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議会報告 川崎市政

PBを改善してデフォルトしたギリシャ2017/06/05    

今日もしつこく、プライマリー・バランス(以下「PB」)のお話です。

:PBとは、借金の元利金返済を除いた歳出と税収との差額です。
税収 > 歳出(借金の元利払いを除く) …ならPB黒字!
税収 < 歳出(借金の元利払いを除く) …ならPB赤字!

家計簿的発想からすると、PBは常に黒字であったほうがいい、ということになりますが、地方行政も含めた政府においては必ずしもそうではありません。

経世済民を目的とする政府が追求すべきは、GDPを拡大することです。

GDPとは、国民の所得(=支出=生産)の合計です。

政府が財政規律なるものを考える時、短期的にPBは赤字でも、中長期で政府債務対GDP比率が低下していけばいいわけで。

2013年のG20サンクトペテルブルグ首脳宣言でも“政府債務対GDP比率”の低下がいわゆる国際公約になっています。

にもかかわらず、“PBの改善”がG20サンクトペテルブルグ首脳宣言の国際公約であるかのごとく振舞っている人たちがいますが、そういう人たちは嘘つきです。

彼らは首脳宣言の文書をちゃんと読んでいないはずです。

まちがいなく首脳宣言には“政府債務対GDP比率の低下”こそが大事であると謳われています。

さて、政府債務対GDP比率を低下させるには次の3通りの手段があります。
1) 分母のGDPを拡大する
2)分子の政府債務を縮小する(金利の低下)
3)分子の政府債務を縮小する(PBの黒字化)

そうです!… 3)にある“PBの黒字化”は政府債務対GDP比率を低下させるための一つの手段であって目的ではないのです。

前述の彼らは手段を目的化しています。

なお、下のグラフのとおり、2)の金利の低下は既に限界です。

なので残された手段は、PBを黒字化するか、GDP(名目)を拡大するか、の2つだけです。

ところが、いつも言うように、PBを無理やり黒字化させようとするとGDPが縮小してしまうので、かえって税収が減ってしまいPBは悪化します。

一方、一旦はPBを赤字にしてでもGDPを拡大させることで、結果的にPBを黒字化することができます。

これも以前に掲載しているグラフですが、名目GDPの成長率と翌年のPBは相関するのです。

即ち、名目GDPを拡大させれば、自然にPBは改善するということです。

なので、未だ「2020年までにPBを黒字化させよう!」(菅内閣が閣議決定した目標)と叫んでいる人たちは、手段を目的化して正しい政策を妨げている人たちなのです。

PBの改善(黒字化)に固執してしまったが為に、デフォルト(債務不履行)した典型的な国がギリシャです。

下のグラフのとおり、リーマン・ショックまでのギリシャは名目GDPを着実に成長させていました。

よって、2004年と2005年はPBが黒字化にむけて上昇しています。

問題はリーマン・ショック以降です。

グラフのとおり、リーマン・ショック後の2009年以降、ギリシャ政府は急速にPBを黒字化させようとしたために、2008年から2012年にかけて名目GDPが1/4も激減してしまいました。

1/4って、たいへんな数字です。

ギリシャは結局、デフォルト(債務不履行)しました。

2015年はさらに縮小しています…

むろん、ギリシャ政府がそのようにしたくてしているわけではありません。

ギリシャに融資しているECB(欧州中央銀行)やらIMF(国際通貨基金)やらEU(欧州連合)やらが、ギリシャ政府にそのようにさせているのです。

とはいえ、GDPが縮小して一番に困るのはギリシャ国民です。

GDPの縮小とはギリシャ国民の所得の縮小を意味しますので。

ECB、IMF、EUが、真にギリシャを再生させたいのであれば、融資したおカネでギリシャ政府に財政出動をさせ、GDPを拡大させて税収を増やし、それをもって返済させるべきです。

融資条件がPBの黒字化では、永遠にギリシャは借金を返済できません。

因みに、我が国はギリシャとは違って、外国やIMFなのどの国際機関からおカネを借りていませんし、100%自国通貨建てで国債を発行していますので破綻リスク(デフォルト・リスク)はゼロです。

むしろデフレの直中にある今、さらなる借金と財政出動が可能です。

民間が借金をしてくれないデフレ期には、政府が借金をして市場に貨幣を供給するほかないのです。

それを阻止しているのが、PB黒字化目標です。

国であれ、地方であれ、PBの黒字化を叫ぶ連中が大手を振るっている現状を変えなければなりません。