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議会報告 川崎市政

健全財政論の誤謬を正す2017/06/17    

社会通念上、行政の財政黒字化は「健全」とされています。

その健全財政論の誤謬を正したのが経済学者のL・ランダル・レイです。

彼は国定信用貨幣論を基礎にして『現代貨幣理論』を提唱し、その中で健全財政論の誤謬をより明確にしたのです。

まず「通貨」を通貨たらしめている根拠は、国家が国民に対して納税義務を課し、租税を支払う手段として「通貨」を法定していることにあります。(国定信用貨幣論)

即ち、通貨は、国家が納税手段として受領するものであるがゆえに、最も有力な貨幣として国民の間で流通し、モノやサービスの取引や貯蓄など、納税以外の手段としても受け入れられている、ということです。

なるほど、だとすれば、政府(行政)はまず財政支出によって民間部門に通貨を供給することになります。

ここがポイントです。

はじめに財政支出ありきなのであって、政府は財政支出より前に税を徴収したり国債を発行したりすることはできません。

また、もしも政府が通貨をすべて租税によって回収してしまった場合、国民は通貨を取引や貯蓄といった手段として使用することができなくなります。

したがって、民間(企業や家計)において通貨が納税以外の手段として使用されるためには政府が税収以上の支出を行う必要があります。

家計簿的な発想からすると驚くばかりに衝撃的な結論なのですが、L・ランダル・レイは「『正常』なケースは、政府が赤字財政を運営していること」と言い切っています。

税収<財政支出、つまり「赤字財政こそが正常な状態で、黒字財政は異常な状態である」と。

なるほど、この数年間、川崎市は黒字財政を続けていますが、市内経済は恐ろしいほどのデフレ状態が続いており、多くの市内事業者の皆さんが悲鳴をあげておられます。

川崎市のインフレ率は、昨年2月の0.9%をピークに下がり続け、なんと直近ではマイナス0.1%にまで落ち込んでいます。

それもそのはずで、行政(川崎市)が財政支出の削減(緊縮財政)を行うということは、民間に流通する貨幣の量を減らしてしまうことになるからです。

そのことは貨幣に対する需要を高める(モノやサービスの価値を下げる)ことになりますので、物価の下落→所得の縮小→消費や投資の縮小、という負のサイクル、つまり市民を貧困化させるデフレ圧力になります。

残念ながら、デフレ圧力を助長しているのは、行政の緊縮財政(黒字財政)なのです。

経済は政府部門、民間部門、海外部門から成り立っています。

ある部門における収支の赤字は他の部門における黒字によって相殺されることになります。

したがって、各部門の収支を合計すると必ずゼロになります。

政府部門 + 民間部門 + 海外部門 = ゼロ、という恒等式です。

つまり、誰かの赤字は誰かの黒字ということであり、このことは絶対に逃れることのできない経済の大原則です。

上のグラフのとおり、ゼロ軸を中心に必ず上下対称になります。

例えば、行政の赤字減少(黒字増大)は、民間部門か海外部門の赤字増大(黒字減少)に対応しています。

つまり、川崎市が財政赤字を減らす(黒字を増やす)と、市内民間部門が必ず赤字を増やす(黒字を減らす)ことになります。

よって、行政の財政健全化とは民間部門収支の不健全化ということになります。

この点からも、市内商業が活性化しない最大の要因が川崎市の財政黒字にあることが解ります。

貨幣価値が上昇するデフレ期には、行政が財政赤字をつくることで貨幣を供給し、貨幣価値を下げることが必要です。

そのことが市内GDP(名目)を拡大させ、市税収入を増大させます。(税収は名目の市内GDPに相関する)

そして市税収入を増大させた行政が更に財政支出を拡大させると、またまた市内GDP(名目)が拡大します。

このサイクルのことをデフレ脱却及び経済成長といいます。

一定規模まで成長できれば、借金する主体は行政から企業に移っていくことになります。(誰かが借金してくれないと経済は絶対に成長しない)

川崎の市内GDP約5兆円に対し、川崎市の財政規模は約1兆3000億円です。

なので川崎市の財政支出が市内GDPに与える影響は大きいのです。

その川崎市がデフレ下において黒字財政を続けるかぎり、市内経済はじり貧です。

そもそも行政の目的は、財政の黒字化ではなく「経世済民」です。

緊縮財政で道路や駅広の整備は遅れ、赤字を理由に市バス路線も増えない、病床不足で病院に入れず、こどもを保育所に預けることもできない、だけど…「川崎市は黒字です」と言って何の自慢になるのか。

私の社会通念(財政健全化論)との弛まざる闘いは続きます。