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議会報告 政治・経済

「岩石理論」というファンタジー2017/06/22    

日本経済新聞によれば「量的緩和の出口で日銀が赤字や債務超過に陥ると円の価値が下がり、ハイパーインフレになってしまう」という懸念を、なんでも「岩石理論」と言うのだそうです。

はじめて知りました。

『終わらない「岩石」退治
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF21H03_R20C17A6ENK000/

大規模な金融緩和の出口で日銀が赤字や債務超過に陥ると円の価値が下がり、ハイパーインフレになってしまうのでは。日銀の「出口」を巡り市場関係者が心配することの一つがこれだ。大規模な緩和を唱えてきた日銀の原田泰審議委員らリフレ派はこうした見方を「岩石理論」と呼ぶ。(後略)』

出口問題の前に、まずは「入口」の説明をさせて頂きます。

現在、日銀は、デフレ脱却を目的に年間80兆円のペース(最近は60兆円ペースらしい)で民間金融機関が保有している国債を購入しています。

日銀が民間金融機関から国債を購入すると、民間金融機関が日銀にもつ当座預金(日銀当座預金)に対価分の金額が記帳されます。

つまり、民間金融機関が資産として保有していた国債が、日銀当座預金という預金通貨(おカネ)に変わるわけです。

日銀という中央銀行が民間金融機関から国債を購入するということは、通貨(おカネ)が発行されるということなのです。

これを「国債の貨幣化」(中央銀行の通貨発行)と言います。

因みに「国債の貨幣化」を、あえて「財政ファイナンス」と呼ぶ不届きものがいますが、「財政ファイナンス」なんていう言葉は外国には存在せず、日本国内の一部の無知蒙昧な財政破綻論者たちだけが使っている言葉です。

どこの国でも、中央銀行が政府発行の国債を購入することで通貨を発行しています。

これを日銀による「買いオペレーション」と言います。

それとは逆に、中央銀行が市中の通貨を回収したい場合、今度は日銀が保有している国債を民間金融機関等に売却します。

これを日銀による「売りオペレーション」と言います。

現在はデフレなので、日銀は「買いオペレーション」を大規模に行っています。

いわゆる量的緩和です。

ただし、量的緩和をしたところで、政府や企業がおカネ(発行された通貨)を銀行から借りて使ってくれないかぎりデフレを脱却することはできないのですが…

以上が金融政策の入口論です。

さて、次は出口論です。

国債を民間金融機関が保有している場合、政府は国債保有者に対する利払いも必要ですし、元金の償還もしなければなりません。

それゆえ国債残高が増え続けると困ったことになるわけです。

ところが、量的緩和(買いオペ)によって日銀が国債を保有した場合、即ち今度は日銀が国債の保有者となった場合、政府は日銀に対して利払いを行うことになるのですが、日銀への利払いは経費を除いた分が国庫納付金としてブーメランのように政府に戻ってくることになります。

要するに、親会社である政府の債務は、子会社である日銀の債権と相殺されて消えてしまうのです。(日銀は政府の子会社です)

したがって、民間が保有する国債を日銀に移し替えることによって財政問題は解決することになります。

信じられないかもしれませんが、事実です。

量的緩和によって日銀が保有している財投債を含む国債残高は、2016年12 月末時点で370.8兆円になりました。

2016年12 月末時点での普通国債発行残高は財投債を含めて854.1兆円ですので、約43.4%を日銀が保有していることになります。

さて、この日銀保有の43.4%をどのように処理するか?

それが出口論です。

日銀が保有している国債のうち、償還期限が到来した国債を政府が新たに発行する無利子国債と交換していけばいいだけです。

京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授であられる青木泰樹先生によれば、これを「ゼロクーポン債」と呼び、現行法内においてもその実現は十分に可能なのだそうです。

この過程において、「岩石理論」はいったいどのようにして日銀が債務超過に陥ると言うのでしょうか。

日銀が保有する無利子国債の比率が拡大しても、マネーストック(政府と銀行以外の経済主体が保有する現預金の合計)は増えません。

ここがポイントで、マネーストックが増えないということは、インフレ圧力にはならないということです。

むろん、政府の利払い費も減ることになります。

何よりも、日銀は金利上昇におびえる必要がなくなるのです。

因みに、日銀は、次に景気が過熱した際には引き締め(売りオペ)を行う必要がありますので、全ての国債を無利子国債に置き換える必要はありません。

売りオペのための普通国債を保有しておくことが必要になります。

要するに、出口論はそれほど困難な問題ではないのです。

でも…原田氏らリフレ派の言う「岩石理論」によれば、日銀は出口で債務超過に陥り、円の価値が下がり、やがてはハイパーインフレになってしまうのだそうです。

ほとんど、ファンタジーの世界ですね。