが、これまで種子法の存在が価格高騰を招き農家を圧迫してきた、という事実など一切ありません。

よって、今回の種子法廃止と強化支援法成立は、おそらくは外資を含めた民間の種子事業者の新規参入を促すためのレントシーキングかと思われます。

これまで予算をつけて優良で安価な種子の供給を都道府県に義務付けてきた制度が廃止された以上、今後は外資を含めた民間企業の優良かどうかもわからない高価な種子を、やむなく農家が買わざるを得ない状況になっていくのではないかと思われます。

仄聞するところによれば、稲はこれまでの4倍の価格になるとも言われています。

また、種子法廃止後、種子は育成者権保護を強化した種苗法で管理することになっていますが、その種苗法では、登録品種を「種子として販売・無償配布しない」という誓約書にサインを求められます。

即ち、農家は収穫した作物の種を種籾として使用できず、その都度、新たな種子を購入しなければなりません。そのことは農家の負担を高めることになります。

よってこのこともまた、農家にとっては種子価格の引き上げと捉えることができるのではないかと思われます。

次いで懸念されるのは、種子法という安全ネットがないままに強化支援法が施行されることで、国内の種子の多様性が奪われることです。

地域にあった種子の多種多様性が奪われたなかで、例えばその種子に特有な病原が発生した場合、種子の絶滅、即ち遺伝子クライシスを引き起こす可能性は否定できないはずです。

さらに許せないのは、強化支援法には「独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること」とあることです。

まことに驚くべき条文です。

これは、日本政府及び地方自治体が蓄積してきた遺伝子に関する知見を民間に提供しようとするものです。

つまり、本来は公共財であった種の遺伝子の権利が特定企業に、しかも外資規制がないままに特定企業に移行するというもの。

そのために国民の食料安全保障が損なわれることに私は強い怒りを覚えます。

このままでは、これまで公的に蓄積してきた種苗の生産に関する知見が外資を含めた民間事業者に提供され、例えばモンサントのような外資による日本国内での種子特許の獲得が増えていくことになります。

更に恐ろしいのは、国内で遺伝子組み換え作物の種子が広まっていくこと、自然、その花粉が伝播することになることです。

その帰結として日本固有の遺伝子が絶滅することになります。

また、これまで日本国内で開発された種が、今回の種子法廃止と強化支援法の制定によって外国の農場に持ち込まれることが容易に予測されます。

以上の点をすべて、昨日は質問させて頂きました。

当局の答弁は「種子法が廃止されても国は大丈夫と言っていますが、今後の動向については市として注視していきたい」というものでした。

まあ、そのように答弁せざるをえないでしょう。

とはいえ、市の幹部職員クラスにおかれては、その法律が廃止された背景、あるいは新たな法律が制定された背景等々については、その真実を知ろうとする努力だけは怠ってほしくないものです。

例えば、前述のとおり私は当局に対して「これまで日本国内で開発された種が、今回の種子法廃止と強化支援法の制定によって外国の農場に持ち込まれてしまう」懸念を質問したわけですが、所管局長の答弁は次のようなものでした。

「『ユポフ条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)』があるから大丈夫です」と。

ユポフ条約というのは、「育種者権」を強化して、「自家採種」や「種子交換」を違法化しています。

つまり、まさにこのユポフ条約こそがアグロ・バイオ企業の権利を強化するための法律なんです。

なので、別名「モンサント法」とも呼ばれています。

ユポフ条約によって、外国の農家が「勝手に」日本の種子を栽培することはできなくなっていますが、逆に日本の種子について、例えばモンサントに「特許」を取得されてしまうと、その特許がユポフ条約によって守られてしまうのです。

つまり、この条約が「モンサントの権利」を守ることになり、それが外国で栽培されて日本に輸入される可能性が十分にあるわけです。

よって所管局長の答弁は種子法廃止の本質についての理解に欠けるものであり、的外れなものと言わざるをえません。

即ち、種子法の廃止や強化支援法そのものが、いわゆる「モンサント法」であるという認識が明らかに欠如しています。

なぜか川崎市では、農業政策を経済労働局が所管しています。

しかし農業政策は市民の食の安全に直接的にかかわる重要分野ですので、本来は農政局として独立させるか、あるいは環境局と統合して自然保護ならびに食料安保の観点から施行されるべき行政部門です。

農業政策をビジネス戦略の一環として考えるのは誤りで、農政は国民や市民の胃袋を満たすための安全保障分野であるという認識を行政としてもつべきです。

そのことを市長に強く要望した次第です。