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議会報告 政治・経済

具体性なき安全保障戦略2017/04/10    

北朝鮮情勢の緊迫が続いています。

また彼の国にとって、今月は各種記念日のオンパレードです。

まず4月11日は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の最高指導者就任5年目の記念日。

次いで4月15日は、建国の父・金日成(キム・イルソン)生誕105周年記念。

そして4月25日は、朝鮮人民軍創設85周年記念です。

これまでのパターンですと、記念日の節目にあたり核実験やミサイルの発射実験を断行しています。

米国によるシリアへのトマホーク攻撃を見せつけられた今、それでも核実験なりミサイル発射をやる根性が北朝鮮にありますでしょうか。

米国のティラーソン国務長官は「北朝鮮が他国への脅威となるならば、対抗措置を取る」と明言しています。

一方、メディア等で、我が国の政治家や学者や専門家による安全保障議論を聴いていると、あいかわらず他力本願的なスタンスに終始していることに失望します。

第二次安倍政権が発足して約1年後の2013年12月に、『国家安全保障戦略』が閣議決定されたのをご存じでしょうか。

それまであった「国防の基本方針」(1957年決定)以来、56年ぶりに戦略が更新されたのです。(56年っ!?…なんじゃそりゃ…という感じです)

驚くことに我が国の安全保障戦略は、56年の間、その進捗状況はほとんど点検もされず、ほぼ放置状態にされてきたのです。

主権国家として誠に信じがたいことです。

では、新たな『国家安全保障戦略』の中身はどうか。

安倍総理がよく口にする「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を基本理念としているだけで、現実の脅威に対して具体的にどのように対処していくのかは明確化されていません。

具体性に乏しいのみならず、戦略の主体性すら全く感じえない。

例えば、『国家安全保障戦略』の「我が国を取り巻く安全保障環境と国家安全保障上の課題」の項で、①大量破壊兵器の拡散の脅威、②国際テロの脅威、という言葉がでてきますが、これらはいずれも米国が4年毎に策定している国防戦略『米国QDR(2010年版)』のパクリ。

①の大量破壊兵器の拡散の脅威で言うところの「大量破壊兵器」とは、まさに「核」のことです。

そもそも我が国の核政策が、「核の根絶を目指し」ながら「米国の核抑止力に頼る」という誠に矛盾したものなので、戦略どころの話ではないのでしょう。

北朝鮮の核の脅威について、巷では、「もし北朝鮮が米国に核ミサイルを撃ち込んだらどうなるのか?」と呑気なことを言っている人もおられますが…

仮に北朝鮮がその能力を保有したとしても、現実に米国に対し核攻撃をする可能性などほぼゼロでしょう。

北朝鮮が核保有国である米ロ中に核攻撃をすることはありえず(そんなことしたら一瞬にして北朝鮮は叩き潰されます)、北朝鮮主導で朝鮮半島を統一したいと望む金王朝が、合併対象の同胞に向けて核攻撃はできません。

となると可能性として一番高いのは我が国で、悲しいかな彼らの核能力を示すに最も適した敵対国なのです。

といって、北朝鮮が日本の大都市に突然に核を撃ち込んでくるとも考え難いのですが、例えば北朝鮮が「日本自ら在日米軍を追い出さないのなら核攻撃するぞ」と脅し、日本の人里離れた山の中に鉄塊弾頭あたりをまずは撃ち込んでくる可能性は充分にあり得るかと思われます。

仮にそうなったとしても、おそらく米軍は核での報復は行わないのではないでしょうか。

米軍が北朝鮮に核で報復するのは、在日在韓米軍が直接的に核攻撃されたときか、日本や韓国の大都市で大量の民衆が核で殺された場合に限られるでしょう。

なのでそれ以外は、トマホークなどの通常兵器での報復となりましょうか。

とにもかくにも、我が国は現実の脅威に対し、具体的にどのような手段と手順で対処するのかの安全保障戦略を、早急に主体性をもって構築しなければならないのです。

というか、今さらこんなことを言っていること自体がダメなんですが、何もしないよりはいい。