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議会報告 政治・経済

量的緩和の限界2017/06/02    

本日(6月2日)、日本銀行から5月末時点のマネタリーベースが発表されました。

5月末の残高は455兆9275億円(約456兆円)とのことです。

さっそく、グラフにしました。

マネタリーベースとは、市中に出回っている現金(紙幣+硬貨)と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計のことです。

日本銀行が言うところの、いわゆる「資金供給量」です。

前月(4月)末のマネタリーベースは456兆2398億円でしたので、この5月末は3ヶ月ぶりに減少したことになります。

ご承知のとおり、日本銀行は、昨年9月の金融政策決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決め、緩和政策の軸足をそれまでの「量」から「金利」に転換しました。

転換せざるをえなかったのは、政府が頑なに緊縮財政PB(プライマリー・バランス)主義を貫き国債の発行額を抑制しているために、市場の国債が枯渇しているからです。

上のグラフは昨年12月末時点の数値ですので、おそらくは既に日銀の国債保有比率は40%を超えているものと思われます。

日銀は日銀で、物価が目標の2%を超えるまでマネタリーベースを拡大するという基本方針に変わりがないので、民間の金融機関から国債を購入したい。

ですが、民間の金融機関の手元にある国債が枯渇しているわけです。

民間の金融機関にしても、これ以上の国債売却はデフレによる運用難を助長することになりますので、国債の枯渇化に苦しんでいるのではないでしょうか。

当然のことながら、民間の金融機関は預かっている預金を何らかの金融資産で運用しなければなりません。

そのとき、もっとも堅実な金融資産が日本国債です。

何と言っても我が国の国債金利(10年物)は、下のグラフのとおり低下(国債の価値は上昇)し続けていますので。

さて、マネタリーベースのほとんどは、民間金融機関が日銀に設けている日銀当座預金です。

現金は約100兆円で、硬貨は4.6兆円しかありません。

なのでマネタリーベースのうち、350兆円以上が日銀当座預金です。

2012年12月に第二次安倍内閣が発足以降、324兆円ものマネタリーベースを増やしたわけですが、つまりそのほとんどが日銀当座預金ということです。

これだけの日銀当座預金を増やしたにもかかわらず、インフレ率は一向に上がらない。

しかし上がらないのも当然です。

なぜなら、民間銀行による貸出し(融資活動)の原資は日銀当座預金ではないからです。

むしろ貸出しが増えることで預金が創造され、一定の日銀当座預金を積み立てる義務を銀行は負うのです。

貸出しが増える時ってどんな時でしょう。

実体経済の需要が拡大した時です。

デフレ期の今、実体経済の需要を創造できる経済主体は政府(行政)だけです。

なので政府が財政を出動させないかぎり、一向に銀行の貸出しは増えず、インフレ率も上昇しません。

質的であろうが、量的であろうが、日銀がどんなに金融緩和を行ったところで、実体経済のパイ(GDP)が拡大しないかぎり絶対に銀行の貸出しは増えません。

今、財政出動を阻んでいる邪悪な思想は、まさにPB(プライマリー・バランス)思想です。

政府も地方行政もデフレ脱却をするまでPB黒字化目標を一旦は破棄し、継続的な政府債務対GDP比率の低下を財政再建目標に設定すべきです。

過日のG20サンクトペテルブルグ首脳宣言でも、そのように決定したはずです。

これ以上のPB目標への固執は、G20サンクトペテルブルグ首脳宣言違反になりましょう。

いや、既に違反しています。