開いているように見せつつも、実は開いていないのが覇権国根性。
対して、既に開いているのにもかかわらず、更に開こうとするのが属国根性。
TPP問題をはじめ、ここのところ盛んに行われている自由貿易絶対論は、そのことを強く感じさせます。
竹中平蔵氏あたりに「TPPは自由貿易だからやるんですぅ~」と言われると…
「そうかぁ、自由貿易ならTPPをやらなきゃぁ~」と、つい納得してしまうお○○さんな政治家たち。
この種の御仁は、かつての大英帝国が保護貿易で力を蓄え、自由貿易の拡大で徐々にその力を喪失していった歴史的事実など知る由もない。
そもそも「自由」の意味を正しく理解していないからなのか、「自由貿易が大事」と言われてしまうと返す言葉もないのでしょう。
保護貿易(保護主義)はダメで自由貿易こそが善だというのであれば、各国が行っている補助金や助成金の廃止は言うに及ばず、すべての関税をゼロにし、資本移動の規制をも完全に撤廃しなければつじつまが合いません。
不思議なことに、自由貿易推進論者はそこまでやろう、とは言わない。
保護貿易(保護主義)と自由貿易の間には無数のバリエーションがあって、それぞれの国がその国状や対外政策及び時代的背景に照らし合わせ、そのどこかで折り合いをつけるしかない、というのが賢明な政治ではないでしょうか。
この30年間、世界はあまりにもグローバリズムというヒト、カネ、モノの国境を越えた自由貿易の方向に極端に偏り過ぎてしまったため、恐ろしいほどの世界的な経済格差や移民との軋轢、あるいは国民主権の喪失などなど、様々な矛盾を来しています。
こうしたグローバリズムに対する政治的不満が地殻変動を起こし、各国で保護主義的な方向性が模索されるのもまた必然かと思われます。
ブレグジットやトランプ現象はその象徴的結果です。
この世界的な潮流を全く読み取ることができないのが我が日本。
未だに「国を開けぇ」「平成の開国だぁ」「日本社会は閉鎖的だぁ」と声高に叫ぶものが後を絶ちません。
例えば、工業製品の関税率を他国と比較してみても、下のグラフのとおり日本だけが閉鎖的なわけではありません。
関税率の高さで言えば、米国の方が日本よりも閉鎖的だということになります。
次いで、下のグラフはOECD加盟国における第一次産品関税率(加重平均)ランキングの上位9カ国です。
第一次産品の分類には、農作物、魚介類、畜産物、飲料、鉱物資源、鉱物性燃料などが含まれています。
これでも日本は閉鎖的だというのか。
もっと深刻なのは、「開かれた国」を目指して安倍政権が外国人労働者を増やし続けていることです。
2012年12月に第二次安倍内閣が発足して以来、外国人労働者の推移をみてみますと、下のグラフのとおりです。
グラフのとおり、既に100万人を超えています。
昨年2016年だけでも2割も増やしています。
我が国は、外国人労働者に頼らず、日本国民一人当たりの生産性向上を図ることで新たな経済成長のチャンスを迎えようとしています。
しかしながら、外国人労働者の受け入れは、そのチャンスを無にするものです。
安倍政権は、既に開かれているのに、更に開こうとする属国根性の典型なのです。
因みに、外国人労働者の流入を制限して自国民の生産性向上を図ることは、決して外国人の排斥ではありません。
外国人の「流入制限」と、外国人の「排斥」とは、全く異なる概念であることを申し添えておきます。