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議会報告 政治・経済

「2020年PB黒字化目標」の破棄こそ、将来世代への責務だ2017/05/24    

来月(6月)、経済財政諮問会議(総理の諮問機関)が、いわゆる「骨太の方針」(経済財政運営の政府指針)を発表します。

この経済財政諮問会議は、総理及び関係大臣や有識者議員等の意見を経済財政の政策形成に反映させるために設置された内閣府の機関です。

ネオリベ的構造改革を推し進めた、あの小泉内閣時代に創設されました。

諮問会議の顔ぶれをみたとき、総理や関係大臣はともかく有識者議員等というのがくせものです。

有識者議員は、基本的に総理によって選ばれます。

それが恣意的だ、という批判もあるのですが、民間議員のうち2名は経団連幹部が選ばれているため、どうしても経団連の意向が強く反映される、とも言われています。

もう一つ、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会というのがあって、来月に発表される「骨太の方針」に反映させるための意見書をとりまとめています。

昨日(5月23日)、その意見書の概要が明らかにされました。

麻生財務相によると、意見書は2020年度の財政健全化目標の堅持と、補正予算の編成を伴う安易な経済対策に警鐘を鳴らしている、とのことです。

愚かにも財政再建を「将来世代に対する最低限の責務」と位置付け、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の赤字は「将来世代に負担を押し付けていることを意味する」と指摘しています。

注:基礎的財政収支、いわゆるプライマリー・バランス(以下「PB」)とは、国債の元利払いを除いた歳出と税収との収支のことです。

意見書の言う「2020年度の財政健全化目標」とは、あの菅内閣が2010年に閣議決定した「2020年PB黒字化目標」のことです。

しかし、藤井聡内閣官房参与がご指摘されているように、2020年PB黒字化目標は、G20首脳宣言、いわゆるサンクトペテルブルグ首脳宣言で合意されている「債務対GDP比率引き下げ目標」を達成するための一つの手段にすぎません。

即ち、債務対GDP比率引き下げ目標が戦略であるとするなら、2020年PB黒字化目標はあくまでも戦術にすぎないということです。

戦略目的を遂行するためには、ときに戦術は柔軟に変更されてしかるべきです。

戦略はハードウェア、戦術はソフトウェアなのですから。

ところが、愚かにも財務省は、戦略よりも戦術を優先しています。

その点、戦争に負けたときの日本軍(軍人官僚)とそっくりだ。

藤井内閣官房参与は「債務対GDP比率の引き下げ目標を棚に上げて2020年PB黒字化目標を優先させようとするのは国際公約違反(G20首脳宣言違反)である」ともご指摘されています。

誠、ご尤もなことと存じます。

要するに財政制度等審議会は、その意見書によって財政出動をさせないための布石を打っているわけです。

デフレの深刻化によって財政出動の必要性が高まっていることから、財務省サイドとしては「骨太の方針」に歳出拡大を盛り込ませたくない、という一心なのでしょう。

今や緊縮財政は財務省の権益になっています。

国民経済のためには歳出の拡大が必要なのに、彼らの権益のためにそれが阻止されています。

しかし確固たる事実として、PB黒字化(赤字縮小)による経済成長率の押し下げが、私たちの国民経済を痛めつけ、債務対GDP比率を引き上げています。

何よりも、必要な投資が行われず、そのことは将来世代への禍根となります。

昨日のエントリーでも申し上げましたとおり、「消費」は現役世代のため、「投資」は将来世代のための支出です。

言うまでもなく、現在の私たち日本国民の便利で安全な暮らしは、先人たちの「投資」という支出によって支えられています。

その私たちが「投資」を怠ってしまったら、将来の日本国民はどうなるでしょう。

むろん、大いなる禍根を残すことになるのです。

繰り返しますが、2020年PB黒字化目標こそが将来世代への投資を抑制しています。

仮にさらなる投資(財政出動)を行ったとしても、100%自国通貨建てで国債を発行している日本国においては財政破綻(債務不履行)のリスクはゼロです。

よって、2020年PB黒字化目標を破棄することこそ、私たち日本国民の「将来世代に対する最低限の責務」だと思うのです。