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議会報告 政治・経済

日本にも米国にも、求められているのは政府支出の拡大2017/06/20    

本日(6月20日)、東京株式市場は3営業日連続で続伸する見込みです。

米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が、今年に入り3度目の利上げに踏み切る可能性が高いことから、利上げによって増収の見込まれる銀行株が買われダウ平均(米国の日経平均株価)の上昇をもたらしています。

米国の株価が上昇すると「円安ドル高」圧力になりますので、東京株式市場でも株価が買われて相場が上昇するわけです。

日本の株式市場では、取引の7割近くを海外投資家が占めていることから、円安になると株高、円高になると株安ということが定番になっています。

とはいえ、あくまでも株式市場は金融経済(ストック)の話しですので、どんなに株価が上昇しようとも実体経済(フロー)の良し悪しとは全く別の問題です。

その点、米国にしても、株式市場の活況とは裏腹に実体経済のほうはあまり芳しくない状況のようで…

例えば、インフレ率(コアインフレ率という生鮮食料品を除いた総合消費者物価指数)をみますと、今年に入ってから下がり続け、直近5月は1.7%にまで落ち込んでしまいました。

インフレ率はモノやサービスの購入が盛んになると上昇し、反対に購入が滞ると低下します。

因みに、日本のそれは4月時点で0.3%です。

よその国のことを言えた数字ではありませんが、実体経済の面では米国も思うようにはいっていない様子です。

物価の上昇が抑えられつつ実質GDPが成長しているということは、働いたわりには所得(実質賃金)が上がっていないということです。

日本もそうなのですが、インフレ率が下がって名目GDPが縮小してしまうと、統計上、実質GDPが上昇しているように見えてしまうのです。

これを経済評論家の三橋貴明先生は「デフレ型経済成長」と呼んでいます。

むろん、デフレ型経済成長は、国民及び国家にとって好ましくない状態です。

そうした中、昨日もニューヨーク連銀のダドリー総裁が米景気に楽観的な認識を示して、追加利上げの必要性について言及しました。

それを受けて株式相場が上昇し、運用リスクをとる姿勢を強めた投資家らが安全資産である米国債を売ったこともあって、昨日の米国10年債利回りは前週末比0.04%高い(価格は低い)2.19%で取引を終えました。

といっても、ここ数カ月の推移をみたかぎり、米国10年債利回りはFRBの思惑どおりには上昇していないようです。
(実体経済が良くなると民間の資金需要が高まって10年債利回りは上昇する)

それでも米国FRBが必死に政策金利の追加的な引上げを目論むのは、必ずや訪れる次のリセッション(景気後退期)に備え、少しでも「利下げ」を行うことのできる余地を残しておきたいがためです。

なので前述のダドリー(ニューヨーク連銀総裁)が、米景気に楽観的な認識を示しているのは、たんなる強がりでしょう。

そのように言わないと、マーケットの期待が高まらないと考えているようなので。

さて昨日の6月19日、IMF(国際通貨基金)が対日経済審査を発表しました。

審査後に記者会見に立ったデビット・リプトン(IMF筆頭専務理事)はアベノミクス3本の矢を強化することの必要性を述べられました。

もともとのアベノミクスは①金融緩和、②財政出動、③成長戦略という3本の矢だったのですが、現在のアベノミクスは変貌してしまい、①金融緩和、②緊縮財政、③構造改革という3本の矢になってしまいました。

リプトン筆頭理事は、どちらのアベノミクスをご所望なのでしょうか?

氏は記者会見のなかで、今の日本には「構造改革が足りない」とも発言されていますので、おそらくは後者の3本の矢なのでしょう。

(それじゃ、意味ないじゃん!)

昨秋に開かれた金融政策決定会合において日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という新たな政策目標を導入しました。

その枠組みの第一は、金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」。

第二は、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針(量的緩和)を継続することです。

本来は第一の「イールド・カーブ」だけだったようですが、政策委員の中に根強くあるリフレ派の主張に配慮して、第二が盛り込まれたとも言われています。

新たな…と言いつつも、政府が新規国債の発行を抑制しているため市場の国債が枯渇していることから、これまでどおりの量的緩和(年間80兆円)が為しがたいがために、日銀としては「イールド・カーブ」という量ではなく質(金利操作)による追加的な対応を迫られてしまった、というだけの話しです。

やむをえず日銀は、現在は年間60兆円のペースで国債を購入している模様です。

購入ペースを落していますが、それでも日銀による国債購入が事実上不可能になるデッドラインは近づいています。

くどいようですが、政府が緊縮財政で新規国債を発行していないからです。

それに、量的であれ、質的であれ、日銀がどんなに金融緩和を行ったところで、政府が新規国債を発行して、支出(投資や消費)を拡大しないかぎり、実体経済におカネは回らず、たんに金融経済におカネが貯まっていくだけです。

そのおカネが、株式や債券や為替や不動産というGDPとは全く関係のない金融資産に流れているだけの話しです。

詰まるところ、日本も米国も、インフレ率が安定的に上昇するまで政府が支出を拡大するほかはない、という結論に至ります。

誤った財政規律などに縛られているかぎり、我が国は効果的で正しい経済財政政策がとれないのです。