〒214-0012
川崎市多摩区中野島3-15-38-403
TEL:044-934-3302 / FAX:044-934-3725



議会報告 政治・経済

ギリシャがドイツに勝てない理由(わけ)2017/03/21    

運輸、建設業界の人手不足が深刻化しています。

むろん、介護や保育等の福祉分野の現場もしかりです。

長引くデフレ経済の直中にあって、これらの分野はいずれも既に過度なインフレ・ギャップ状態にあります。

『残業時間の上限規制「東京五輪まで猶予を」 運輸・建設業界
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14247960Y7A310C1EA4000/

安倍晋三首相が17日、残業時間の上限規制で運輸業と建設業への適用を猶予すると表明し、焦点は両業界でいつから実施するかに移る。(後略)』

我が国においては、1991年のバブル崩壊以降、新自由主義(ネオリベ)的構造改革が進められ、加えて「日本の財政は破綻するぅ~」というインチキな財政破綻論に基づいて徹底した緊縮財政が行われてきました。

結果、1998年以降に我が国の経済は完全にデフレ化。

加えて、いわゆる「公共事業悪玉論」をマスコミが執拗に煽ったものだから、自然災害大国・日本にとって虎の子とも言うべき土木・建築業者及びその従事者による供給能力を毀損しつづけてきました。

なので、生産年齢人口(15~64歳人口)が減りだした今、建設業の分野が人手不足になって当然でしょうに。

一方、デフレ長期化とグローバリズム(株主資本主義)化によって、税収は長期にわたって伸び悩み、ネオリベ特有の「小さな政府論」によって福祉予算は拡大せず、結果として福祉分野に至っては先行突出してインフレ・ギャップになっていきました。

それでも労働分配率は下がりつづけ、現場職員の給料は上がらない。

それがグローバリズム下の福祉行政です。

さて、ここにきて特定分野のみならず、あらゆる分野で人手不足状況が発生しています。

しかしそれらは、決してアベノミクスの経済効果ではありません。

先述のとおり、たんに少子化によって生産年齢人口が減少しはじめているだけです。

更に下のグラフをご覧ください。

OECD加盟国(主要国抜粋)における全就業者の週平均労働時間をILO(国際労働機関)の統計ベースで比較してみました。

週平均労働時間とは全就業者平均の一人当たり週間実労働時間のことで、就業者とは雇用者(給与所得者)及び自営業者を含みます。

単位は時間(h)/週です。

因みに、フルタイムやパートタイムにかかわらず全ての雇用形態を含んでいます。

そこでグラフをみて注目すべきは、ドイツです。

日本よりも3.5時間少ない 35.5時間(h)/週です。

ご承知のとおり、ドイツの総人口は日本のそれよりも少ないのですが、一人当たりのGDPは日本よりも上です。

日本よりも人口や労働時間が少ないのに、一人当たりのGDP(所得)はドイツの方が多い。

なぜでしょう?

それは、我が日本国よりもドイツのほうが公共インフラが充実しているからです。

特に道路。

更に注目すべきは、ギリシャ。

よく「ギリシャ人は働かないから国が破綻するんだ」とか「ギリシャ人は働きが悪いからドイツに勝てないんだ」とか言われていますが、まったくのウソです。

グラフが示すとおり、労働時間で見る限りギリシャ人はドイツ人以上に働いているのです。

それでもギリシャがドイツに勝てないのは、労働生産性が低いからです。

労働生産性の差は人間の能力の差というより、インフラの差です。

例えば、日本の運輸業の生産性を高めるためには、高速道路を含めた道路ネットワークの全国的な整備が必要です。

そのことで日本の運輸業の生産性は間違いなく向上します。

むろん、それだけではダメで、あらゆる技術開発投資が必要です。

一例として、運輸業界ではすでに、貨物トラックに「隊列」を組ませて自動運転で高速道路を走らせる等の技術開発投資が行われつつあります。

こうした投資をあらゆる分野で行うことで生産性を向上させ、①外国人労働者を受け入れず、②日本人労働者の労働時間を短縮し、③人手不足を解消していく、という一石三鳥の取組みが求められます。