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議会報告 川崎市政

『骨太の方針2017』のトリレンマ2017/06/08    

明日(6月9日)、『骨太の方針2017』が閣議決定されます。

『骨太の方針』(正式名称は違う)は、それまで財務省が握っていた予算編成の主導権を官邸主導にするため、小泉政権下の2001年以降、総理を議長にした経済財政諮問会議が基本方針をとりまとめ、毎年6月に閣議決定されるようになりました。

文字どおり、これが経済財政政策の基本方針になります。

因みに、経済財政諮問会議のメンバーは次のとおりです。
議長= 安倍晋三(内閣総理大臣)
議員= 麻生太郎(副総理 兼 財務大臣)
同 = 菅義偉(内閣官房長官)
同 = 石原伸晃(内閣府特命担当大臣 兼 経済再生担当大臣)
同 = 高市早苗(総務大臣)
同 = 世耕弘成(経済産業大臣)
同 = 黒田東彦(日本銀行総裁)
同 = 伊藤元重(学習院大学国際社会科学部教授)
同 = 榊原定征(東レ株式会社 相談役最高顧問)
同 = 高橋進(日本総合研究所理事長)
同 = 新浪剛史(サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長)

敬称は略させて頂きますが、伊藤元重榊原定征高橋進新浪剛史の4名が総理によって政治任用された、いわゆる「民間議員」です。

私の知るかぎり、この民間議員のうち3名はデフレの深刻さを理解できないネオリベラーです。

彼らの意地もあってか、あした閣議決定される『骨太の方針2017』の素案には、レイのごとく「基礎的財政収支(PB)2020年黒字化」がしつこく謳われています。

ただ今回は、デフレ脱却をめざす良識派(政府関係者)たちのご努力もあって、素案には「債務残高対GDP比の安定的な引下げ」も同時に盛り込まれています。

加えて、600 兆円経済の実現に向けて『未来投資戦略2017』に基づく成長戦略を推進することも明記されています。

GDP統計が変わって、それまでGPDに算入されていなかった技術開発投資分のGDPが30兆円程度ありますので、新たな経済目標を600兆円から630兆円に引き上げなければならないと思うのですが、なぜか素案では600兆円のままです。

まぁ100歩譲ってそのことには目をつぶるとしても、今回の素案には政策上のトリレンマが生じています。

相反する2つの板挟みで、どちらとも決めかねる状態をジレンマといいますが、その3者版がトリレンマです。

ただし、ここでいうトリレンマは、3つうち2つまでしか実現することができない、あるいは3つを同時達成することはできない、というほどの意味合いです。

どうみても『骨太の方針2017(素案)』に明記されている…
1) PB2020年黒字化
2) 債務対GDP比率の引き下げ
3) 経済成長
…の三つを同時に達成することは困難です。

例えば、経済を成長させるにはデフレからの脱却が必要です。

とすれば、財政出動(国債発行)による貨幣(アクティブ・マネー)供給が必要になりますので、PB2020年黒字化が不可能になります。

そのかわり、債務対GDP比率を引き下げることはできます。

一方、PB2020年黒字化を実現しようとすれば、財政出動(国債発行)を抑制しなければなりませんので、デフレを脱却することができず経済成長は成しえません。

むろん、債務対GDP比率の引き下げも困難です。

そして債務対GDP比率を引き下げようとすれば、歳出を抑制してPBを黒字化させるか、経済を成長させて分母のGDPを拡大するかの選択が迫られます。

とはいえ、PBを強引に黒字化させ債務対GDP比率を引き下げようとすると、結局は歳出抑制(財出抑制)になりますのでデフレ脱却ができず経済成長は不可能になります。

詰まるところ…
1) PB2020年黒字化
2) 債務対GDP比率の引き下げ
3) 経済成長
…の三つを同時に達成することは不可能なのです。

これが『骨太の方針2017(素案)』のトリレンマです。

なので、デフレを克服するまでは「PB2020年黒字化目標」など、一旦は破棄すべきなのです。

繰り返しますが、経済成長の源泉は「借金」です。

逃れられない現実として、誰かが借金をしなければGDP市場に貨幣が供給されません。

GDP市場に貨幣が供給されないと需要が拡大しないため、デフレを克服できない。

その点、量的緩和が貸出し(貨幣供給量)を増やすのではなく、貸出し(借金)の拡大こそが量的緩和を求めるのです。

そして、デフレ期に借金することのできる経済主体はただ一つ、地方行政を含めた「政府」しかないのです。

何度でも言います。

借金を悪とする家計簿ポリティクスは、経世済民の敵です。