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議会報告 政治・経済

プライマリーバランス改善目標はデフレ圧力強化目標2017/04/06    

日本政府は、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を2020年度までに均衡させる目標を掲げています。

プライマリーバランスとは、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出と、税収との差です。

ざっくり言いますと、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収でどれだけ賄うことができているのかを示す指標です。

プライマリーバランス、以下「PB」といいます。

この目標が掲げられたのは2010年で、ときの政権は菅直人内閣です。

PB目標の対象には、中央政府だけでなく地方公共団体の財政も含まれています。

今年度(2017年度)の国や地方のPBをみますと、国(中央政府)が21兆円の赤字で、地方公共団体(地方政府)は2.2兆円の黒字となっています。

中央政府、及び地方政府の1994年度から2015年度までのPB推移を掲載します。

実はこのPB目標こそが、我が国のデフレ脱却を阻んでいる元凶です。

デフレは貨幣量の問題ではなく需要量、即ち需要不足の問題です。

ならば、その需要不足を政府、企業、家計、海外、のいずれかの経済主体が埋めなければなりません。

デフレによって、儲かる見込みの立たない企業は支出を控え、将来不安をかかえる家計は貯蓄に勤しんでいます。

そうなると、国内部門で需要を創出できる唯一の経済主体は政府のほかありません。

ところが世は「PBがぁ~」というPB絶対主義的風潮の中にあります。

多くの人々の誤解は、財政の健全化 = PBの改善、と思い込んでおられることです。

これは、明らかに間違いで…

財政の健全化  = 債務対GDP比率の低下 、が正解です。

各国が債務対GDP比率を低下させることは、先のG20サンクトペテルブルグ・サミット首脳宣言において各国が約束した、いわば国際公約でもあります。

債務対GDP比率を低下させるための条件は、分母のGDPを成長さえるか、分子の債務を縮小させるか、もしくは両方のいずれかです。

分子の債務を縮小させようとする一つの手段が、PB改善(PB黒字化)です。

ですが、PBを強引に改善しようとすると、デフレ圧力がかってしまい分母のGDP成長率を押し下げてしまいます。

これでは債務対GDP比率は低下せず、むしろ拡大してしまうことになります。

反対に、PBを赤字化してでも財政を出動させGDP成長率を高めれることができれば、債務対GDP比率は低下していきます。

えっ、そんなことできるの?!

と思われた方に、ぜひ下のグラフをぜひご覧頂きたいと思います。

グラフは、1996年から2015年までの名目GDPの成長率と、翌年のPBの推移です。

相関係数は0.6でほぼ相関しています。

要するに、PBを改善したかったら、財政を出動させ名目GDP成長率を高めることです。

それこそが真の財政健全化です。

それを…「やっぱりPBが大事だ」とか言って国債発行(建設国債の発行)を抑制してしまうと、デフレ圧力がかかって名目GDPは成長せず、翌年のPBはむしろ赤字化してしまうのです。

PBを改善するには、一時的に国債発行額を増やしPBを赤字化させねばならないのです。

信じられないかもしれませんが、これが現実です。

補足しますが、これまで中央政府のPBが赤字化してきたのは、財政出動を行ってきたからではなく、長引くデフレでGDPが成長せず税収の落ち込みが続いてきた結果です。

また2006年度以降、地方政府のPBが黒字化していますが、これがまた地域経済にとって余計にデフレ圧力になっています。