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議会報告 政治・経済

オバマケアは公的皆保険制度ではない2017/03/27    

今朝、自動車で移動中にラジオのスイッチを入れたら、チャンネルはTBSラジオでした。

この時間帯(朝6時30分~8時30分)の番組は『森本毅郎スタンバイ!』です。

いつも思うのですが、黙って聴いていると、この番組もやたらとインチキ報道が多い。

今朝も山田恵資(やまだけいすけ)とかいうコメンテーターが知ったかぶりして、米国のオバマケア問題について、聴き手に誤解を与えるような解説を平然と行っていました。

司会者の森本何某にも、それを訂正するほどの教養はない。

下の記事は、日本経済新聞のオバマケアに関する記事の抜粋です。

『オバマケア見直し法案を撤回 トランプ政権に打撃
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H0J_V20C17A3MM0000/

トランプ米政権は24日、同日予定していた医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案の下院本会議での採決を見送り、法案を撤回した。(後略)』

要するに、トランプ政権が「オバマケア見直し法案」を撤回した、というニュースです。

意外と知られていませんが、いま米国で施行されているオバマケアは日本の「公的皆保険制度」とは全く異なる制度です。

簡単に言うと、オバマケアは米国市民に対して「米国の民間保険会社に強制的に加入せよ」という制度なのです。

少し経緯の説明が必要です。

もともと米国の医療制度は、日本のような国民皆保険制度ではなく自由診療が基本です。

よって、手術など高額の医療費がかかった場合には民間の医療保険が必要になります。

しかし貧富の差の激しい米国では、貧困層のほとんどが民間の医療保険に入ることができません。

中には、医療費が払えずに自己破産するケースも多発しており、なんと米国では自己破産の原因の6割が医療費の未払いによるものです。

そこで当時のオバマ大統領は、日本の真似をして「健康保険」のような「公的医療保険加入の義務化」を目指したわけです。

それがオバマ政権における当初の「医療保険制度改革案」でした。

ところが、です。

保険業界や、ウォール街の意向をうける共和党議員などの猛反発によって「医療制度改革案」の修正を余儀なくされてしまったのです。

修正の結果、民間の医療保険への加入義務、保険料の公的援助(全額援助ではない)、あるいは加入のための手助け、といった極めて中途半端な制度改革になってしまいました。

要するに、オバマ前大統領の医療制度改革案は骨抜きにされ、公的皆保険どころか「民間の保険会社に強制的に加入せよ」という制度になってしまったのです。

なのに…『森本毅郎スタンバイ!』のコメンテーター山田何某は、今日に至ってもなおオバマケアがあたかも日本の「公的皆保険制度」であるかのような前提で解説をしていました。

おそらくは、そのあたりの事情をよく知らないままに、番組から与えられた新聞記事を読み、その薄っぺらい記事の知識の範囲のみで解説しているのでしょう。

それはさておき、オバマケアが民間保険への強制加入であったとしても、「米国では複数の民間保険会社が競争しているから米国市民一人当たりの保険料は安くなるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、そうではないのです。

米国の場合、州ごとに一つの民間保険会社がほぼ独占状態なのです。

なのでオバマケアは、富裕層にとっては大した負担ではないのですが、富裕層ではない世帯にとってはその負担が重く重くのしかかる制度なのです。

オバマケアで一番の受益者は、米国市民ではなく米国の民間保険会社なのです。

しかも、そのオバマケア法案を修正し策定したのは、なんと米国の民間保険会社の人たちだったそうです。

詰まるところ、オバマケアも、ウォール街の意向を受けたグローバリズム政策の一つだったということです。

それを見直そうよ…とドナルド・トランプ氏は大統領選挙の公約にしていたわけです。

オバマケアが象徴的なように、オバマ政権の政策があまりにもウォール街の意向を受けていたがために、それに対する国民の鬱屈とした不満が共和党ではドナルド・トランプ氏に、民主党ではバーニー・サンダース氏の支持につながったのです。

敗北したバーニー・サンダース氏の票が、ウォール街支持のヒラリー・クリントン氏に向かわず、ドナルド・トランプ氏に向かったのはそのためです。

世界的な兆候として、既に世はジョセフ・スティグリッツ教授の言うところの「1%」 vs 「99%」、あるいは「グローバリズム派」 vs 「国民経済派」という対立軸になっていますが、各国の政界地図が未だそのようにはなっていないため、今回の米国(オバマケア見直し問題)のような捻じれ現象が生じてしまうのでしょう。

まだまだ各国の政界地図は「1%」(グローバリズム派)で占められています。

それに対し、イギリスでは英国独立党が、ドイツではAFD(ドイツの為の選択肢)が、オランダでは自由党などがそれぞれに躍進しつつも、まだまだ多数派には至っていません。

5月にはフランス大統領選挙が行われます。

フランスにおける反グローバリズムの旗手は国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首ですが、果たしてどこまで躍進するのでしょうか。