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議会報告 川崎市政

おカネを貯めても国富にはならない2017/06/19    

行政の黒字財政を評価する人たちの誤解は、「おカネの量=国富」であると思われている点です。

残念ながら、おカネは国富には入りません。

これは三宅の定義ではなく、国際的な定義です。

厳密にいうと、国富に換算されるおカネは対外純資産だけです。

対外純資産とは、日本が海外に保有している金融資産から外国が日本に保有している金融資産を差し引いたもので、マイナスの場合は対外純負債です。

どうして対外純資産以外のおカネは国富として算定されないのでしょうか?

それは、国内のおカネは誰かの債権(黒字)であると同時に、誰かの負債(赤字)だからです。

例えば、川崎市役所の黒字は、同時に川崎市民の赤字です。

なので、その価値は相殺されてしまうのです。

あるいは、私たち日本国民のお財布に入っている紙幣(千円札とか壱万円札)についても、それを持っている人にとっては債権なのですが、それを発行している日本銀行にとっては負債なのです。

あたりまえですよね。

もしもおカネが国富になるのであれば、中央銀行がおカネを大量に発行し、それを金庫に入れておくだけで国富が増えたことになってしまいます。

であるからこそ、対外純資産以外のおカネは国富に入らないのです。

では、国富とはなんでしょう。

答えは次の三つです…
1)生産資産(投資の成果として形成され、かつ生産活動に活用される有形資産)
2)有形非生産手段(土地、地下資源、漁場など、投資の成果として生み出されたものではない有形資産)
3)対外純資産(前述のとおり)

要するに、国富とは主として生産資産のことで、その国の政府や企業が投資によって蓄積してきた公共インフラ施設、工場のほか各種の生産設備のことです。

GDPでいうところの、公的固定資本形成(公共投資)や民間設備投資の蓄積(ストック)のことです。

そこでデフレ突入以降の我が国の国富をグラフ化してみます。

対外純資産が増えているのは、長引くデフレで内需が弱いために対外直接投資が増えてきた結果です。

対外直接投資の増加は所得収支の増加をもたらします。

それによって我が国の対外資産が蓄積されてきただけですので、あまり喜ばしいことでもありません。

また、有形非生産資産が縮小したのはバブルの崩壊で土地の値段が急激に下がった結果です。

なので、これもあまり気にする必要はありません。

問題は国富の主役である生産資産です。

グラフのとおり、デフレ突入以降、生産資産が一向に増えていないことが深刻なのです。

我が国が着実に経済成長していくためには、この生産資産は年々増えていかなければなりません。

とくに我が国は生産年齢人口(15~64歳人口)が減少していきますので。

即ち、デフレ以降の日本国は、生産年齢人口の減少と経済成長を両立させていくための投資が不足しているということです。

このことは、日本国の発展途上国化を意味しています。

さて先般、OECDから我が国の「非自発的パートタイム労働者比率」と「長期失業割合」が公表されました。

まず「非自発的パートタイム労働者比率」をG20諸国のなかで比較してみますと、比率の高さで我が国は第5位です。(2016年ベース)

非自発的パートタイム労働者とは、原則としてフルタイム就業の職が見つからず、やむなくパートタイム就業している労働者のことです。

世界平均が16.4%ですので、日本の19.5%は決して少ない数字ではないでしょう。

次いで、我が国の「長期失業割合」の推移をみてみますと、下のグラフのとおりです。

長期失業者は、15歳以上失業者のうち、失業期間が1年以上の求職中の失業者のことです。

デフレ突入のきっかけとなった1995年の武村財務大臣による『財政危機宣言』以降、一貫して増え続けていることが解ります。

むろん、日本の財政危機など嘘っぱちです。

こうした発展途上国化、もしくは経済のジリ貧状態を招いているものの一つが、「おカネ=国富」という間違った社会通念です。

行政として為すべき投資を怠って、現役世代のみならず将来世代までをも貧困化させておきながら、「川崎市は黒字ですっ!」と言って喜んでいる場合ではありません。

何度でも言います。

どんなにおカネを貯めても国富にはならないのです。(対外純資産は除く)

必要なのは、国民の所得を増やすための投資や消費です。