〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 政治・経済

ギリシャを追い詰めている財政思想2017/05/20    

新たなギリシャ国債の最初の返済が7月に迫っています。

ここにきてギリシャと公的債権者を代表するEU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)との話し合いが紛糾していることから、ギリシャ国債の価格がまた下落(金利は上昇)しているようです。

我が国では「クニのハタン」みたいな言われ方が一般化されていますが、実は「国家の破綻」に正式な意味での定義はありません。

ただし、起債した国債の元利払いを中央政府が履行できなくなったとき、いわゆるデフォルト(債務不履行)に陥ったときを「破綻」と定義することができます。

そのデフォルト常習犯国家の一つがギリシャです。

ギリシャは、2001年に共通通貨ユーロを導入しました。

以来、ギリシャはユーロ建てで国債を発行しています。

といって国債発行そのものは別に悪いことではなく、例えば公的固定資本(社会インフラ)を形成していくために、どの国でも行っていることです。

ただギリシャの不幸は、共通通貨ユーロを導入したことで、ギリシャよりも生産性の高い国と同じ通貨(ユーロ)建てで国債を発行しなければならなかったことです。

ギリシャよりも生産性の高い国、例えばドイツ。

即ち、ギリシャが国債を発行する際、ドイツ国債との市場競争があるわけです。

ドイツよりも生産性の低いギリシャは、ドイツよりも高い金利で国債を発行せざるを得ません。

例えば、直近のドイツの10年物国債の利回りは0.36%という水準ですが、ギリシャのそれは5.54%です。

それに、どんなにギリシャが頑張っても生産するモノやサービスに国際競争力がないために経常収支は常に赤字状態です。

貿易収支一つとっても、絶対にドイツに勝てません。

私はギリシャに行ったことがありませんが、行った人に聞くと、ギリシャの街を走っている自動車はほぼドイツ製だとか…

ギリシャはドラクマという自国通貨建てで国債を発行できず、経常収支は恒常的に赤字状態、それでいて国債の利払い費はユーロ圏で最も高い。

そりゃぁ、デフォルトするのも郁子なるかな。

そんなギリシャ政府に対して、IMFなる私に言わせれば金融暴力団組織が「そんなにカネ(ユーロ)を貸してほしけりゃ財政再建しな」と言う。

ところが、そもそもギリシャはデフレ経済です。

そんなギリシャで政府が財政再建(収支均衡)を図れば、たちまちにして名目GDPが縮小してしまい、かえって税収減になります。

現にそうなっています。

いつも言うように、税収は名目GDPに比例します。

くどいようですが、事例として我が国の名目GDPと税収の推移をグラフ化したものを掲載させて頂きます。

因みに、川崎市のそれも…

二つのグラフが示すとおり、名目GDPが減少すると、それに相関して税収も減少することになります。

ここ数年、ギリシャ政府が破綻スパイラルに陥っている理由はここにあります。

なぜなら、デフレ化において政府が収支均衡(プライマリー・バランスの黒字化)を図ると、名目GDPが間違いなく減少するからです。

即ち、ギリシャはプライマリー・バランスが悪化しているから名目GDPが落ち込んでいるのではなく、プライマリー・バランスを無理やりに黒字にしているから名目GDPが悪化しているのです。

下のグラフのとおり、2009年以降、ギリシャ政府はIMF様のご命令に従って強引にプライマリー・バランスを黒字化すべく緊縮財政を断行しています。

 

凄まじい緊縮です。

結果、ギリシャの名目GDPの推移は下のグラフのとおりです。

IMFなりECB(欧州中央銀行)なりが本気でギリシャ経済を再建したいのであれば、ギリシャ政府に対して名目GDPを拡大させるための融資を行い、ギリシャの政府債務対GDP比率を低下させつつ、その税収増を原資にしてIMFやECBに債務返済をさせるべきだと思います。

何よりも、名目GDPが減少することで一番困るのはギリシャ国民です。

名目GDPの減少、即ちデフレは国民を貧困化します。

ギリシャ国民を苦しめている財政思想こそ「プライマリー・バランスの黒字化」です。

そんなギリシャをみて他人事と思えない国、それが我が国です。