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議会報告 政治・経済

グローバリズムとデフレとレント・シーキング2017/06/07    

森友学園、加計学園、共謀罪…
今の国会をみていますと、あまりにも非建設的な批判と弁解が繰り返されるばかりで、与野党ともに何の提言も展望も示すことができません。

それは国際政治でも同様で、ロンドンでISのテロが再び発生しましたが、これに対して「断じて許さない」と批判するだけで何もできない。

空しい言葉だけで何もできない、という点では北朝鮮問題でも同じです。

我が国政府は「国際機関を通じて厳重に抗議しました」と繰り返すばかりで、行動どころか何ら具体的な指針すら示せない。

トランプ米大統領もまた言葉だけは威勢よく、ただ2隻の空母を周辺に展開させるだけで、度重なる北朝鮮のミサイル発射を許しています。

空母カールビンソンに至っては、トランプの命令とは別の方向に向かっていた始末です。

そうした間隙を縫って、いよいよ北朝鮮は米中を手玉にとって、核とミサイルによる自国の防衛を終に完成させる段階にまできています。

国会のみならず、我が国の言論界をみても批判合戦をくりかえすばかり。

誰もそれを打開するための提言をしようとはせず、よく言われるように、そこにあるのはただ批判のための批判だけです。

例えば、格差を批判し、税金の無駄遣いとやらを批判しても、テレビに出てくるコメンテーターの誰一人として本質的な問題提起や解決策を提言できない。

様々な世界の問題は、小さなことから大きなことまで、その多くのものはいくつかのキーワードで繋がっているように思えます。

それは、「グローバリズム」「デフレ経済」「レント・シーキング(rent-seeking)」です。

グローバリズムとは、ヒト・カネ・モノ(サービスを含む)の国境を越えた移動の自由を最大化すること。

これを追求すると、必ず「1%」vs「99%」へと社会を分断していきます。

デフレ経済とは、物価と所得が相乗的に縮小していくことで、現代と未来の国民を貧困化させていく経済現象のこと。

レント・シーキングは、それまで規制されていて参入できなかった利権に、ロビー活動を行うことで規制を政治的に緩和させ、強引に市場に割り込んでその利権の一部を獲得すること。

レント・シーキングを行う人を「レントシーカー」といいます。

レントシーカーたちは、べつに世の中に新たな富を生み出しているのではなく、既にある富を奪うだけですので社会全体としては豊かになりません。

例えば某携帯電話会社の再生可能エネルギー事業がそうです。

再生可能エネルギー固定価格買取制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどによる発電)によって発電された電気を、あらかじめ決められた価格で買い取ることを電力会社(東電)に義務付けています。

この制度をレント・シーキングしたことで、某携帯電話会社はただひたすらに東電の利益を掠め取っているだけです。

利益を奪われる電力会社は、その負担を一般の電力利用者に押し付けることのできる制度になっていますので、お陰で私たちは、毎月700~800円の「再エネ発電賦課金」という余計な負担をさせられています。

さて、人の能力には個人差がありますので、ある程度の格差が生ずるのは当然です。

なので格差そのものを否定はしませんが、超富裕層62人の資産が世界72億人の下位36億人の資産に匹敵するような巨大な格差は、実はレント・シーキングという財閥優遇政策によって生まれたものです。

現在の世界は、これが固定化され拡大し続けているわけです。

グローバリズムの下では、株や不動産で得られる富の方が労働で得られる富よりも早く蓄積されるのは当然で、トマ・ピケティの言う「r(資本収益率)>g(経済成長率)」の世界です。

またそのことが、一層のデフレ経済を助長しています。

この不等式が固定化している最大の原因が、グローバリズムとレント・シーキングにあることを見抜いたのは、あのジョセフ・スティグリッツです。

その見識はまさに卓見だと思います。

考えてみれば、森友学園や加計学園の問題も結局はこのレント・シーキングです。

それからもう一人、竹中何某というレントシーカーの権化みたいな人がいます。

この手合いは規制緩和や自由化を叫び、政府をできるだけ小さくさせることで公共サービスを民営化させようとします。

そこに、既存の利益を奪う、という彼らのビジネスチャンスがあるからです。

デフレ経済が常態化すると、国民の中に公務員ルサンチマン(公務員に対する鬱屈とした嫉妬)が充満していきます。

よって多くの国民が「小さな政府化」に賛同することになります。

なので彼らレントシーカーにとって、デフレ経済こそが実は居心地の良い稼ぎ時なわけです。

因みに、ISのテロがなお愚かなのは、このレント・シーキングこそが巨大な格差の源泉であることを認識できていない点でしょうか。

残念ながら今の国会もメディアも、現今政治の本質に全くもって迫ってはくれず、その解決策など一向に提言されることはありません。