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議会報告 政治・経済

日銀の「展望レポート」は「願望レポート」2017/04/28    

昨日(4月27日)、日銀による経済と物価の最新の見通しである『展望レポート』が公表されました。

今回の『展望レポート』では、国内の景気判断が「緩やかな拡大に転じつつある」と上方修正されています。

…「拡大」という表現は9年ぶりだそうです。

私には、日銀の「景気が良くなる」の定義が今一つわかりません。

もしも本当に景気が拡大しつつあってデフレ脱却に向かっているのであれば、現在行っている金融緩和の「出口戦略」の議論をはじめなければならないでしょうに。

でもそれは、時期尚早なのだそうです。

『日銀総裁、出口戦略「具体的議論は時期尚早」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H37_27042017000000/

日銀の黒田東彦総裁は27日の金融政策決定会合後の記者会見で、現行の金融緩和の出口戦略について「具体的な議論は時期尚早だ」と述べるにとどめた。(後略)』

久しぶりに、内閣府が発表しているデフレギャップ(需給ギャップ)を確認しましたら、なんと今や昨年の第4四半期(Q4)の時点で需要不足は2兆円にまで縮小しています。
※内閣府はデフレギャップと言わず、GDPギャップと言っています。

もし本当に需給ギャップが2兆円程度であるのならば、公共事業などで2兆円規模の財政出動を2~3年ぐらい行えばデフレの完全脱却は可能でしょうに。

明らかに過小試算かと思われます。

例えば会田卓司(ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト)氏などの、最も説得力のある試算によれば、現在の日本のデフレギャップは約15兆円と言われています。

なぜ内閣府の試算するデフレギャップはこんなにも小さいのか。

それは、デフレギャップを小さく見せるように潜在GDPの試算方法を変えてしまったからです。

デフレギャップ = 潜在GDP - 実質GDP

…ですので、潜在GDPを小さくすることでデフレギャップは小さくなるのです。

以前の試算方法は、すでに存在している労働者や資本、設備がフルに稼働した場合に生産可能なGDPを『潜在GDP』(最大概念の潜在GDP)としていました。

即ち、労働者がフルに稼働している「完全雇用環境下のGDP」と呼び変えても構いません。

ところが現在では、過去の平均的な労働や設備稼働率に対応するGDPを『潜在GDP』(平均概念の潜在GDP)とすることになりました。

例えば失業率でいうと、過去の平均失業率を算出して弾き出された平均失業率をもとに潜在GDPを試算します。

要するに、過去のリソースの平均値をもとに算出しますので、デフレになればなるほどに潜在GDPは縮小していくことになります。

このように、最大概念の潜在GDPを平均概念の潜在GDPに変更したのは、あの竹中平蔵氏(小泉内閣)です。

むろん、デフレギャップを小さく見せるためです。

また、内閣府がデフレギャップを小さく見積もってくれることは、財政出動を嫌う財務省の省益にもなっています。

これはあくまでも私の憶測ですが、なぜ財務省が財政出動を嫌うのかというと、財政出動をするとデフレが克服されてしまい、デフレが克服されてしまうと消費税率の引き上げを目論む財務省の口実がなくなってしまうからです。

デフレは我が国に蓄積されてきた虎の子の供給能力を毀損していきます。

そして供給能力が毀損することを「国力の低下」と言います。

そのデフレ脱却の出口は未だ見えていない、というのが日本経済の現況だと思います。