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議会報告 政治・経済

米国が法人税率を引き下げると…2017/04/27    

トランプ米政権が大型税制改革の基本方針を公表しました。

なんでも連邦法人税率を35%から15%へと大幅に引き下げるのだとか。

ムニューシン財務長官によれば「過去最大の減税案」(『日本経済新聞』)とのことです。

ここに、「反グローバリズム」に徹することのできないトランプ米大統領の弱さを感じます。

いつものことながら、グローバリズムとは、ヒト・カネ・モノの国境を越えた移動の自由を最大化することです。

それによる最大の受益者は、国境を気にすることなくグローバルに資金を動かすことで配当金やキャピタルゲイン、あるいは高額報酬などの利益を掠め取ることのできるグローバル投資家とグローバル企業の経営者たちです。

いわゆる「1% vs 99%」の「1%」の人たちです。

法人税の引き下げは、彼らによる要請でもあります。

企業会計では、税引き前利益から法人税を差し引いたものが純利益になります。

その純利益が株主への配当金の原資になるため、法人税を引き下げるほどに配当金が増えるわけです。

なので法人税率の引き下げは、まさにグローバリズム的政策そのものです。

法人税の減税によって、当然のことながら財源に穴ができます。

グローバリズムはその穴を国民負担で埋めようとします。

例えばEU諸国がまさに典型ですが、法人税減税の穴埋めは付加価値税(日本の消費税)によって賄われています。

日本でもそうですが、下のグラフのとおり、法人税収入と消費税収入の推移をみますと、法人税収入の減少を消費税収入で賄ってきたことがよくわかります。

よく言われていますように、消費税は富裕層に優しく、中間層及び低所得層には厳しい税制です。

仮に消費税の税率が10%であったとしても、年収3,000万円以上ある人にとっては大した負担ではありません。

例えば食べ物を消費する場合、高額所得者であろうと低額所得者であろうと消費量はそんなに変わらないものです。

なのでエンゲル係数の高い家計ほど、消費税は大きな負担になるわけです。

それは企業も同様です。

なぜなら企業の場合、消費税は粗利益にかかるからです。

その企業が儲かっていようが儲かっていまいが、容赦なく消費税が課せられます。

よって企業にとって消費税は、いわば外形標準課税であるため、大企業には優しく中小零細企業には厳しい税制になるわけです。

何よりも、法人税率を引き下げたところで、デフレが解消されないかぎり、企業は内部留保を増やすか、あるいは配当金を増やすか、もしくは自社株買いで株価を上げるかのいずれかしかできないでしょう。

むしろ消費税率の引き上げなどで国民負担が増えれば、それがまたデフレ圧力になってしまいます。

実はグローバリストたちにとって、デフレは心地よい経済環境なのです。

デフレは人件費の抑制圧力になりますので、これがまた配当金を増やすための原資になるわけです。

もしも法人税率を引き下げるのであれば、設備投資や技術開発投資などを行った企業を対象にした、いわゆる投資減税を行うべきです。

これら設備投資や技術開発投資は立派な需要ですので、需要不足(デフレ)解消につながります。

デフレを脱却すれば、そもそも国民に負担を押し付ける必要もなくなります。

そうした中、黒田日銀総裁が「もはやデフレではない」と息巻いています。

『「デフレでない」期待にじむ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H4D_W7A420C1ENK000/

「もはやデフレではない」。このところ、日銀の黒田東彦総裁はこのフレーズを頻繁に持ち出している。日本経済の需要と供給の差を示す需給ギャップがゼロ%近辺で推移していることなどをふまえた発言だ。だが同時に黒田総裁は「2%の物価安定目標までにはなお距離がある」と加えるのも忘れない。物価が安定的な上昇基調になるには時間がかかると日銀も認めているが、ではなぜ「デフレではない」と繰り返すのか。(後略)』

これまで黒田総裁は「デフレは貨幣現象だ(需要不足ではない)」と言っていたくせに、今度は需給ギャップが改善しているから、と言い出しました。

この需給ギャップ(需要不足)の改善だって、インチキな算出方法で計算されているため実体経済を反映しているわけではありません。

竹中氏が国務大臣時代に、需給ギャップを小さく見せるように統計の計算方法が改悪されています。

識者によれば、現実の需給ギャップは15兆円程度と言われています。

それに物価(インフレ率)がこれっぽっちも上昇していないのに、どうして需要が拡大していると言えるのか。

物価とは、モノやサービスの値段のことです。

なのでモノやサービスが売れないことには、絶対に値段は上がりません。

モノやサービスが売れないことをデフレ(需要不足)と言います。

インフレ率という物価水準が上がっていない以上、「デフレ解消に向かっている」と言うのは、かなり無理があります。

米国が法人税率を引き下げると、必ず日本でも「法人税を引き下げないと企業の国際競争力がぁ~」と騒ぎ出す人たちがでてくることが予測されます。

そうなると消費税率は容赦なく10%に引き上げられることでしょう。