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議会報告 政治・経済

残酷な税金2017/06/11    

政府が6月9日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に消費税率引き上げについての記述がなかったことから、消費税増税(8%→10%)見送りの布石ではないかとの憶測が飛び交っています。

それを打ち消すかのように閣議決定後の記者会見で菅官房長官は、社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会から国の信認を確保するために必要なものであることから、2019年10月に消費税の引き上げを実施する方針に変わりはない」(6月9日、ロイター)と強調されました。

記者の質問に対し、やむ得ず応じたポジション・トークなのか、あるいは本気でそうのように思っているのかは解りませんが、官房長官いわく①社会保障の充実②市場や国際社会からの信認が、消費税増税(8%→10%)を行わねばならない大義なのだそうです。

もしも本気でそのように思われているなら誠に救い難いことですが、仕方なしのポジション・トークであったのなら、もう少しまともな言い訳を考えたほうがいい。

二言目には「国際社会からの信認」と言われますが、我が国はべつに国債発行にあたって他国の通貨建てで他国の資本に依存しているわけではありません。

いつも言うように、100%自国通貨建てで、90%以上が国内で消化されています。

しかも金利が高くなったら、日銀が買い取れば済む話です。

なので国際社会の信認と我が国の財政運営に何ら因果関係などありません。

それに消費税であろうが〇〇税であろうが、日本国内の税率に関して国際社会が特段の興味や関心を寄せていることもないでしょうに。

私ども日本国民だって、他国の税率などに何の関心もありません。

それこそ主権の問題です。

例えば「消費税率をあげないから日本は信頼できない…」なんていう国がいったいどこあるのでしょうか?

100歩譲って、仮にどこかの国がそのように言ったとして、そのことが我が国の国債発行にどんな支障をきたすのでしょうか。

「そうは言ってもぅ、このままでは日本の社会保障がぁ~」と二の句を継ぐのでしょうが、デフレを脱却して普通に経済成長すれば社会保障費の増額分など余裕で賄えます。

しかもお釣りがきます。

厚生労働省の試算では、社会保障費の伸びは毎年約1.2兆円とのことです。

であるならば、デフレを脱却してインフレ率を2%にし、GDPが名目で3%、実質で1%成長するだけで充分です。

内閣官房参与の藤井聡先生によれば、現在の我が国は税収弾性値が少なくとも3~4ありますので!
(税収伸び率 = 税収弾性値 × 名目GDP伸び率)

それよりも「次世代への責任」というのであれば、デフレによる「投資」の縮小のほうがよほどの大罪です。

例えば、現在の私たち日本国民が豊かな生活を送ることができているのは、先人たちが弛まない投資をしてくれたお陰です。

よって、デフレによる「消費」の縮小は現代世代の貧困化ですが、「投資」の縮小は未来世代の貧困化なのです。

投資の縮小 インフラの貧困化 経済成長の抑制 税収の縮減 社会保障の貧弱化

このサイクルこそが次世代への責任放棄なのではないでしょうか。

そもそも消費税はとても残酷な税金です。

私は基本的に、中間所得層に手厚くすることが理想的な税制であると考えています。

歴史的にみても、中間所得層を充実させた社会こそが安定した発展を遂げているわけですから。

ご承知のとおり、高度成長期の我が国がそうでした。

そのために、国内の所得格差を小さくするという「所得の再分配機能」として累進課税があるわけです。

また、累進課税には加熱し過ぎた景気を沈静化させる効果があり、逆に冷え込んだ景気を刺激する「ビルトイン・スタビライザー」の効果もあります。

ところが、消費税には所得の再分配機能もビルトイン・スタビライザー機能もへったくれもない。

財務省がよく「消費税は安定財源だ」と言います。

なぜ安定財源なのかといえば、消費税は弱者からも容赦なく税金をとるからです。

失業者であろうが、赤字企業であろうが、子供であろうが消費税を払わなければなりません。

あるいは、高所得者は稼いだ所得を消費に回す割合が少ない(消費性向が低い)一方で、低所得者は稼いだ所得を消費に回す割合が多い(消費性向が高い)わけです。

なので支払った消費税と所得の割合を比べてみると、低所得者層の方が重税になってしまうのです。

結果、低所得層及び中間所得層に厳しく、格差拡大型の税金が消費税なのです。

それよりも、これまでの経過でも明らかなように、消費税が増税されるたびに必ず再デフレ化しています。

それから消費税増税で注目すべきは、法人税率の動向です。

これまで、消費税増税と同時になぜか法人税が減税されています。

要するに、消費税が法人税減税の穴埋め財源になっているのではないでしょうか。

上のグラフのとおり、1991年以降、消費税と法人税の合計額はほぼずっと横ばいです。

明らかに消費税増税で消費税収が増えた分、法人税収が減っています。

さて、法人税が減税されて得をするのは誰でしょう?

それは間違いなく企業の株主たちです。

即ち、消費税の増税=法人税の減税はグローバリズムの一環なのでしょう。

とはいえ、厚かましく「法人税減税のために消費税を増税する」などとはさすがに言えないので、「社会保障の税源がぁ…」とか「国の借金がぁ…」とか「国際社会の信認がぁ…」とか言っているのではないでしょうか。

むろん、私の推測です。